【失敗学】30事例 新規事業・スタートアップが失敗を避けるために

失敗学

事業の成功確率を上げるためには、顧客ニーズと自社の提供価値がマッチしているか、事前に明確にして戦略を立てるだけといたってシンプルなはずです。

しかし、大手・中小企業関係なく74% もの企業が
※2005年 経済産業省「中小企業白書」より

新規事業で失敗を招いている現状があります。
何故、こんなにも多く失敗してしまうのでしょうか?

日本では少なくとも、410万社の失敗事例があるはずなのに、適切な振り返りがされているケースが少なく、情報共有もほとんどされていません。
その為、同種の失敗が繰り返されているのではないでしょうか。

失敗分析  

そこで今回は起きうる失敗と要因の事前把握で、
失敗確率や最大ダメージを下げるために、事業の失敗事例を分析しました!
マーケティングの失敗は勿論、事業全体の成功と失敗について分析をしています。

新規事業・スタートアップの失敗回避①はじめに:失敗分析にあたっての注意

意外とオープンな事業の失敗情報が少なく、30事例集めるのがやっとでした。
(本当に、集合知として蓄積・活用されていないのだなと改めて実感します。)

その為、世に出ている有名企業のものなど、事例自体に偏りがある可能性があります。また、失敗状況や要因に関しての情報が限られている為、考察が適切でない可能性も十分にあり得ます。
飽くまでも、個人的な一見解として捉えていただければ幸いです。
(私どもも、事業の成功確度を高めるためノウハウを蓄積していきたく、本記事内容をきっかけに、様々な議論となれば非常に嬉しく思います。)

新規事業・スタートアップの失敗回避②失敗分析の方法

近年の事例をWEBや書籍でランダムに選択し、事業フェーズ×失敗ダメージ×要因 の観点で分類し、集計しました。なるべくIRや公開情報など、信頼性の高い情報ソースを元にしています。

◆事業フェーズ

事業拡大フェーズ
事業計画フェーズ
事業立ち上げフェーズ

◆失敗ダメージ
母体体力を踏まえた、売り上げ・利益のマイナス影響と定義し
大・中・小 に振り分けました。

◆失敗要因
失敗要因は下記の11要素に分類しました。

・戦略筋違い 考慮不足 
・戦略具体性 徹底度 
・PR戦略ミス
・ニーズ検証 不足 
・価格 特徴不足
・マネジメント・人材 
・技術力不足 
・資本政策
・外部環境変化 
・タイミング 
・リスク対策不足

新規事業・スタートアップの失敗回避③ 失敗分析の結果:大失敗を招く根本は・・?

失敗要因上位は 「戦略」「価値(価格 特徴)

大失敗は、顧客がコストを払うほどの価値を提供できていない・その為の戦略がそもそも誤っていることに起因するようです。事前に防ぎようがない「タイミング」「外部環境」のみが直接の原因となるケースは

意外と少ないことが分かります。 

※外部に情報が出にくい”人材・組織“関連の要因はもっと高い可能性が有ります。

 

失敗分析

 

適切に失敗を俯瞰するための失敗とリスクの視点をまとめてみました。

    
  

ここからは各失敗の詳細を分析したものをフェーズごとに記載していきます。
少し、いえかなり長いですが、失敗分析はとても重要なため、
ご自身の事業フェーズや業種に近い失敗事例だけでもご一読いただければ幸いです。

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●新規事業の事業フェーズと重要ポイント

結局のところ、望ましい成果をあげるために、どのような視点をもって事業戦略を立てていく必要があるのでしょうか?まずは、事業のフェーズとフォーカスポイントを整理してご紹介します。

まず、フェーズごとの代表的な失敗です。

新規事業失敗分析「事業立ち上げ」フェーズで押さえておくべきこと

顧客から選んでもらうこと、そのブランディングを保ったうえでの拡大を考慮せず、短期的な顧客獲得にフォーカスしすぎると失敗します。


単に、同じカテゴリや類似サービスとしてだけではなく、ユーザー価値として捉えることと、実際に現場が変わり、ユーザーの認知やイメージを目的通りにできているか、確認や効果測定が必要です。

新規事業「事業立ち上げ」フェーズ失敗事例:遠藤商事株式会社

遠藤商事Holdingsは4年で国内外80店舗出店したが、事前研修のカットや人的支援を開店2,3ヶ月で早々に打ち切るなど店舗の質を落とし、破産を申請をすることになり、負債は約12億7821万円にまで膨れ上がった。


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「事業拡大」フェーズで押さえておくべきこと

事業を立ち上げ、顧客の獲得、十分なサービスを提供できる体制が整ったあと、次に問題になるのは「このまま事業拡大できるのか?」ということでしょう。
事業拡大を目指す場合、改めて下記を配慮して新たな成長に備えることが重要です。

これらを踏まえながら事業コンセプトを変えて新たな成長に乗せる必要があります。しかし、これらが考慮されないまま新たな成長戦略を実行した結果、事業が衰退してしまっていったために失敗を招いてしまったケースもあります。次ページで見ていきましょう。


