コンピテンシー評価とは?メリットやデメリット、導入する方法について解説

評価マル

新しい人事評価のあり方として、「コンピテンシー評価」というものがあります。

 

コンピテンシー評価は、従来の人事評価制度から大きく進化したもの。

 

コンピテンシー評価は、海外ではすでに積極的に導入され、人事評価のあり方を大きく変えています。

 

組織と評価される側の人材双方に大きなメリットをもたらす考え方として、日本国内でも耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。

 

本記事ではコンピテンシー評価のメリットやデメリット、導入する方法などについて解説します。

コンピテンシー評価とは?

分析

コンピテンシー評価は、人事評価の一種です。

 

分野ごとで定められた「行動特性」を基準として、人事評価を下します。

 

コンピテンシー評価では、結果はもとより、「被評価者が行った行動」に評価を下すものです。

 

一例を挙げれば、

  • 交渉における能力
  • 重要な場面で意思決定をおこなう能力
  • セルフコントロール
  • アカウンタビリティ
  • リーダーシップ
  • 対人関係を構築する能力

 

といった評価基準が存在します。

 

各評価基準において、被評価者が定められたコンピテンシーモデルをどれだけ再現できているか、というのがポイントとなります。

 

コンピテンシー評価を導入する主な4つのメリット

メリット

コンピテンシー評価がもたらすメリットは、多々存在します。

 

主だったものを挙げれば、以下4点が挙げられるでしょう。

 

①客観的な人事評価が可能になる

もっとも大きなメリットとしては、「客観的な人事評価ができるようになる」という点があります。

 

これは、コンピテンシー評価は、きわめて具体化された評価基準を持っているという点に由来します

 

人事評価は明確な基準を持たなければ、どうしても評価する側の主観が入り適正な評価から乖離してしまいがちだと言えます。

 

しかし、コンピテンシー評価なら主観を排除して、基準だけに基づいた客観的な評価をおこなうことが可能です。

 

また、「評価される側も納得しやすい」という側面もあります。

 

②より効率的に人材育成できる

人材育成

コンピテンシー 評価を導入により客観的な人事評価ができるようになれば、人材育成も効率化されます。

 

理由としては、「コンピテンシー評価は、すでに高い実績を残している行動が、評価基準に用いられるから」という点が挙げられます。

 

社員全員がコンピテンシー評価を参照すれば、社員は一律で目指すべき人材像や行動を、具体的に把握できます。

 

さらに「何をすれば評価が得られるのか?」というところが明確化され、モチベーションが向上するという側面も。

 

というような形で、効率的な人材育成ができるようになるというわけです。

 

③具体的な対策に落とし込みやすい

思いつく

コンピテンシー評価を活用すれば、具体的な対策も策定しやすくなります

 

理由としては、コンピテンシー評価における評価基準が「何の行動が最善であるか」を具体的に表している、という点が挙げられます。

 

たとえば「交渉において、どのような行動がベストか?」ということが明確に提示されていれば、現状との差分を考えることで改善案を出せるはずです。

 

被評価者の視点に立てば「今後、何の対策を立てるべきか?」ということが、具体的な形で理解できるようになるでしょう。

 

④被評価者のマネジメントがしやすい

マネジメント

企業側から見れば、被評価者のマネジメントがしやすいというのもメリットとなります。

 

コンピテンシー評価を用いることで、社員ごとの行動・スキルなどが理解しやすくなるからです。

 

これを踏まえれば、適切な人材配置やアサインなどの判断が、ある程度容易となります。

 

また経営方針や事業展開を判断する場合にも役立つでしょう。

 

このような形でコンピテーション評価を用いれば、被評価者のマネジメントがやりやすくなります。

 

コンピテンシー評価を導入する主な2つのデメリット

一方で、コンピテンシー評価にはデメリットも存在します。

 

以下のようなデメリットは、認知しておく必要があるでしょう。

 

①導入へのハードルが高い

問題

まず、コンピテンシー評価を導入するハードルが高いという点。

 

