【意外とできない】アンケート調査の選択肢の作り方!MECEで設計できている?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 現代のネット社会ではSNSの普及もあり、ユーザー、生活者の声はとても重要です。
商品開発や改善に役立てることはもちろんですが、逆にマーケットの声を無視していると突如炎上し、企業の経営が傾くことも。
しかし、いざアンケート調査を行っても、その結果に一喜一憂するだけで終わってしまうケースがよく見られます。そのようなことではなく、肝心な「何が知りたいのか=目的」に結びつき、それを業務に生かせるアンケートの設計にはコツが必要です。

MECE(ミース or ミッシー: Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)という言葉があります。
これはマーケティングやロジカルシンキングに使われる言葉ですが、意味は「モレなく、ダブりなく」ということです。

調査の設計や選択肢がMECE(網羅的)になっていないと正しいデータが取れません。
このMECEの考えた方に基づいたアンケート設計のコツをご紹介します。

MECEでないウェブアンケート設問の問題点

 MECEではないアンケート設問とはどういうことでしょうか。それは、内容にモレがあったりダブりがあるため、全体像を把握できず、アンケート調査対象の本質的な意見は正確に抽出できない。つまり、全体をカバーできず偏った結果になってしまうということです。
 また、MECEではない設問内容ですと、回答者が途中で離脱したり、回答内容が雑になってしまう傾向にあります。

アンケート回答ユーザーが離脱

アンケートを回答する人の本音は、「さっさと終わらせたい。すぐに終わるだろう。」という心理状態ではないでしょうか。

逆に質問者は聞きたい内容がいろいろあって、あれもこれもとてんこ盛りのアンケートになってしまいます。

それでは、回答者はおなか一杯になり、「面倒くさい!」と回答が雑に適当になったりして、的確な回答が得られません。「回答者に貴重な時間を割いて答えていただく」という気持ちが大切です。回答者のストレスにつながる要因を極力取り除いた内容にしましょう。その注意点を紹介します。同じ設問が何度も出てくる

1)同じ設問が何度も出てくる

 ダブっている同じような質問がでてくると「さっき答えたじゃん!」となり、回答者の気持ちは、雑な方向へシフトしてしまいます。

2)問題数が多い

問題数が多いと、ストレスに感じ、途中で飽きてしまい雑になってしまいます。
特に、オンラインのWEBアンケートの場合、設問数量の全体が見えないため、「まだあるのかよ!」とストレスに感じる傾向があります。
設問はダブりなく、シンプルなものほど回答の精度と回答率が高まります。
どうしても回答ボリュームが大きくなる場合は、進捗を把握できるインジケーターなどを配置する事で、回答者にとってゴールが見えやすくなり離脱を防ぐポイントにもなります。

3)質問内容が長すぎる

文章問題のように質問の内容文章が長いと、なかなか全文を読み込んでくれません。「さっさと終わらせたい」という心理状態の回答者に、質問者が良かれと思って説明を盛り込んでも逆効果です。「なんだよ、文字ばっかりじゃん!面倒くさい」となってしまいます。

4)1ページ内の設問が多すぎる

ひとは、パッと見た瞬間で物事を判断する傾向にあります。Webアンケートを開いたら大量の質問事項が並んでいたら、それだけで「面倒くさい!」となってしまいますので、できるだけコンパクトにシンプルにしましょう。

5)直ぐに答えられない設問

回答者がすぐに答えられない設問。これはどのようなアンケートにもあると思います。しかし、「考えてくれるだろう。」という質問者の論理ではなく、いかに短時間で最適な回答を出してくれるかという姿勢が重要です。
回答者は考えて答えがまとまらないと、「面倒くさい。いいや」と離脱してしまいます。

6)他、離脱を招きやすいポイントです。

  • 回答の選択肢に適切なものがない
  • 答えづらい質問がある。
  • 相手を特定できるような内容(個人情報を尋ねるようなもの)がある

不信感を抱かれたら即離脱と考えましょう。

上記のことからもわかるように、回答者の離脱を防ぐには、ンケートの設問はダブりなくスッキリシンプルに設計しましょう。

アンケート分析結果が偏る

アンケートによって知りたいことと設問内容がマッチしていないと、回答結果内容が偏り、アンケートを実施した意味がなくなってしまいます。

簡単な例ですが、女性ターゲットのブランド戦略商品の調査をする場合です。
属性の質問で、選択肢を「女性」「男性」とすると、女性全体の購入意向を結果はわかりますが、その商品のターゲット層(例えば、20~30代の女性)の意向はくみ取ることができません。