「事業拡大」フェーズ失敗事例①:日本トイザらス株式会社

トイザらスはアマゾンで唯一の玩具販売者としてECビジネスに出店した。しかし、アマゾン内に競合の玩具業者がマーケットプレイスに入ってきため、アマゾンから離脱し、自社ECサイトを設立。しかしサイト改善がされることなく、売上も伸びず事業拡大どころか倒産の道に。

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「事業拡大」フェーズ失敗事例②:セブン&アイ

 セブン&アイグループは2019年7月1日からQRコード決済サービス「7pay」を開始しました。しかし、サービス開始初日から不正利用が相次ぎ、被害者は808人、被害総額は3861万円5473円に上った。
金額というよりも、企業ブランドのみならずコンビニの決済という業界イメージに大きな打撃を与えることとなった。実は、この根本問題は単純なセキュリティの話だけではない。

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新規事業の失敗 事業ダメージ×失敗事例
ココからは、ダメージ規模ごとに失敗を整理しました。

失敗分析①:事業計画フェーズ ダメージ小程度

◆【セブンイレブン】ちょい生、販売前に中止問題

・業種分類
コンビニエンスストア

・失敗の概要(定量)
1杯100円から、生ビールが飲めると話題になった、セブンイレブンの「ちょい生」。しかし、発売直前にこのキャンペーンは中止となった。話題性からもブランドへの悪影響を及ぼしたといえる。

・失敗の要因(分類)
戦略 筋違い・考慮不足
リスク対策不足
外部環境変化(競合・税制度等)
タイミング

・失敗の要因(考察)

【飲酒運転抑制の世論を踏まえた事業・戦略設計】
セブンイレブン・ジャパンお客様相談室によると、ちょい〈生〉の販売については「想定を大幅に上回る反響があり、需要が大きく高まった際の販売体制や品質保持が難しくなる可能性がある」という理由で、本部が中止を決定。想定を大幅に上回る反響の為、対応する品質保持が担保できなかったということだ。

また、手軽にお酒が手に入るしまうことに対して、「飲酒運転」への厳しい世間の目がある。道路交通法が改正されたことで、飲酒運転の処分が厳格になった背景もあり、飲酒を積極的に促進しているように見えてしまったともいえる。世論が動けば、行政も対応せざるを得ないため、注視要請を出し、中止を促した可能性があったといえる。

・引用データ・文献
https://news.livedoor.com/article/detail/15036849/
https://yot-portfolio.com/?p=1782

失敗分析①:事業計画フェーズ  大ダメージ

◆【リモノ】制度の壁で量産化できず、休業に追い込まれた布製の超小型EV

 
・業種分類
超小型EV(電気自動車)の開発


・失敗の概要(定量)
高齢運転者による事故や地方の公共交通機関不足が深刻になるなか、リモノは、布製の車体による2人乗りの超小型EVを開発し、2016年5月に試作品を完成させた。ところが、法制度超小型EVには専用の車両規格がないため、自治体ごとに走行許可の申請をして、その自治体の範囲でしか走行できなかった。このため量産化できず、コストダウンもできない。国土交通省内にはこうした法制度を議論する勉強会を開き、2018年5月に結論がまとめられたが、法制化へのメドは立っていない。リモノはいわゆる「ベンチャーの死の谷」に陥った。会社は存続するも、事業そのものは休止を余儀なくされた。

・失敗の要因(分類)
リスク対策不足
タイミング

・失敗の要因(考察)
2014年9月リモノ設立、2016年5月に試作品完成は比較的早いといえる。しかし、試作から製品化に移るには、信頼性・耐久性・安全性の証明が求められ、10倍以上の目に見えないコストがかかる。10億円規模の資金調達では、途中で力尽きてしまう、という。一方で超小型モビリティの法制化は遅々として進んでいない。こうした中、高齢運転者向けには自動運転の技術に大きな期待が集まっており、また、地方の公共交通機関不足問題をも取り込む次世代交通「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」が2018年以降急速に動き始めている。こうしてみると、リモノはその姿を世に示す機会があまりないまま、別の新しい移動手段にニーズを奪われつつあるといえる。

・引用データ・文献

大反響でも開発休止のなぜ、超小型の電気自動車「rimOnO」を阻んだ壁
https://www.bcnretail.com/market/detail/20190721_129038.html

 

◆【鳥貴族】2017年10月に全品280円から298円均一へ 2018年の純利益激減を紐解く

・業種分類
飲食

・失敗の概要(定量)
焼き鳥をメインとする居酒屋系焼き鳥屋の『鳥貴族』2018年12月7日に開示された2019年7月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)によると四半期の純利益が前年の2018年7月の2億4300万円と比べ75.9%減の5800万円の黒字ではあるが赤字一歩手前まで追い込まれていた。

・失敗の要因(分類)
ニーズ検証不足
価値・特徴不足

・失敗の要因(考察)