やはり「コンピテンシー評価における評価基準を作るのが困難であること」が、導入を難しくしている要因です。

 

コンピテンシー評価には、決まり切ったテンプレートのようなものが存在しません。

 

企業ごとでコンピテンシーの評価基準を設ける必要があるため、相当なリソースが必要となります。

 

というようにコンピテンシー評価を導入するまでには、高いハードルが存在します。

 

②企業の考えと評価基準にズレが生じる可能性がある

時間の流れ

また、コンピテンシー評価の基準が企業の変化に対応仕切れないケースも考えられます。

 

なぜなら、コンピテンシー評価は変わり続ける企業側が立たされている状況やビジョンと連動し続けるものではないためです。

 

すべての企業は、程度に違いこそあれ、成長したり、新しい取り組みに挑戦し続けるものです。

 

それにともない、理想とされる行動特性も変化します。

 

行動特性が変われば、一度定められたコンピテンシー評価基準とはどうしても異なる部分が出てくるというわけです。

 

というようにコンピテンシー評価は、環境の変化に対応仕切れないといデメリットを有しています。

 

コンピテンシー評価を導入する手順

歯車

中には、「コンピテンシー評価の導入を検討しているが、手順がわからない」という人もいるでしょう。

 

コンピテンシー評価は、以下のような手順で導入することができます。

 

①優秀な社員へのヒアリングを実施する

ヒアリング

第一に、優秀な業績を出している社員へヒアリングを実施します。

 

なぜヒアリングが必要かというと、優種な社員の行動特性が、コンピテンシー評価におけるモデルとなるからです。

 

ヒアリングでは、誰しもがやっている行動ではなく、「ヒアリング対象だけが取っている独自行動」に注目するのが、重要なポイントとなります。

 

さらに可能な限り行動特性を正しく理解する、というのも重要です。

 

また必要であれば、ヒアリング対象に近しい人物から、ヒアリング対象の情報を聞き出すことも重要です。

 

本人でさえ気づいていない、特徴的な行動が見つけられるかもしれません。

 

②コンピテンシー評価のモデルを作成する

歯車複数

ヒアリング内容に基づき、「理想的な行動を取れる人材」をモデルとして作成します。

 

モデルには、以下のように基本となる「モデルの型」が存在します。

 

状況に応じて、最も適切なモデルの型を選択するのが重要です。

 

実在型

コンピテンシー モデル 実在型

実在型モデルとは、「実在する優秀な社員」を基準としてモデルを構築するものです。

 

コンピテンシー評価に用いられるタイプの中では、もっとも広く用いられています。

 

実在している人物がモデルとなるので、現実に即していて、再現性も高いのが特徴です。

 

もしモデルとして成立しうる人間がいれば、実在型がもっとも適切な選択として考えられています。

 

理想型

コンピテンシー モデル 理想型

理想型は、実在型に反して「架空の人材」を基準としてモデルを構築するものです。

 

実在型のモデルとして成立しうる人材がいない場合、よく使われます。

 

理想型の場合には、経営方針や事業計画、事業内容などが、モデルを構築する材料となります。

 

基本的に実在型ほどモデルを作るのが難しくないのが特徴です。

 

ただしあくまでも想像の中で作られるモデルなので、現実性がない形になられないように注意する必要はあります。

 

ハイブリッド

コンピテンシー モデル ハイブリッド

ハイブリッドは、実在型と理想型の利点を組み合わせたモデルです。

 

基本的には実在型モデルを基準として、そこに理想型で考えうる行動特性を盛り込む、といった形で作られます。

 

③コンピテンシー評価のモデルと優秀な社員との相違をなくす

続いて、作成したモデルとヒアリング対象となった社員との間で、相違がないか確認します。

 

モデルを作り上げても、実際に社員が持っている行動特性と乖離があるというケースは、決して少なくありません。

 

そのままモデルを使ってしまうと、適切ではないコンピテンシー評価が行われてしまう、ということになります。

 

したがって一度作成したモデルと、ヒアリング対象となった社員との間において、相違がないか確認しておくことは非常に重要です。

 