<解決法>

ウェブアンケート設問はMECEに

アンケートを実施する目的を明確にして、アンケート調査設計をすることが重要です。
知りたい内容を細かくセグメントして設問はMECEにすることにより、ターゲットのインサイトを知ることができます。

MECEとは何か

それでは、MECEとは何かを説明します。
MECE(ミース or ミッシー: Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)は、マーケティングやロジカルシンキングによく使われる言葉ですが、Mutually Exclusive=相互に排他的、Collectively Exhaustive=完全な集合体。つまり、「モレなくダブりなく」という意味で使われます。

<MECE概念図>

MECE図事項を過不足なく全体をカバーしている。モレやダブりがあると全体をカバーできない。

アンケート調査は、何か解決したい課題があって、それを解決するために実施します。高度な情報化社会の現代、社会の課題は、様々な問題や要因が複雑に絡み合って、一筋縄では解決できません。人は複雑なコトを目の当たりにすると、「難しい」「わからない」「できない」という思考回路へ直結します。

それを回避するためには、まずその「複雑」なコトを分解して小さくてシンプルな単位に解きほぐしていきます。そして、それら小さいコトを一つ一つ解決していくことで、問題全体の解決につなげていくということです。
しかし、その最小単位にモレやダブりがある場合、物事が欠落したり重複したりして全体の問題解決にはつながりません。
特にダブりがある場合は、その相互関係を勘案しなければならず、問題はまだ複雑のままです。
つまり、「モレなくダブりない」単位にまで、分解していくのです。

<MECEの具体例>

年齢・性別、居住地(住民票登録地)
これは、行政に登録している1対1対応の事象で、モレやダブりはありません。

<MECEではない例>

・例えば、コーヒーの販売促進ターゲットを選定するとします。
 愛飲者ターゲットを、「コーヒー」「紅茶」「緑茶」の3択とすると、 「フルーツジュース」や「清涼飲料」の愛飲者がモレています。
・また、「コーヒーも紅茶もよく飲む」というダブりがあり、回答者がどちらを選んでいいかわからず調査結果に偏りが生じます ・また、組織改革において各組織の業務内容におけるモレやダブりの解消は効率的な業務を進めるうえで重要です。「あの部署とこの部署、同じことやってるじゃん!」と思ったことはありませんか?組織改革は、それぞれの事業間の代替関係(どちらか片方で行えば効果のある関係)や補完関係(相互に実施することで効果のあがるような関係)があるか整理します。

MECEなアンケート作成のコツ

それでは、アンケート調査内容をMECEにするために必要なことを押さえていきましょう。MECEのコツとして様々な手法がありますが、今回①「売上向上のための消費者調査」等に使われる場合と、②「商品のマーケティングプロセス改善」に使われる場合のMECEの考え方をご紹介します。

 1.「売上向上のための消費者調査」等に使われる場合のMECE

売上向上を目指す場合は、売上の構造をモレなくダブりなく分解していきます。
コツは、企画立案によく使われる、5W3Hです。この区分けこそがMECEです。
例として、コンビニの売上アップのためのアンケート調査をする場合を考えます。
まず、コンビニの売上構造を分解します。

売上=顧客数×購入額×購入頻度

売上は、顧客1回あたりの平均購入額×平均購入頻度(回数)を顧客数で掛け合わせて合計数値を出します。その因数は下記のようにさらに分解できます。

売上 =(①既存客 + ②新規客 - ➂流出客)× ④商品単価 × ⑤商品数 × ⑥購入頻度

売上を上げるためには、どの因数を増やすか減らすかで、全体数値目標を決定できます。
それぞれの因数は、MECEです。
そして、この①~⑥の因数を5W3Hで細分化していきます。
下記の5W3HをさらにMECEで細分化していくことで、売上構造のファクターが明確になり、よりマーケティングポイントが見えてきます。

<5W3Hに基づいたMECE分解例>

5w3h

*why(購入動機)は、コンビニの場合一つの理由ではない可能性が高いためMECEではありません。しかし、「ATM利用ついでに、ドリンクを買う」という「ついで買い」の利用者をはじき出すことに効果的です。

