テクノロジー
アンケートの作り方 ミスしない調査の進め方【最低限のポイント】
2019.03.27
市場やユーザー・顧客の調査は、本来、大きな失敗を防いで事業の成功に導くために非常に有用です。
しかし、時間と資源をたくさん投資して行った、せっかくのリサーチが、施策に生かされなかったり、間違った意思決定を導くこともあります。リサーチは本来、取り返しのつかない事業の失敗を防ぐといった目的を持つためのものなのに、そのせいで失敗が加速・・ということが起こってしまうのです。
リサーチで陥りがちなワナを知り、その対策を実行するだけで、精度が大幅に高まるのです。
うまく活用できた企業の中には、5倍以上売上アップ成功させたところもあります。
これまで、大手から中小・スタートアップ、たくさんのリサーチの成功と・・・失敗(施策に生かされない、間違った意思決定を導く・・)を見てきました。
きちんと関われきれず、失敗を食い止められなかったりと、自分の力不足も伴い、非常に悔しい思いをしております。
リサーチ自体は、リサーチ単体として革新的なアイディアを見出す約束はできないものの、
取り返しのつかない事業の失敗を防ぐ という意味では大変有用と考えており、誰もが活用すべきです。
そこで、少しでも皆様のリサーチの失敗を防げれば・・!とアンケート作成・調査設計で失敗しないための鉄則大公開。
一般的なアンケート作成の手順や、作成時のポイントについても詳しく解説します。
※この記事は未完成です。私の失敗経験をもとに、随時書き足して参ります。
アンケートの作成/調査設計に必要なポイント
たかがアンケートと侮るなかれ!
アンケートといっても、実はとても奥が深いのです。
事業の目的と目標、課題を明確化しなければ、「いま、何を明確にしなければならないのか」が定まりません。
何を明確にすれば、適切な意思決定をできるのかを曖昧にしたまま調査の設計に入ることもが非常に多いのですが、
あまりお勧めできません。
下記にお勧めの記事をまとめたのでご参考ください。
◆目的・調査設計自体の考え方
新規事業マーケティング/リサーチ手法 ニーズ調査の失敗例と成功例
◆失敗しない調査設計の詳細
アンケートの作り方 選択肢はMECEに【事例付き】
アンケートの作り方 サンプルサイズの計算方法を徹底解説|統計の基本用語もおさらい
アンケートにきちんと回答してもらえない?アンケート精度を高めるには
アンケート設計・リサーチも失敗する。しかも危険
失敗ケースは世に出ずに葬られるため、気づきにくいのですが
優秀な人が終結している大手企業やイケイケベンチャーなんかでも、意外と多いのです。
特に、インターネットサービス界隈では、取得できるデータが多く、そのデータをもとに考える文化が根強く、市場・ユーザーや顧客全体の理解ができてないことが見落とされがちです。
マーケティング思考が強い組織・人がいる場合は、寧ろ息を吸うように有効なリサーチが取り入れられていたりするため、そんな失敗を繰り返していると、一部のリサーチの取り組みに成功し伸びているライバル企業に差をつけられてしまいます。
まず、この記事でいう、失敗の定義を明確にします。自戒を込めて。
上から、マズい順です・・・・!
(※リサーチ・調査実施の「成功」の定義は。一旦、”リサーチ費用対効果がある程度明確になって、事業目的に貢献した状態”としておきます。)
アンケートの失敗1 誤った分析から、誤った意思決定に導く
リサーチは、実施しないよりは、少しでも行ったほうがいいと思われるかもしれませんが、そうではないと思います。
偏った対象や誤った手法でリサーチを行い、確信を持って進めてしまうよりは、
ご自身の実経験からの感覚に頼って小さく進め、軌道修正を加えていくほうがマシだと思います。
代表例は・・
- 聞きやすい同僚など、本来のターゲットではないユーザーにヒアリングしてしまった
- 質問の内容が良くなかったのか、「使いたい」という回答が多かったものの、本音や顕在ニーズを表す回答がきちんと得られておらず、実はニーズが想定よりかなり少なく、売れなかった
アンケートの失敗2 実際のマーケティング施策やアウトプットに生かされない
ペルソナ・カスタマージャーニー作成・ユーザー実態調査と名の付くも調査や、サービスやプロダクトに非常に多いです…
- 分かって良かった!で終わってしまう。
- 基準値・KPIがないため、解釈に困る。
- 施策の候補の仮説があいまい
アンケートの失敗3 調査すべきことの漏れ
- 調査が終わった後で、あれこれと、もっと聞いておきたかったことが出てきてしまった…
- 最も聞くべきユーザー層の対象者が含まれていなかった
せっかく、大事な費用や工数を投じたのに・・
「2、実際のマーケティング施策やアウトプットに生かされない」「3、調査の漏れ」
はまだ良いとしても、「1、誤った分析から、誤った意思決定に導く」なんて、
考えただけでも恐ろしいですね。でも、横行しているのです。
このような失敗をなるべ~~く避ける方法をお知らせしちゃいます。
失敗しないアンケートの進め方STEP&スケジュール目安
マーケティングリサーチの王道ステップと、最も重要なこととスケジュール目安をお知らせします。
この手順に則って行えば誰でも調査のプロです。(実行の詳細は適宜、他記事も参照ください)
失敗しないアンケートSTEP1:事業自体の目的を明確化するべきことを整理・可視化
●スケジュール目安:1日~2日
まず、ビジネスやマーケティング自体の目的の詳細を整理しましょう。
売り上げを上げたい!定着率を改善したい!など、どのKPIをいつまでにどの程度達成・改善する必要があるのか?
