インターネット広告業界の「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」③

※こちらは連続記事3本目となっております。前の記事を読んでない方は、

インターネット広告業界の片隅で「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」を長々とポジショントークをしてみた①

インターネット広告業界の片隅で「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」を長々とポジショントークをしてみた②

をどうぞ。

 

 

インターネット広告代理店と広告主の関係

 

 

インターネット広告代理店のビジネスモデルは、

インターネット広告代理店が受け取る手数料は、広告費に比例する。

となっております。

 

はたしてこのビジネスモデルは、広告主とインターネット広告代理店にとって、どちらにメリットがあるでしょうか?

 

1.成果
2.予算
3.工数
4.情報

 

という4つの観点で、広告主とインターネット広告代理店の双方にどのような意図や意思が生まれるかを考えていきたいと思います。

 

ネット広告代理店と広告主にとっての「成果」

 

 

まずは「成果」。

広告主側は「成果がでなければ、代理店を変える」
代理店側は「解約されないために、成果を出したい」

となります。

 

パワーバランスは、依頼主であり費用を負担する「広告主側」が強くなりやすいです。

・明らかにむちゃな「成果」を期待している(数値的に難易度が高い)
・外部要因による逆風(テーマ的に難易度が高い)
・とにかく予算が少ない(→「予算」で)
・とにかく工数が掛かる(→「工数」で)

のような状態の場合、インターネット広告代理店側が受けたがらず、「需要と供給」の原理に基づいて、パワーバランスがひっくり返る場合があります。

 

ネット広告代理店と広告主にとっての「予算」

 

 

そして「予算」。

広告主側は「予定通り消化したい」「予算を減らしたい」
代理店側は「予算を満額消化したい」「できれば予算追加してほしい」

となります。

 

広告主の企業規模や事業フェーズによって「予算」に対する考え方は変わりますが、上場企業や厳格な予算管理がある企業の場合「予定通り消化したい」となります。

インターネット広告代理店側目線では「予算」は、もちろん満額消化を目指します。さらには媒体追加や露出強化など行うことによる「追加予算」の約束を取り付けることで、自社の収益性を上げることが出来ます。

 

ネット広告代理店と広告主にとっての「工数」

 

 

次は「工数」。

広告主側は「なるべく頑張ってほしい」
代理店側は「なるべく抑えたい」

となります。

 

広告主目線では「成果」と「予算」を重要視しており、どれだけ工数が掛かっているかよりも『何が何でもやってくれ』『なるべく頑張ってくれ』というプレッシャーを掛け続けるでしょう。

 

インターネット広告代理店側は、主たるコストは人件費となります。売上を上げるため、利益率を上げるために『(工数は)なるべく抑えたい』となります。

最終的な「工数」、すなわちリソース『何をどこまでやるのか?』の配分をコントロールできるのは、インターネット広告代理店側となります。

 

インターネット広告業界の片隅で「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」を長々とポジショントークをしてみた②

で説明した通り、各担当が受け持つ顧客の「予算」に応じて、リソースを再配分します。

 

ネット広告代理店と広告主にとっての「情報」

 

 

最後に「情報」。

 

広告主側は「(担当者によるが)得れる情報は限定的であり、全てにアクセスできるわけではない」
代理店側は「(担当者によるが)アカウント内の全てのデータや、媒体など周辺情報にアクセスできる」

となります。

 

特にインターネット広告代理店側は、「情報量」を戦略として情報格差を恣意的に生み出している場合があります。

 

・広告アカウントの管理権限を共有しない
・運用レポートやデータは加工して提出する

 

一部のインターネット広告代理店は、ルールとして「アカウントを共有しない」としています。ノウハウやナレッジが多く凝縮しアセット(資産)化する部分なので、納得性があるように感じられます。

 

インターネット代理店目線で「広告アカウントを共有しない」ことで、他代理店からの営業に対して共有できる情報を絞ることで、提案のハードルを上げ、スイッチコストを上げることができるので、チャーンレート(解約率)を抑えることもできます。

 

私の考えとしては、事業者側として、広告アカウントは、事業のマーケティング/プロモーションに関わる生データが豊富にあるので、閲覧権限だけではなく、レポートの抽出権限をもらえるなら、もらっておいた方が良いかと思います。
※媒体側の仕様上、共有できない場合もあるので、注意が必要です。

 

ネット広告代理店と広告主の関係性の課題

 

 

ここまでの話から、課題を端的にまとめると、

 

『成果と予算を合意し、必要なアクションや工数を「あいまい」にしたまま契約を結んでいること』

 

だと思います。

 

広告主のビジネスモデルや事業フェーズ、組織や自社資源の状態などから

 

達成するために何をどのくらい頑張る(工数をかける)必要があるのか
達成出来なかったら、次何をするのか
達成出来たら、次は何に挑戦するのか

 

といったシナリオがわからないから「なるべく」と互いの約束を曖昧にしているのではないでしょうか。

 

結果的に「成果」「予算」「工数」「情報」の各々の要素で、非対称性が生まれ、関係性に歪みをもたらしています。

企業や担当者の善い悪いではなく、このシステムに課題があると考えてます。

 

解決策としての手数料固定制

 

 