このように細かくMECE分解すると、売上向上のためにその因数をどのくらい刺激すると、どのくらいの売上の伸びが期待できるかと、様々な角度からシュミレーションすることが可能となります。

このように、それぞれアンケート実施主体の業態に沿い、目的に適したパラメーターに分解して検証していきます。

  2.開発プロセスに使用されるMECE

商品開発など、ブレスト(ブレーンストーミング)をする機会が多いと思いますが、もちろんそのままでは宝の持ち腐れです。
きちんと、マーケティングの基本フレームワークにMECEでまとめていくと、逆にモレやダブりを発見できて、戦略的にアイディアがまとまっていきます。

例)

・3C or 4C分析

「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」(+流通(Channel)」)
この3つor4つのファクターに事象を整理してプロットしていくと、自社の足りない部分や優れているところが見えてきます。

・4P分析

Place(場所)、Price(価格)、Product(商品)、Promotion(販売促進)
マーケティングの4Pと言われている基本の4要素です。まずは、自社商品の現状をこの4Pで分析し、競合他社の商品も検証すると、強み弱みが見えてきます。

・SWOT分析

Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)
これも、自社の現状を把握するシンプルで必要不可欠な要素です。

・AIDMA

Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)
これは、広告に接触した後の生活者の心理フローです。そのそれぞれのステイタスに向けた施策を検討することで、最後の購買(ACTION)につなげていきます。

・AISAS

Attention(注意)、Interest(関心)、Search (調査)、Action(行動)、Share(共有)
AISASは、ネット社会における消費者心理フローを表現します。
いかにShare(共有)そしてSpread(拡散)が重要かを示しています。

などがありますが、これらのフレームワークの中にアイディアや事象を書き込んでいくと全体の流れをつかむことができ、戦略要素のモレやダブりを防ぐことができます。

MECEなウェブアンケート結果を戦略に活かす

MECEなアンケート調査設計をすることで、回答の精度が上がって、知りたい事項の本質をあぶり出します。そしてアンケート結果を基にした次なる戦略設計に有用な価値ある情報になります。

MECEで構成されたアンケートは、マーケットの生の声を抽出しています。

その結果をもとに、マーケットニーズに沿ったサービス改善、商品開発に取り組むことで、大きな賛同を得て、SNS時代の今、消費者自らがメディアとなって発信されていきます。ビジネスも改善していくことが期待できます。それは、プロモーションの好サイクル循環の始まりです。

MECEなアンケート実施からイノベーションを起こした実例を紹介します。

事例1

<エンターテイメント企業の実例>

ターゲットを「映画好きな男女」という広い範囲とし、開業の段階では爆発的な売り上げを記録したが、話題性が一巡すると離脱者が多くなり、後に「女性ターゲット」としても効果はなかった。そこで、MECEな生活者アンケートを詳細に実施した。その結果、ターゲットを細分化し、マーケットボリュームの大きい、「3歳~11歳の子供をもつ母親」に規定。その理由は、子どもを持つ母親がアクションを起こすと、こども、父親、母方そして父方の祖父母と購入行動を起こしこども一人に対してお財布が6つついてくることになります。また、子どもの時の体験は、その子が大きくなるにつれてさらに増幅し、学生、社会人、結婚、そしてそのこどもと、その子どもの人生の節目節目で来園してくれることが見込めるからです。MECEな詳細な調査を行い、ターゲットを絞り込み、全マーケティング施策をそこに注ぎ込んだ。すると結果、業績はV字回復し、人気度国内1位を獲得して、業績は絶好調となっている。

事例2

<スポーツブランドの実例>

 スポーツブランドは、こどもから大人まで、オリンピック選手、プロ選手などが使用しているブランドに憧れて、それを購入してスポーツを楽しむ傾向が強い。
 ゆえに、新規参入メーカーはなかなかマーケットを獲得しづらい構造にある。
 それを逆手に取り、MECEに基づいたターゲットのセグメンテーションを行い、エントリーユーザーを徹底的に調査。すると、4つのグループに分かれた。①有名ブランドを使用している、②使用したいけど他を使用している、➂使用していたけどやめた、④ブランドはよくわからない。というMECEであった。そこで、圧倒的なボリュームがあったのは、④のブランドはよくわからない