1,小売業、特に飲食店での価格の変化が心理的に顧客に与える影響は大きい。飲食店で他社も同時期に値上げ(平均3%程度)を実施したものの、対象を一部の商品にとどめたり、値上げ幅を小さく抑えたりしており、値上がり感が強くならない規模にとどめたところがほとんどだった為、全品値上げ(6%)にしたため業績に多大な影響を与えるほどの顧客離れを生み出した。

2,タッチパネルの導入。こちらは便利な反面、客に会計の値段が出てしまう事で追加オーダーする気持ちにブレーキをかけている。

3,外国人スタッフの動員。外国人の接客スタッフには売上を上げようと客におかわりの声掛けをすることが文化的にあまりない。人を相手にする商売なだけにこういったところが響いてくるのではないかと懸念している。

・引用データ・文献


2019年7月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕( https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/1654591/00.pdf)
月次報告のデータ
(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/1682340/00.pdf)


失敗分析➁:事業立ち上げフェーズ ダメージ小程度

◆【ユニクロ】野菜販売、2年で約28億円の赤字

・業種分類
農業

・失敗の概要(定量)
2002年10月、ユニクロは野菜通販事業をスタートしました。ただし、売上高は初年度から売上予測の半分程度でした。在庫管理の難易度が高かったり、野菜の安定供給が困難だったりするなどが影響し、2年で約28億円の赤字を出すことに。撤退を余儀なくする運びとなってしまいました。

・失敗の要因(分類)
戦略 筋違い・考慮不足
ブランディング・PR戦略ミス
技術力不足

・失敗の要因(考察)
野菜の安定的な供給や、在庫管理が難しかったようです。また、価格の高さと、会員制コースの使い勝手の悪さも影響した可能性があります。

・引用データ・文献
https://www.strategicprofits.jp/blog/strategy/5846/
http://timesteps.net/archives/818635.html

失敗分析➁:事業立ち上げフェーズ ダメージ小程度

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◆【メルカリ】英国子会社撤退

・業種分類
情報通信

・失敗の概要(定量)
2018年6月期に売上高3000ポンド(約43万円)を計上するも2016年、2017年ともに売上は0ポンド。営業/経常損失は2018年6月期で730万8000ポンド(約10億3900万円)と大敗だった。

・失敗の要因(分類)

ニーズ検証不足
価値・特徴不足

・失敗の要因(考察)
日本ではユニコーン企業として知られ同社のアプリは今でも若者から絶大な支持を得ている。そこには明確な文化の違いにあった。英国ではそもそも個人間での商品の交換や売買が長く文化として根付いており、基本的には、実際に会って物々交換、現金の手渡しが主流である。この需要も満たしているアプリが『Shpock』というオーストリア発のフリマアプリです。『メルカリ』が持つオンライン上でのやり取りや受け渡しに真新しさはなく普及させることがとても困難だったと言える。メルカリも英国へ進出する際に競合アプリの存在は知っていたと考察するがオンライン上で完結するシステムを英国文化のスタンダードにするには厳しい壁があったと言える。


・引用データ・文献
メルカリIRより
海外子会社の解散及び清算並びに特別損失の計上に関するお知らせ
(https://pdf.irpocket.com/C4385/xouG/eVb9/fIQg.pdf)

ヨーロッパのC2Cマーケットプレイス事業・フリマアプリ現状
(http://cmmninc.com/mobile-commerce-smartphone-c2c-europe/)


◆【ZOZO】設立以来初の減益発表にみるPB事業の失敗

・業種分類
衣料小売り


・失敗の概要(定量)
 2019年1月31日、通期見通しの下方修正を発表した。下方修正の理由は、200億円の目標を立てたプライベートブランド(PB)事業が125億円の赤字を計上した。

・失敗の要因(分類)
戦略 筋違い・考慮不足
ニーズ検証不足
価値・特徴不足
ブランディング・PR戦略ミス


・失敗の要因(考察)
1つ目は「ZOZOSUIT」。サイズ調整をしやすくし、通販の障壁を下げるはずが、呼び込みたい層はローファッション層であった為、着用後40回転が必要というUIの悪さ、不具合に不満の声が上がった。デザインの不評・物流による配送の遅延も発生し、注目を集めていた分悪いブランディング影響となり、開発は休止。海外展開も踏まえた通販層拡大の技術戦略は良かったものの、拡大ターゲットのニーズを全く捉えてない段階での大型投資であり、45億を投資した「おもちゃ」として揶揄される結果に。
2つ目は有料会員向け割引サービス「ZOZOARIGATO」だ。新規顧客を獲得する目的で始めたが、安売りを嫌うアパレル各社が猛反発。大量の資金を投入し経営にかなりの打撃を与え、さらには、既存のアパレルメーカーに競合と捉えかねない状況にも陥った。

「ZOZOSUIT」は大々的な発表後にデザインやUIの不満が散見した。リーチできるユーザー層がどの程度ゾゾスーツやPBを求めており、見あうコストを払うのか、既存アパレル会社の離反影響予測など、検証を踏みながらの開発投資を行えれば軌道修正ができていたはずといえる。

・引用データ・文献
株式会社ZOZO IRより
2019年3月期 第3四半期決算説明会資料(https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/20190131_FY20183Q_JP.pdf)

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