テクノロジー
TechWave編集長 増田真樹様が見るWEBメディアの変遷と未来
2020.07.06
今回は世界中のインターネット事情やITベンチャー企業の動向を取り扱っているサイト「TechWave」の代表取締役社長兼編集長の増田真樹様に「WEBメディアの変遷と未来」についてインタビューさせていただきました!増田さんはIT関連の事業に30年近く携わっており、日本で最も世界中のIT技術に詳しい方の一人です。
TechWave 編集長・イマジニア 増田真樹(maskin)様とは?
1990年代ソフト/ハード開発&マーケティング → 海外技術&製品の発掘 & ローカライズ → 週刊アスキーなど主要なIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSのサービス立ち上げに関与。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。オンラインメディアとリアルイベントや事業と連携させる手法で、イノベーターを現場目線で支援するTechWaveをリボーン中 (詳しいプロフィールはこちら)
世界軸で見た日本のWEBメディア業界の現状
WEBメディア業界の変化
―世界中のWEBメディアを見てきて、何か気づいたことや驚いたことはありますか?
増田真樹様(以下敬称略)「事実をありのままに伝えるようなメディアを見かけなくなったような気がします。理由として、メディアが細分化されたせいで一つの視点からしか物事を見れなくなったことや、収益だけが目的のメディアが増えたことが挙げられます。
そして、読み手も事実でない情報でもそのまま真に受けてしまう。これは19世紀や戦争前のメディアと大衆の関係によく似ていますね。」
―メディアが、真実とは別に、芸能人のゴシップなど注目を集めやすい情報のみを大衆に届けているということですね。
そしてユーザー側もそれを求めてしまっているということでしょうか。
増田「簡単に言うと、一番反応されやすい情報にメディアが走ってしまっているのだと思います。これは昔からかもしれないですが、情報をあまり深く理解しようとはせず表面的な部分だけを流してしまうのです。例えば、マーケティングは全体としてものごとを俯瞰することが重要なのに「バズることが最強だ」と極論を出してしまっているといった感じです。
メディア同士もそうですが、読者も一つの価値観に走っていってしまっている気がします。最近、新型コロナウイルスに関するデマが横行していましたが、これも発信力の強いメディアによる一方的な情報発信によるユーザーの反応だったと思います。」
―その背景にあるのは、数値などのわかりやすい指標が可視化されるようになったからですか?
増田「背景はたくさん考えられますが、それも一因かと思います。一時期全くありもしない情報を流しPV数だけ稼ぐといった手法がありましたが、その名残はまだあります。コピーしてでもなんでも収益があがればいいといった風潮が。」
―確かに、真実に向き合おうとすると、どうしてもリサーチの手間がかかりますよね。
増田さんは、真実とそれにかかるコストのバランスをどのようにとっていますか?
増田「もともとテックウェイブは広告を一切とっておらず、寄稿してくれる方にも原稿料を払っていませんでした。コンテンツに課金してしまうと、どうしても収益目的のための稚拙なものになってしまうからです。その代わりに、テックウェイブと提携することにより露出が増え、やりたい事業にお客さんが流れるという仕組みを作っています。実際テックウェイブの第一期の時は、記事を書き、サロン型のセミナーをし、一日何千人もくるイベントをしていました。記事からオフラインで人と人が繋がり、そこからまた新しい何かが生まれるといった感じです。」
―お金をかけずにメディアを作っていき交流から何かが生まれる、すごく新しくて、しかも楽しそうですね!
WEBメディア業界のあるべき姿
―WEBメディア業界はもっとこうあるべきだといったお考えはありますか?
増田「世の中にはゴシップなどバズるようなネタ以外にも、IT関連を中心に興味深い情報はたくさんあるかと思います。特に日本はそういったものをキャッチアップできておらず、もし記事になったとしても関心を持つのはごく一部です。またどのメディアもフィルターがかかっており、非常に新しい情報に触れにくくなっています。私は話題の核心自体をもっとバラエティに富んだものにし、ユーザーが気軽に触れられるWEBメディアを作れたらなと考えています。」
―「特に日本は」とおっしゃっていましたが、他の国はそうではないのですか?