そのギャップを改善するために明確化するべき課題、検討中の意思決定・判断のために、明確化するべき情報を「調査・リサーチ課題」に変換する、ということです。
リサーチ単体のプロジェクトとなると、この、当たり前のそもそものこと、「ビジネスの目的」が、なぜか置き去りにされやすいのです。
「何を明確にしたいのか?」呪文のように唱えながら知るべき情報を明確にしてください。定量・定性データ問いません。
ビジネスやマーケティング自体の目的を把握している人が別担当者の場合は、捕まえて、しつこいくらいすりに合わせをしましょう。
事業やマーケティングの上流にかかわる担当者は恐らく忙しい為、顧客理解を重視していない場合、最初は多少疎ましがられるかもしれませんが、サービスにかかわる全員のためです。面倒でも必ずやりましょう。もしかしたら、孤高の戦いになるかもしれません。笑
この点だけ徹底すれば、そのリサーチは8割がた成功したようなものです。笑
逆に、リサーチの先の施策が見えてない場合「負け」の確率が高いので要注意ですよー!
目標と課題から、「今明確にすべきこと」を整理する
リサーチを行うその先のビジネスやマーケティング自体の目的(売り上げを上げたい!定着率を改善したい!など)から、
その課題解決の意思決定・判断のために、明確化するべきことを「調査・リサーチ課題」に変換する、ということです。
この、当たり前のそもそものことが、置き去りにされやすいのです。
マーケティング施策の意思決定担当者は必ず調査設計にかかわるべきだと強く主張したいです。
失敗しないアンケートSTEP2:調査・アンケート・リサーチ可能な内容を切り分け・優先度付け
●スケジュール目安:1日~7日 ※1週間で出しきれない施策は諦めましょう
次に、「知りたいこと」「明確化すべきこと」から、リサーチ可能なこととそうでないことを切り分け、優先度をつけましょう。
残念ながら、データがあふれていても、知りたいことは意外にもすぐに手に入りません。どうしてもリサーチ不可能なことや、有料データで1000万円以上費用がかかるなんてこともざらにあります。
(費用・人的リソース面で諦めてしまうマーケティング担当者の多いことよ・・・。涙 リサーチの費用対効果を明確にするのは非常に難易度が高いのです。)
しかし、そうです!あきらめずに、まず、「調査できること(リサーチ可能な内容)」と「調査できないこと(リサーチではわからない内容)」に分類し、「調査できること」の中から必ず明確化する必要があることの優先度とかかりそうなコスト(費用・人的リソースともに)を整理し、直近実現可能なリサーチ内容を決めましょう。
※費用・人的リソース面で後回しにしたけど、本当は戦略上必要な情報 については、予算取りを虎視眈々と狙い、なぜ必要かという根拠を集めにかかるのが吉ですが、時間がかかるので、直近のリサーチを平行に走らせましょう。
失敗しないリサーチ 施策の洗い出しと検証すべき事項
ビジネスインパクト大の施策が挙げられているか?
各象限の整理ができているか?