手数料固定制とは

インターネット広告代理店が受け取る手数料は、広告費に関わらず業務内容や難易度によって設定する。

となります。

 

「業務内容」と「難易度」を具体的に羅列すると

・実施想定期間(Running、Shot)
・KPI(ROAS、CV、CPA、Clickなど)
・媒体の種類(Google、Yahoo!、Facebook、Twitter、他DSPなど)
・ターゲットや訴求、クリエイティブの種類
・レポートの頻度、カスタマイズ
・打合せの頻度
・広告運用の実績(なし、過去KPI達成率など)

となります。

 

 

例えば

クライアントA:広告費200万円
クライアントB:広告費100万円
クライアントC:広告費50万円
クライアントD:広告費30万円

とあった場合、「業務内容」と「難易度」が同クラスであれば「広告費」と「手数料」は比例せず、固定制となるので、

 

クライアントA:広告費200万円|手数料20万円
クライアントB:広告費100万円|手数料20万円
クライアントC:広告費50万円|手数料20万円
クライアントD:広告費30万円|手数料20万円

のようになります。

 

「業務内容」「難易度」が同クラスであれば、「手数料」も同等となり、「優先順位」も同等となります。

 

 

まずは「成果」。

広告主、代理店側どちらも「双方合意」

となります。

 

パワーバランスは、基本的には同等となりますが、約束を守らなかった方が立場は「弱く」なります。

明らかにむちゃな「成果」を期待している場合は、契約されませんし、外部要因による逆風は双方認識の上で契約となります。

本形式のデメリットは「融通が効かない」ところです。突発な依頼や土日対応などイレギュラーは、対応出来ない場合もあります。

「予算渡すから成果だけ持ってこい」のような都合の良い関係にはならないでしょう。

 

 

そして「予算」。

 

広告主側は「上限予算を設定」
代理店側は「成果達成を優先」

となります。

 

広告費に変動して手数料が決まるわけではないので、広告予算の大小と優先順位や実施工数は比例しません。

 

極端に言えば広告費がゼロ円でも、成果に繋がるなら、

 

テレマーケティング
インサイドセールス
オウンドメディア構築
コンテンツマーケティング
マーケティングオートメーション
DMP構築と活用
アドフラフトの除外

 

など広告、プロモーション前後のサポートを行うこともできます。

 

 

まずは「工数」。

 

広告主側は「実務を依頼」
代理店側は「実務を実行」

となります。

 

A)単一商材のプロモーション
B)ECサイトのプロモーション
では広告プロモーションにおけるキャンペーン設計や構造は大きく変わります。

 

例えば50万件の物件情報を掲載する不動産賃貸サイトの場合、毎日物件が埋まったり空いたりするので、厳密に広告配信するなら、かなりキメ細かい実務が発生します。

 

この場合も
広告主側がどのような形式で情報共有するのか
それは代理店側でどの程度まで編集や修正が必要なのか
によって「実務」の認識を揃える必要があります。

 

 

まずは「情報」。

広告主側は「全てにアクセス可能」
代理店側は「全公開」

となります。

 

代理店側にとって広告費は売上ではなく、預り金となります。よって広告費をお預かりして「誰に何をどのように伝えるとどうなるのか」という効果検証内容は、共有されるものとなります。

広告主側からはアクセスが可能なので「誰に何をどのように伝えるとどうなるのか」から、サービス設計に活かすことができます。

 

 

まとめると、

 

『予算の考え方を揃え、必要な実務を挙げ、広告運用に関わる情報を開示する契約を結ぶことで、双方合意した成果に向かって、互いに協力し伴走ができる。』

 

ということです。

 

広告主のビジネスモデルや事業フェーズ、組織や自社資源の状態などから

 

達成するために何をどのくらい頑張る(工数をかける)必要があるのか
達成出来なかったら、次何をするのか
達成出来たら、次は何に挑戦するのか

 

といったシナリオを今ある情報から見つけ出し、「今何をすべきか」を明示化し、互いに約束をすることで、

「成果」「予算」「工数」「情報」の各々の要素で、非対称性が解消され、関係性に健全になると考えています。

 

最後に

 

この『インターネット広告業界の片隅で「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」を長々とポジショントークをしてみた』というわけで、

 

私、谷田が所属している株式会社ワンチームは、

①手数料は広告費に変動せず、業務内容や難易度に合わせた固定制
②広告アカウントは情報をクローズにせず、全て共有
③広告運用だけでなく、オウンドメディア構築やDMP-MA-CRMなどデジタルマーケティングなども一貫して対応可能

となっております。

 

もしご関心あれば、ぜひお問合せ頂ければと存じます。

Twitter: https://twitter.com/Shu_1153

以上。

 

★追伸★
まだまだインターネット広告業界について、言い足りない話があるので、適宜更新していく予定です。

 

 

執筆者 株式会社ワンチーム 谷田脩一郎

化学、食品、人材、機械、メディア、公益財団法人と様々な業界でセールス、マーケティング、事業開発を経験。インターネット広告業界の中小企業や、スタートアップ、NPOなど、フェーズに合った最適なサービスを受けられない構的課題を解決するため、株式会社ワンチームに参画。

デジタルマーケティングのコンサルティング、企業向けの研修、大学生向けの育成事業など行う。

 

 

◆著者プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

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