④評価項目としてまとめる

項目

モデルを原型として、最終的には評価項目としてアウトプットします。

 

アウトプットする際に重要となるのは、「すべてにおいて具体的である」という点です。

 

誰が見ても、ひとつの解釈しか存在し得ないような項目が理想形となります。

 

たとえば「1日に○件以上、アポイントメントを取っている」というような形です。

 

また、「行動が実践できているか否か、容易に判断できるものにする」という点も意識する必要があるでしょう。

 

コンピテンシー評価の基本形とWHOが提唱する具体例

評価例

先ほど、「コンピテンシー評価は、各企業で独自に定める必要がある」と解説しました。

 

とはいえ、全く参考になる情報がない、というわけではありません。

 

WHO(世界保健機関)が、コンピテンシー評価における基本となる部分について、以下で紹介する3つのコンピテンシーを公開しています。

 

これを具体的なサンプルとして紹介するので、参考としてください。

 

ちなみにWHOが利用しているものなので、「保健」や「健康」にコミットした部分も存在します。

その部分は、自社においてコミットすべき点へ置き換えることが必要です。

 

なお、評価基準の画像をタップすると、該当するコンピテンシーがダウンロードできるWebサイトへ遷移します。

 

コア・コンピテンシー 

コア

(引用:三重県立看護大学 学術機関リポジトリ「WHO グローバルコンピテンシー モデル」

(原文:WHO GLOBAL COMPETENCY MODEL

コア・コンピテンシーは、全従業員に対して適用できる、もっとも重要かつ一般的なコンピテンシー。

 

あらゆる部署や業務、職位に対して共通して求められる行動特性が盛り込まれているものです。

 

WHOの場合は、「コミュニケーション」について重視した内容が盛り込まれています。

 

マネジメント・コンピテンシー

マネジメント

(引用:三重県立看護大学 学術機関リポジトリ「WHO グローバルコンピテンシー モデル」

(原文:WHO GLOBAL COMPETENCY MODEL

 

マネジメント・コンピテンシーは、名前のとおり管理職を評価することに特化したコンピテンシー。

 

管理職に就いている社員には、コア・コンピテンシーとは別に、マネジメント・コンピテンシーでの人事評価が実施されることが多くあります。

 

WHOの場合は、目標に対して人材を導けるかどうか、というところが重視された内容となっています。

 

リーダーシップ・コンピテンシー

リーダーシップ

(引用:三重県立看護大学 学術機関リポジトリ「WHO グローバルコンピテンシー モデル」

(原文:WHO GLOBAL COMPETENCY MODEL

 

名前のとおり、リーダー的な役割を持つ社員に対して使われるコンピテンシー。

 

WHOの場合は、「WHOが持つ存在意義や国際環境を理解したうえで、積極的かつ戦略的に行動しているか?」というところに重きが置かれています。

 

コンピテンシー評価を用いて、より具体的かつ効率的な企業活動を

ランプ

コンピテンシー評価は、優秀な人材の行動特性に基づいた評価基準を用いて、人事評価として落とし込むというものです。

 

きわめて具体的かつ公平な評価のあり方であり、企業および社員一人ひとりにとって、大きなメリットをもたらします。

 

企業からすれば、人材育成が効率化され、より優れた業績を残すところへつながっていくでしょう。

 

社員から見れば、取るべき行動が具体化される、モチベーションが高まる、といった点がメリットとして得られます。

 

コンピテンシー評価を導入するにはハードルがありますが、リソースを割いてでも、用いる価値はあると言えるでしょう。

 

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▼代表者プロフィール▼



株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温 □TwitterFacebook

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上智大学外国語学部卒。

マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、 広告予算ほぼゼロで、アンケートアプリの若年層国内ナンバーワンを達成するなど、マーケターとして絶大な実績とノウハウを有する。

  中小・スタートアップの、マーケティング・事業戦略と実行人材の業界の構造的な課題を痛感し、 その解決の為、当時の貯金の1000万円をすべて投じ、”株式会社まーけっち”を創業。

大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、 コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。

           

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