戦略・事業
HR(人事/組織)施策のROIC(投資対効果)とKPI設計をどう考えるか
2024.11.16
はじめに:人事施策の投資対効果(ROIC)の重要性
多くの企業では、採用や研修、エンゲージメント向上といったHR(人事/組織)施策を進めていますが、その効果を経営指標の視点から具体的に測定できている例は少ないように思います。
逆にこの考え方がある方は希少ですし、是非適切に評価され、広報集を得られる仕組みを作っていきたいです!!!
この記事では、経営や事業の利益に直結する**ROIC(投下資本利益率)**を中心に、KPI(重要業績評価指標)設計の考え方を解説します。
1. ROICとHR施策の関係を理解する
ROICとは?
ROIC(Return on Invested Capital)は、投下した資本に対してどれだけの利益を生み出せたかを示す指標です。計算式は以下の通り:
ROIC=営業利益(NOPAT)投下資本\text{ROIC} = \frac{\text{営業利益(NOPAT)}}{\text{投下資本}}
HR施策においては、例えば以下の要素が「投資」として扱われます:
- 採用活動や研修プログラムの費用
- エンゲージメント向上のための施策費用
一方で、「利益」は人事施策が生み出す定量的成果(売上、離職率改善、生産性向上)として捉えます。
なぜ人事施策でROICを考えるべきか?
従来のHRは、**コストセンター(費用部門)として扱われがちです。しかし、効果測定が曖昧なままでは、企業の競争力を高めるどころか資源を浪費するリスクがあります。
経営視点でROICを重視することで、人事部門を戦略的なプロフィットセンター(利益部門)**として捉え直すことができます。
2. KPI設計の基本:MECE(網羅的かつ重複しない)アプローチ
HR施策におけるKPIの種類
以下のようなKPIがHR施策で利用可能で、なるべく下部の経営や財務など企業や組織が目指す最終的なKGIから近く、遠い場合も紐づきや関与度を明確にする必要があります。
① 組織・人の特性(ターゲット)
活用用途: 採用スクリーニング、マネジメント手法、組織課題の明確化
小カテゴリと例:
- 適性/コンピテンシー:
- SPI(適性検査の一種)
- ASD(自閉症スペクトラム障害)と情緒的共感(突破力を図る)
- 知能検査と性格検査: 例) WAIS-IV(成人知能検査)、P-F Study(性格検査)
- イノベーション能力:
- TCI(気質と性格インベントリ)を活用した遺伝的特性の評価
- ストレス耐性:
- 神経症傾向を評価する「ダークトライアド」や「エニアグラム」
- 欲求診断:
- 勝ちたい/頼られたいといった欲求を「BNT基本欲求診断検査」で評価
- 組織カテゴリやフェーズ: 例) スタートアップや成熟した組織の分類
② 人事施策と論理(施策)
活用用途: 実現可能性向上、効果測定の適切化、課題整理
小カテゴリと例:
- 採用人数管理: SNS活用やイベントによる採用活動の最適化
- 定着率(離職率): マネジメント民主化モデルを活用して改善
- 人材の質: 発達心理学を応用して課題を可視化する「課題マップ」の活用
③ KPI(中間結果)
活用用途: KPIの見直しや課題改善の明確化
小カテゴリと例:
- 採用人数: SNSやイベントでの活動効果測定
- 定着率: 離職率の低減策
- エンゲージメント(表層的な指標):
- 記名式意識サーベイで測定
- エンゲージメント(実態に基づく指標):
- 例) 規律順守率、他責傾向発言、リファラル協力率(社員が採用を勧める割合)
- ブランド認知度: 働き甲斐や外部評価のランキングで分析
- 生産性やLTV(顧客生涯価値): 労働成果と顧客維持価値を評価
④ KGI(最終結果)
活用用途: KPIの評価を踏まえ、経営指標を明確化
小カテゴリと例:
- 顧客インパクト: 顧客数×満足度、あるいは変化率で評価
- 新規事業のPMF(プロダクト・マーケット・フィット)達成率: 新事業の成功を測る指標
- 売上や利益: 組織の最終成果
- 株価: 長期的な成長性や企業価値を反映
活用ポイント:
- 体系的評価:
上記カテゴリを順に評価することで、採用・人事から経営全体の効果を網羅的に把握可能。 - 効果測定の明確化:
定性的な施策を定量化(KPI→KGI)し、改善の根拠を明示。 - カスタマイズ可能性:
組織のフェーズや業界特性に応じて柔軟に適用可能。
このフレームワークは、まだブラッシュアップ中です。
是非ご意見いただければ幸いです。
採用・人事施策から最終的な経営指標までを一貫して管理する方法論として活用できます。それぞれのカテゴリで適切なツールや指標を選ぶことで、組織の効率性や生産性を向上させる基盤を築けるデータの取得と効果測定の仕組みを作ることを目指しています。
経営視点でHRを設計する人材の不足
現状の課題
多くの企業で、HR部門が経営戦略と連携していないケースが見られます。理由は以下の通りです:
- ROICの理解不足: 財務的な指標を活用する文化がない。
- 経営と現場の連携不足: HR施策が経営目標から独立して進められることが多い。
理想的なHR担当者像
- データ活用能力: KPIの効果測定を定量的に行うスキル。
- 経営知識の理解: 事業利益との関連性を説明できる。
- ビジネスパートナーとしての立場: 単なる労務管理ではなく、戦略的な提案を行う。
4. HR施策の具体例:投資対効果をどう高めるか
以下は、ROICを向上させるHR施策の実例です。
① 採用活動の効率化
- SNS広告の活用: 若年層向けのターゲティング広告で、必要な人材にリーチ。
- AI面接ツールの導入: スクリーニング時間を短縮し、適切な候補者を見極める。
② エンゲージメント施策
- ピープルアナリティクスの活用: 離職予測モデルを構築し、早期退職を防止。
- 定期的なフィードバック制度: 360度評価やワンオンワン面談で社員の満足度を把握。
③ 生産性向上施策
- スキル向上研修: デジタルスキルやリーダーシップ研修を実施。
- 柔軟な働き方の推進: ハイブリッドワークや成果主義の導入で、働きやすさを向上。
経営視点を持つHRが企業の未来を創る
経営の利益を意識したHR施策は、単なるコストではなく、組織全体の成長を支える重要な投資です。ROICやKPIを正しく設計・活用することで、HRは企業競争力の強化に直接貢献できます。
「経営視点を持つ人事担当者」の育成と、戦略的な施策設計の推進が今後の課題です。
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