インターネット広告業界の「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」①

インターネット広告の基本的な商流

 

 

インターネット広告の商流は、基本的には3社、登場します。

商流としては『①広告主→②広告代理店→③媒体』となります。

 

実際には

『広告主→広告代理店→媒体』
だけじゃなく、
『広告主→広告代理店→メディアレップ→媒体』
『広告主→広告代理店→アドネットワーク→媒体』
『広告主→広告代理店→DSP→SSP→媒体』
『広告主→広告代理店→広告代理店(下請)→媒体』
など

 

と、いくつかの場合に分けられ、その時々によって、発生する認知のズレや歪みはありますが、そこを突っ込みすぎると今回の話が混沌入りしちゃうので、割愛します。

インターネット広告代理店の商流は『①広告主→②広告代理店→③媒体』で、そして②広告代理店はそこから手数料という形で、報酬を得ています。

 

インターネット広告代理店の役割

 

 

②広告代理店の役割としては、

1.広告の出稿目的と条件等の確認
2.広告配信のプラン立案、見積作成
3.広告原稿の入稿、配信条件設定、各種タグ発行と実装
4.広告配信状況を見ながら適宜最適化
5.配信結果のレポートの提出
6.改善施策の検討と提案

が挙げられます。

 

思ったより役割が多いとみるか、少ないとみるか…はこの記事を読んでいる方の経験値次第ではあるのですが、私は「結構多いな!」派です。

なぜ多いと考えているのか?をわかりやすくするために、この「役割」を「業務」まで具体化してみましょう。

 

 

②広告代理店の役割を業務に具体化してみるとこのようになります。

オリエンテーション
ヒアリング
与信調査
プランニング
見積作成
ご提案
実施決定
アカウント設計
アカウント開設
各種タグの発行
キーワードなどターゲティングの準備と調整
広告文や画像などクリエイティブの準備と調整
各予算、上限CPCや曜日別、時間別など詳細設定の決定
広告入稿
入稿内容などの不備チェック
CVテスト
予算調整
レポーティング
KPI達成状態の把握
改善提案の準備、提案
広告費と手数料の算出
請求書の作戦と送付
入金確認
(・・繰り返し・・)

 

インターネット広告の運用業務は、広告主の大事な予算を使っての収益を上げるための重要な施策であり「(依頼通りに)できて当たり前」と捉えられるプレッシャーのかかる業務です。

この業務を一人でやる場合もあるし、チームでやる場合もあります。

広告代理店のコスト割合としては、人件費となる部分が多く、どのくらいのスキル/キャリアの人を付けれるか?工数を掛けれるかは?は手数料(報酬)によるところが大きいです。

 

インターネット広告代理店の報酬

 

 

はたして本業務の報酬は、いくらが妥当でしょうか?

・30,000円/月
・60,000円/月
・100,000円/月
・200,000円/月
・300,000円/月
・1,000,000円/月
・3,000,000円/月
・もっと

 

いかがでしょうか?
「これくらいだな!」みたいなポイントはありましたでしょうか?

「んー・・・考えづらい」という方は、下記のように考えてみるのはいかがでしょうか?

 

例えば本業務を自社の社員にやってもらうなら、何名体制で、いくらぐらい給与を払うでしょうか?

・15分/日(兼務|リソースの3%)
・30分/日(兼務|リソースの6%)
・60分/日(兼務|リソースの12.5%)
・120分/日(兼務|リソースの25%)
・240分/日(兼務|リソースの50%)
・480分/日(専属社員|1名体制)
・960分/日(専属社員|2名体制)
・1440分/日(専属社員|3名体制)
・それ以上

 

こうやって
②広告代理店へ、手数料(報酬)として支払うか
それとも
①広告主が、自社で社員を雇い、給与として支払うか
どっちの方が費用対効果が良いのか・・・
これは悩ましいですよね。

 

さてここで『①広告主→②広告代理店→③媒体』の実際の報酬体系の話について、話を進めて行きます。

 

 

実は②広告代理店が、広告主から得る報酬は、広告主が使用する広告費と比例します。

広告代理店によって、この比率は違いますが、概ね【広告費の20%】であるという認識で良いかと思います。

 

(広告主が使用する)広告費が大きければ、広告代理店の受け取る手数料も大きくなります。
(広告主が使用する)広告費が少なければ、広告代理店の受け取る手数料は少なくなります。

 

そこで①広告主と②広告代理店は、【KPI】と【予算】をもって契約関係を結びます。

 

インターネット広告代理店と広告主の関係性

 

 

ここでいう【KPI】は、

ROAS:投資した広告費用の回収率
CV:コンバージョン数
CPA:1コンバージョンあたりのコスト
Click:サイトへの誘導人数
COST:予算消化
など

と挙げられます。

 

例えばインターネット上で決済まで行く商品や、インターネット上の登録でその後の収益額がハッキリしており、LTV(顧客生涯価値)が明確なものは、ROAS(投資した広告費用の回収率)。

スタートアップやベンチャーなど売り上げや利益などの収益率より、ユーザー数や契約社数などの数値を伸ばすべき時は、コンバージョン数。

申込みからの契約率や収益化まで遠く、一旦の申し込みをコンバージョンとし、そこの費用対効果を見極め、効果改善していく場合は、CPA(1コンバージョンあたりのコスト)。

サービス認知や販促キャンペーンなど、インターネット上の成果と収益貢献が接続できない場合、クリック数(サイトへの誘導数)。

 

と広告主側のビジネスモデルや事業フェーズによって、達成すべき目標(KPI)は多様です。

上記の様々な要素を考慮した上で、①広告主と②広告代理店で【KPI】と【予算】を互いに合意し、契約を結びます。

 

ただ実は互いに合意した裏側では、相反した期待が発生してしまうです。

 

 

前項でお伝えしたように、

①広告主が②広告代理店へ支払う手数料(報酬)は、要件の難易度や実施する業務内容ではなく、予算(使用する広告費)に比例するのです。

『要件の難易度や実施する業務内容ではなく』というところが相反する期待は生まれるポイントとなります。

 

①広告主側は、同じ金額を払うならなるべく動いてもらおう。
②広告代理店側は、同じ工数が掛かるならなるべく(広告費を)使ってもらおう。

 

と各々に期待が生まれるのです。

 

 

①広告主と②広告代理店で【KPI】と【予算】を互いに合意契約し、パートナーとなります。

合意した【KPI】を①広告主と②広告代理店の両社で協力し、クリアできている内は、何の問題もないのですが・・・

いくつかの要因が噴出したときに、この両者の持つ裏側の期待がドッと表出します。これをどちらかがのみこめなくなった際にパートナーシップが解消されます。

この部分を掘っていく前に、インターネット広告代理店目線の話に移ります。

 

インターネット広告代理店のビジネスモデル

インターネット広告業界の片隅で「事実⇒課題⇒理想⇒解決策」を長々とポジショントークをしてみた②』へ続く

 

 

執筆者 株式会社ワンチーム 谷田脩一郎

化学、食品、人材、機械、メディア、公益財団法人と様々な業界でセールス、マーケティング、事業開発を経験。インターネット広告業界の中小企業や、スタートアップ、NPOなど、フェーズに合った最適なサービスを受けられない構的課題を解決するため、株式会社ワンチームに参画。

デジタルマーケティングのコンサルティング、企業向けの研修、大学生向けの育成事業など行う。

 

◆著者プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

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