 そのインサイトは、「そのスポーツを教えてくれる人がいない。」「上級者向けだから自分には使えないと思う。」 
であった。そこで、エントリーユーザー④に集中したブランドローンチキャンペーンを実施し、初年度で爆発的な売り上げとなった。そこで懸念が生じる。そのブランドは初心者ブランドだから、上手くなったら、もう使わないでしょう。と。
しかし、そのブランドは、獲得した売り上げで、プロ選手と契約し、プロ仕様モデルをマーケットに投入。エントリーから上級者まで憧れ、使用されるブランドとなった。

この事例からわかるように、ターゲットのモレやダブりをなくし、きちんとセグメントすることで、MECEなペルソナ像が浮かび上がり、そこに向けたプロモーション施策をピンポイントで効率的に実施でき、効果が期待できることがわかります。

MECEなウェブアンケートを簡単に作れるネットリサーチサービス紹介

 Webオンラインアンケート作成ツールは、様々なものがあります。
 WEBの強みは、スピードとコストです。大切な価値ある情報ですので、セキュリティ面でも強いものが良いです。
 無料で簡単にアンケート調査票を作成できるツールをご紹介します。MECEに分類されたテンプレートが用意されていますので、ご自身でもある程度はMECEなアンケートの作成が可能です。しかし、最終調査票のチェックはプロの目が必要です。

まーけっち

「まーけっち」は、国内調査会社の中でも大きなシェアを持つ株式会社マーケティングアプリケーションズの高機能アンケートツールと設問テンプレートを利用可能なWEBアンケートリサーチです。

この「まーけっちは」は、調査結果を適切にマーケティング成果に繋げる工夫が詰まった商品で、企画~検証・広告の最適化など各フェーズでの設問テンプレートが充実していることが特徴です。

自分でアンケート画面を作成しなくても、調査票の空いているところに必要な項目を埋めて送付するだけでアンケート画面が作成可能というリサーチ初心者でも簡単な操作でできるところが大きな魅力です。
また、最も特徴的なのはテンプレートにデフォルトで設定されている選択肢(接触メディアやサービスの評価項目)はすでにMECEになっている為、自社サービスで検証したいことに合わせて微調整するだけで調査票は完成します。
✻施策の仮説建てや調査全体の設計支援が必要な場合は別途費用が発生する可能性あり。

Questant

ネットリサーチ大手の「マクロミル」がつくった、セルフアンケートツールです。
アンケートの作り方・作成例があり、初心者でも直感的に作成できます。
作成したアンケートは、デバイスやメディアを選ばすに実施でき、アンケート結果もリアルタイムで表示。グラフなどのカスタマイズも可能。
但し、調査票はガイダンスに従って作成すれば、モレやダブりはある程度防げますが、プロのMECEチェックは別途料金が必要です。

SurveyMonkey

アメリカ発の世界的に使用されている、無料のオンラインアンケートツールです。これまでに蓄積されたアンケートソフトウェアを使用できるので、簡単にアンケート調査票を作成できます。アンケートビルダーというソフトで調査票を作成しますが、MECEのような高度なアンケートロジックは有料版となります。

Fastask 

JUSTSYSTEMSのセルフ型ネットリサーチサービス。こちらも調査票を無料で簡単に作成できます。徹底した調査票のチェックを行うことを売りにしているサービスですが、それのためには、Fastaskのモニターへのリサーチ実施(有料)が条件となっています。

<まとめ>

MECEの考え方で、調査項目をモレなくダブりなく全体をカバーすることで、マーケットの生の意見が抽出でき、そのアンケート結果を生かした次の戦略立案に役立てることができます。
繰り返しになりますが、マーケットの声はとても貴重な価値のあるものです。結果に一喜一憂して、そのまま放っておく。ということがないようにしたいですね。

ご参考になれば幸いです!

 

◆著者プロフィール

山中思温株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、
アンケートアプリの、若年層国内ナンバーワンを達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでも
リサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、
リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

 

「新規事業を成功させたい!」「商品やサービスを求める人にもっと届けたい」
本気でそう思う方であれば、
ユーザー理解とマーケティング最適化は、必ずお役に立ちます!

定着率UPの秘訣

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*