ビジネスインパクト(影響)があって、実行負担が軽いこともデータを集めて検証しがちですが、
ある程度明らかであれば素早い意思決定を優先しましょう。
わざわざ検証すべきは、ビジネスインパクト(影響)が大きそうだけど、実行負荷も高い施策です。
ビジネスインパクト大の施策が少ない場合は、その糸口を見つける顧客観察が必要となります。
実は調査しなくてもいいこと
調査するまででもないことに時間をかけすぎるケースも意外と多いです。
施策の効果の影響度と、実施や実装の負荷(工数)を加味して、調査しないと判断できないこと、
とりあえずやってみたら良さそうな施策を整理しましょう。
失敗しないアンケートSTEP3:アンケート結果のアウトプットイメージと意思決定の判断基準の明確化
●スケジュール目安:1日~
直近のリサーチ内容を明確にできたら、そのアウトプットイメージを明確にしましょう。
インサイトからの発見をまとめるのか、仮設の検証や判断、後押しに活用するのか、それはどの資料のどこにどのように入れ込むのか、事前に決まっていると、あとがかなりラクです。
何度も言いますが、もしデータを活用したアウトプットの作成者・判断担当者が別に存在する場合、必ずすり合わせをいれましょう
その次に、そのアウトプットから、どのデータがどのような値だったらどのような判断をするか事前に決めておけると素晴らしいです。
更に言うと「誰が」「何を」「いつまでにこうする」 「自社にとって最適な手法」のアクションの意思決定が出来ることが見越せると素敵です。(正直、ここまで決め切れてる担当者は少ないので、できる範囲でOKです。)
失敗しないアンケートSTEP4:アンケート対象ユーザーとリサーチ手法を決める
●スケジュール目安:3日~ ※既にリサーチ・データ検証の手法を熟知しているプロであれば1日
リサーチすべき人はどのユーザー層か、しっかり確認し、リーチできる調査手法を採用しましょう。現状把握できているデータ・情報から、左のようなユーザー層のファネルに落とし込み、
離脱課題や改善効果の高そうな層を明確化し、必要であればその中でも対象条件を絞りましょう。
聞きやすいからと、自社の定着ユーザーのみに聴取する、
知り合い経由で、ターゲット外のヒアリング対象を集めてしまう…というのも起こりがちですが、本来聞きたい層と乖離してしまっていたら、失敗へと導かれる可能性が高いのでご注意ください。
(最近は「取り敢えずリサーチ、ユーザーインタビューを!」と、この傾向が強く、ハラハラします。)
対象の選び方について詳しくはこの記事から。
自社のユーザーに行う際は、付与インセンティブも決めます。
目安は下記に記載しています。
失敗しないアンケートSTEP5 アンケート調査票(調査項目)の作成
●スケジュール目安:3日~7日
上記のユーザー層ごとに、明確化しなければならないことを、
アンケートの設問文と選択肢に落としていきます。
定性調査を行う場合はインタビュ―フローも作成します。
(定量調査の結果を見てからでもOK)
失敗しないアンケートSTEP6 アンケートフォームの作成
●スケジュール目安:2日~4日
確定した調査項目をアンケート用紙やアンケートフォームに落とし込みます。
集計を考えるとWEBがお勧めですが、回答者にあったものやツールを選びましょう。
出来上がったら、プレビューを発行し、関係者全員で、回答しにくいところ・わかりにくいこと・調査の抜け漏れがないか確認し合います。
失敗しないアンケートSTEP7 アンケートの開始
- スケジュール目安:
アンケート専用WEBモニター 1日~7日
自社ユーザー 3日~17日
定着ユーザー層は自社ユーザーへの募集が可能です。
競合・離脱ユーザーに関しては、外部のユーザーの協力を得る必要があります。
アンケート専用WEBモニターの場合はアンケート慣れしているため、回答は早い傾向にあり、条件が厳しくなければ1日で数万人の回収も可能です。
被験者へ募集のアプローチをメール+アンケート等で行う場合下記は記載すると良いでしょう。
目的/利用用途
回答所要時間/設問数
回答募集期間、回答期限
問い合わせ先※例文
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
様
当サービスでは、ユーザーの皆様により良いサービスを提供できるよう努力を続けております。
この一環として、一部のユーザー様に、調査へのご協力をお願いしております。
お客様からのフィードバックは、サービスの向上につながります。
お手数をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。●分ほどで終了する簡単なアンケートです。
●日までにご回答の方には抽選で●名様に500円分のAmazonギフト券をプレゼントさせていただきます。
下記のウェブアドレスをクリック、またはお使いのブラウザにアドレスをコピーしてください。
http:◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
どうぞよろしくお願いいたします。
━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
失敗しないアンケートSTEP8 2次調査(定性調査)の実施
●スケジュール目安 7日~30日 (人数によります)
・被験者への連絡/スケジュール調整
・ヒアリング/調査項目決め (※スクリーニング調査までは当社)
・ツールの準備(オフラインの場合は会場等)
・モックや提示物準備
・議事録やまとめ作成
アンケート手順・注意点
アンケート手順・注意点① 正しい調査手方・設計にこだわりすぎない
「リサーチのスキルや手法に自信がないので二の足を踏んでしまうんです」という声をよく聞きますが、
前述の調査・リサーチの目的・アウトプットイメージが明確になっているのであれば、そう大きく失敗しません。
正直なところ、あとは、きちんと対象者を集め、知りたいことを明確にしていくだけです。
多少リサーチや分析のお作法がなっていなかったり、スキルが不足していても、大きく間違ったインサイトを導くことはないように思います。(潜在意識の深堀や検証だけは別ですが)
正しい調査手方・設計に囚われて、アクションが遅くなったり止まってしまうのは本末転倒であるので、本当に重要な目的を押さえたらあとは軌道修正しながら進めていくのでも良いと考えます。
アンケート手順・注意点②アンケート・リサーチの実施スケジュールを詰めすぎない!