増田「日本のIT技術は欧米の10年遅れだといわれています。アメリカなどでは、フィルタによる情報遮断を防ぐために誰か個人ではなく社会全体として様々な取り組みがなされており、それを打開しつつあります。」
―WEBメディアというと広告を軸に収益を出している企業がほとんどですが、近年では直接課金系のものも増えてきているかと思います。
課金の仕組みを使えばPV数などにとらわれず自由でバラエティに富んだ情報発信ができるかと思うのですがいかがでしょうか?
増田「そうとは限らないんですよね。
まず情報やコンテンツに課金するということはそれだけで排他性が生まれ、有益な情報が広まらない可能性が高いです。そもそもいろいろな人の小さなチャンスにフォーカスして発信できるのが他のマスメディアと違ったWEBの良さなのに、情報自体に直接金銭的価値をつけてはいけないと考えます。
ただ、最近流行りのオンラインサロンは直接課金制のサービスですが、ユーザー同士の情報の双方向性があるので情報媒体としての価値は高いと思います。」
―オンラインサロンは課金して参加したら、もっと自分も参加しなければって思いますものね(笑)話は変わりますが、長年WEB業界を見てきた中で何かメディアについて意外な事実はありますか?
増田「意外かはわかりませんが、書き手の意思に全く関係なく記事の情報が拡散されてしまうことはよくあります。拡散されると思っていた記事や、読みやすいものが必ずしも広まらないということです。特にTwitterでは、見出しだけで議論する人が多く、事実に反する形で情報が拡散されることがよくあります。バズっている記事やPVを稼げている記事が、蓋を開けてみたら300文字しかないといった感じですね。」
WEBメディアの今後と増田真樹さんのビジョン
―今後WEBメディアはどう変わっていくのかという予想と、どうしていきたいかを教えて下さい
増田「今後もWEBメディアや5Gにより動画といったコンテンツは増えていくと思います。ただ、情報メディアと考えた時に~編集部といったものはかなり制限されていくと思います。なぜなら、箱として、組織体として情報でビジネスをやろうとした時、安定して収益を得られる環境ではなくなってきているからです。
WEBメディアも記事型のものは形を変っていくか、別のプラットフォームがでるかしないと専門的なものは淘汰統合されていくかと思います。コンテンツ単体としては流通はしていくけれど、メディアとしては成り立たないということですね。
個人的な希望としては、冒頭で言ったとおり海外の情報がかなり断絶されているので、もっと国境の垣根を越えた情報のやりとりがなされれば良いなと思っております。」
―グローバル化が進むと言われている中で日本は取り残されていくんでしょうか
増田「そうですね(笑)。日本の情報も観光以外は向こうの国々に伝わっておらず「LINEがものすごい売上を記録した!」といっても全然関心を持ってもらえないんです。我々はテックウェイブを通して、日本と海外の情報交換の架け橋を作るきっかけになれればなと考えております。」
―なるほど、それはかなり価値が高そうですね。
まーけっちではアンケートモニターを使ったリサーチをしているのですが、海外の人々にアンケートを投げることはできても生の声や現場の状況を把握するのに苦労しています。テックウェイブを通してその糸口が見つかるだけでも非常に助かります!
◆売上直結! 戦略的コンテンツマーケティング
私達、株式会社まーけっちは、
経営方針や事業計画の徹底したヒアリングに基づき、採用計画や必要な人物像の策定からご提案まで行います。
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■現職
株式会社ワンチーム マーケティングDiv。公益財団法人民際センター理事
■経歴
金沢工業大学卒。専門商社で化学薬品営業、生鮮野菜卸業立上げ、人材系ベンチャーの起業そして廃業、創業80年の老舗メーカーで営業部署立上げ、大手ネット広告代理店での新規事業への参画
◆代表プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。
中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。