【後編:業界変革を乗り越えるマーケターとは?】リサーチ業界No.1企業の代表に直撃

檜垣歩氏

購買履歴やアクセスログなど、行動データの量が増え、ネットリサーチや定性インタビュー調査などの必要性に変化が起きてきています。

そこで、今回は、リサーチ業界でも最大手で、売り上げも最上位、1960年の創業から国内のリサーチを率いてきた株式会社インテージ 代表取締役社長の檜垣 歩さまに、
マーケティングリサーチ業界が抱える課題と、デジタル化の進展がリサーチ業界に与える影響や将来像についてお話を伺いました。

リサーチだけではなく、マーケティング戦略における顧客理解の今とこれからについても深く考えられる内容となっているため、その観点でも必読です。

 

■檜垣氏プロフィール

インテージ檜垣氏

株式会社インテージ 代表取締役社長
檜垣 歩(ひがき あゆみ)

東京大学理学部卒業
カゴメ株式会社にて主に飲料の商品開発、マーケティングに従事
代表作は「カゴメキャロット100」

1995年株式会社インテージ(当時:社会調査研究所)入社
主に、SCI再構築、i-SSP開発、R&Dなどに従事
執行役員 マーケティングイノベーション本部長を経て、
2016年取締役、2019年代表取締役に就任(現職)
株式会社インテージホールディングス取締役を兼任(現職)

 

1.リサーチ業界に押し寄せる変革の波

 

デジタルデータをマーケティングリサーチに活用する試みの広まり

 

檜垣:デジタルデータをマーケティングリサーチに活用する試みは、過去50年間ぐらい続けられてきました。90年代にはデータソースが巨大化する中で、マイニングアルゴリズムの開発がすすめられ、良く知れらている「ビールと紙おむつの併売を発見する」という成果がありました。

 

山中:そうですね。

 

檜垣:その後も、データのサイズは爆発的に大きくなり、変数も増えてきました。今では、データを取り扱う手法やツールも充実していて、現在ではAIも広く用いられています。リサーチ会社も、マーケティングの概念を拡張しようとか、ビジネスプロセスを変えようというチャレンジしていくのにビッグデータの力は重要です。

 

山中:すごくよくわかります。

 

檜垣:インテージでもデータサイエンティストを最近積極的に採用しています。これからの「リサーチ」には、数多くの未知のファクトを提示することと、マーケターの想像力を掻き立てて意思決定を支援することが求められています。定性領域の重要性は増すなかで、進化するテクノロジーを効果的に併用する必要があります。データとリサーチの併用や、行動観察やデプスインタビューも広まっていますね。

 

山中:リサーチがカバーするべき領域が、ますます広がっていきますね。

 

「リサーチ」の概念や言葉自体の再定義が迫られている

 

檜垣:リサーチ業界に今後求められるのは、リサーチデータだけでも、リサーチプロセスだけでもありません。ビジネスへの関与、意味のある価値提供にこだわって、対応領域を広げていくことが必要でしょう。「リサーチ」の概念や言葉自体の再定義、変革が迫られています。

 

山中:今や、「リサーチ」というとイメージするものが人によってバラバラですね。リサーチなんていらないという人すらいます。どういうことって思いますが。(笑)「顧客理解」というと広すぎますし。

 

檜垣:英語でいうなら、Consumer Understandingが理想像に近い表現だと思います。

 

山中:なるほど。

 

2.これから必要とされるマーケターとなるためには?

仮説思考とデータ思考を組み合わせ、補い合えるチーム作りを

 

檜垣:これからのマーケターは生活者の視点も取り入れた上で、クライアントの課題を理解して、意思決定や成果を生み出さなければなりません。定性情報とデジタルデータを併用しながら、仮説を立てられる。全体最適化されたマーケティング戦略を設計できる人材が必要とされるでしょう。

 

山中:仮説思考は大切だと思っています。マーケターも含め、仕事ができる人は仮説思考だと思っていて、当社のメンバーも私も普段から気を付けています。

 

檜垣:仮説思考も大切ですし、仮説思考とデータ思考を組み合わせたアプローチ必要でしょう。

とはいえ、データの外観がわからないと仮説を導けないという難しさもあります。データに飛びついてしまいたくなる気持ちを押さえ、年代や性別の比率など単純なところを最初に把握していったん止める。それから仮説を立てて、分析方針に織り込もうとしなければならないのですが、私もよく心折れてしまいました。難しいものですね。

 

山中:仮説思考をもってデータを眺めて、リサーチ全体の流れを設計できる人の価値が増してくるでしょう。ただ、そういう人材はなかなかいない。人材がいないから、人材が育たないという課題感があるし、サービスも広がらない。ここは、テクノロジーの力を借りて解決していく必要があると思います。

檜垣:文系と理系のように、定性が得意な人もいれば、定量的なデータ分析が得意な人もいる。一緒に力を合わせてやっていけるチーム作りが望ましいですね。

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3.リサーチ業界からのスタートアップとしての挑戦

失敗分析から、成功に再現性を

 