途中で、新しい仮説や調査したいことが生まれる可能性も十分にあり、
効果的な仮説を見逃さないためにも、目的やゴールにあわせ、余裕を持った期間を設定しましょう。
また、設定したターゲットに多く接触し目的を達成するために、
どのような媒体・場所でアンケートをとると良いか、事前に決めておきましょう。そうすると自ずと、回収までにどれくらいの期間が必要かも想定がつけられます。
アンケート手順・注意点③アンケート協力者に魅力的なインセンティブ設計
前述、「①調査・リサーチの目的を決める・アウトプットイメージを明確にする」 の
「STEP4:調査対象ユーザーとリサーチ手法の明確化」にて、対象者の明確化と確保の重要について説明しましたが、
自社のファンユーザー以外は回答のインセンティブ設定が必要です。
そもそも、協力者数が十分に集まらないのは言うまでもありませんが、
「謝礼付与しなくても少しは集まるからいいじゃん!」というのは危険です。なぜなら、それが対象者のバイアス(偏り)につながるからです。
基本的に、人は自分の利益のために動くので、何もインセンティブがもらえないのに、率先してアンケートやインタビューに協力してくれる人は、変わっている(=偏っている)可能性が高いです。
対象ユーザー層がまんべんなく協力してくれるよう、協力する理由として適切な報酬を用意することが必要な場合も多いです。
(プレゼントキャンペーンなど、新規流入や離脱復帰の施策とかけ合わせてもいいと思います)
アンケート手順・注意点④リサーチ対象者の協力・回答負荷を考慮する
知りたいことを詰め込み過ぎ、アンケートの設問量・選択肢数が多すぎてしまうというのも起きがちです。
「せっかく調査を実施するなら・・!」と複数部署の要望を取りまとめたりすると、増えていく傾向にあります。大きなメーカーさんだと100問超えるケースもあって驚きます。
回答者は一般的なユーザーです。アンケートの設問量が多すぎると、回答者は疲れてしまって正常に回答できなくなってしまいます。
アンケート手順・注意点⑤不正・適当回答を見極めて除外する
アンケートには適当・不正回答がどうしても発生します。
人間を相手にする以上、不正回答が発生する可能性はなかなかゼロにはできません。
これは対象外サンプルとして見分け、集計から排除する必要があります。
※不正アンケート回答の排除方法
○トラップ設問
そのためには、誰もがわかる設問を入れてみて、きちんと回答していない人はそこでアンケート終了、など、トラップ設問を入れる
○短時間回答者のトラッキングと定義
回答にかかった時間を分かるようにし、必要な回答時間から考慮し、明らかに短い回答者は省く
※詳細はこちらの記事をご参考ください
アンケートにきちんと回答してもらえない?アンケート精度を高めるには
◆顧客リサーチにはリソースが割けない!戦略は大丈夫?
戦略の意思決定を誤らないために、最低限重要なことだけを明確にできれば、
費用や時間がかからない簡単なリサーチでも十分です。
また、アンケートプロモーションでは、プロモーションと併せてリサーチをおこなうなど、リサーチとしてのコストをかけずに広告効果の補助として適切なリサーチ・マーケティングを行うことも可能です。
1000サンプルへのリサーチが無償でお試し可能!
ご希望の方は「1000サンプル希望」とお問い合わせください
私達、株式会社まーけっちは、事業の成功に根差した、リサーチ・マーケティング支援を追及しています。
手法や戦略にご興味があるという方はお気軽にご相談下さい。
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◆代表プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。
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