山中:限られたリソースで戦略を成功させるには、チャレンジングな取り組みが必要です。戦略には意思決定がつきものですから、仮説とその根拠を用意できていなければなりません。リサーチデータの活用やconsumer understandingが必須だと思います。自分一人でできるケース数の限界を感じています。マーケティング施策のPDCAを数多く回し、施策と結果が対応づいたデータを蓄積するのに、一社だけではあまりに時間がかかると感じています。

 

檜垣:なるほど。

 

山中:そう感じるのは、公開されている情報は成功事例ばかりで、失敗事例は多いのに公開されている情報は少ないからです。さらに、業種の壁もあって事例共有は進んでいません。本当の成功要因は明らかにされていなくて、実は、優秀なメンバーが集まっていたのかもしれないし、お金が潤沢だったのかもしれない。

業種別に施策と結果のデータが集まっていないと、いい提案はできないでしょう。コンサルが入っても実行できないなら、提案が間違っているのですが、ちゃんとした提案をするにはデータとPDCAが必要ですが、自社だけだとケースの数が足りません。

 

檜垣:再現性を求めるのは難しいですね。再現性を求めようとするならば分業が必要だと思います。

課題設定にこだわって引き出す能力を高めて、お客様の費用対効果を最大化する提案をすることが、まーけっちさんに求められていることでしょう。

 

山中:正しい課題を追えているかどうかは、有能な人材でないとわからないものですが、人材にフォーカスしているリサーチ会社やコンサル会社はあまりないと思います。事業の成功と失敗は裏表ですが、失敗の事例はある程度パターンがあって、戦略が誤っていたり、ニーズがなかったり、実行可能性が考慮されていなかったりといったいくつかの理由に帰着できると考えています。

 

檜垣:データマーケティングに限れば、いきなりデータ分析に向かわせない、ということはとても重要です。大手企業であっても、目的の設定がずれてしまっていることがしばしばあります。プロセスだけ受託しているとこういう提案はできません。まーけっちさんがだからこそできる、現場を変える提案があるといいですし、分業が必要でしょう。

 

頼れるマーケティング人材が見つかるプラットフォーム・メディアへ

 

山中:戦略を立てて大きな成功を導くには、仮説を考えられる人が必ず必要です。しかしそれができる人材は限られているし育てるのも難しいことです。

 

檜垣:事業会社は、新しいスキル人材をどう内部で育成すべきか、あるいは、外部からどう獲得して自社のプロセスの中にどう埋め込めばいいのかという悩みを抱えているものです。

 

山中:実は事業会社も意識が変わりつつあるようで、社員で育成し、抱え続けることに無理があると考えて、副業を加えたマーケティング戦略チームを作ろうとする動きが出てきています。副業希望者の活用は、1年2年後にはぐっとと広まって、各社のマーケティング組織に最適な人材が分配される環境が整うだろうと予想されています。

 

檜垣:人材派遣や副業プラットフォームですか?

 

山中:人材派遣や副業のプラットフォームはすでにサービス化されているので、それらを束ね、頼れるマーケティング人材を見つけられるサービスを考えています。いわば、複数のポイントアンケートサイトを束ねたマーケティングアプリケーションズの人材版です。当社では、マーケティング思考があるかとか、結果が出ているかとか、逃げないかなど、得意不得意や信頼度を測って可視化するスキル診断の開発と、診断結果に基づき、だれをチームに加えれば最も成功に近づけるかの判断材料を提供する人材プラットフォームの構築やバーティカルメディアに取り組んでいます。

 

檜垣:今後が楽しみな取り組みですね。

 

小さな改善より戦略を立てて大きな成功を

 

檜垣:「まーけっち」という会社名はどこから来ていますか?

 

山中:まーけっちは、Marketing Achieve の略で、小さな改善よりもその大きな成功をというメッセージです。

私の原体験があって、若年層ユーザーナンバーワンにすることをミッションに、半年ぐらいWebサイトの改善に注力していたのですが、プラス2%を達成しただけで喜んでいた自分がいました。今、振り返ってみると、小さな改善の結果に喜びすぎるのはすごく良くないことだと感じますが、その状況はいたるところで起きています。大きな成功のためには、新たな戦略を立てと意思決定がつきものですから、戦略を立てる上での仮説とその根拠を用意する必要があります。リサーチデータからconsumer understandingできる人材が求められていて、その人材だから結果が出せる意気込みです。

 

檜垣:いい名前ですね。

 

山中:「ファンシーだね。」とか「かわいいね。」といわれますが、結構、熱くてゴリゴリです。

 

檜垣:その志の高さが人を動かすのだと思います。

※中編:業界最大手の社長が伝えたい、マーケティングの本質とは?

 

◆戦略・リサーチにリソースが割けない!?大丈夫です!

戦略の意思決定を誤らないために、最低限重要なことだけを明確にできれば、
費用や時間がかからない簡単なリサーチでも十分です。

また、アンケートプロモーションでは、プロモーションと併せてリサーチをおこなうなど、リサーチとしてのコストをかけずに広告効果の補助として適切なリサーチ・マーケティングを行うことも可能です。

私達、株式会社まーけっちは、事業の成功に根差した、リサーチ・マーケティング支援を追及しています。
手法や戦略にご興味があるという方はお気軽にご相談下さい。
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◆代表プロフィール 株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温


マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、
若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。

リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

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