戦略・事業
セミナー企画 成功に欠かせない6つのポイント
2020.08.22
「刺さるオンラインセミナー/ウェビナー」企画のポイント
コミュニティ主催者のために、複数コミュニティ運営13年・イベント企画約600件の実践に基づく方法論を、誰もが使えるように言語化しようと思います。
今回は、参加者に刺さるイベントをどう作るかの考え方です。オンラインセミナー、ウェビナーの方法論全般は下記書籍に詳説したので、よろしければご参考ください。
※オンラインセミナー/ウェビナーのうまいやり方 構成と主な内容
第1章 セミナーのオンライン移行の基本
第2章 オンラインセミナーを成功させる基本
第3章 オンラインセミナー企画の立て方
第4章 オンラインセミナー集客
第5章 オペレオンラインセミナー ーションを中心とした、継続と改善の仕組み
セミナー企画のポイント① セミナー企画目的が曖昧だと、失敗リスクが高まる
イベントは、参加者間の関係構築、新規メンバー獲得など、コミュニティを活性化させ、健全に成長させていくためには欠かせないでしょう。イベントはコミュニティの活動実体の一部とも言えます。
コロナ後は対面イベントが難しくなってしまいましたが、オンラインであってもイベントが活動の重要な一部であることに変わりはありません。
しかし、そのような重要なイベントを毎回何のためにやっているか言語化しているでしょうか。案外「毎年/毎月やっているから」「イベントは必要だから」と、言語化していなかったりしませんか。関係する人々に言語化してもらったら全く別のことを考えていた、なんてこともあるかもしれません。
目的が曖昧だと、何ができたら成功と言えるのか、そのためには何をすればいいのか、各人が判断できず、手伝ってくれる関係者の動きもチグハグになってしまいかねません。そうなれば、イベントが失敗したり、一部の人が不満を感じたりする可能性が高まります。
よくあるセミナーの「目的」のパターン
経験上、セミナーやイベントの目的は概ね以下のどれかに収まるかと思います。
・ニーズ吸い上げ、アイデア具現化
・既存メンバー間の関係構築
・既存メンバーの活性や満足度の向上
・新しいコンテンツの完成度UP
・新しいコンテンツのニーズ整合度UP
・コミュニティの認知・信用向上
・新規メンバー獲得
・仕組みの実装、実運をこなれさせる
・運営メンバーのリクルーティング
・運営メンバーのトレーニング
・外部の人や団体との関係構築
複数の目標を同時に追求することも多いですが、何が最も重要かは明確にした方が良いでしょう。
ちなみに、イベントを実施する目的で最も多いのは、既存メンバーの活性化や満足度向上、新規メンバー獲得だと思います。特定の活動目的やビジョンの元に人が繋がり活動することがコミュニティの核だからです。
セミナー企画のポイント② イベントで重要な3要素
イベントには目的が重要であることは上に述べました。
目的には必ずターゲットがあり、期待するアクションがあります。人にアクションを強制することはできませんので、自発的に動くように仕向ける必要があります。そのアクションを誘発するのがコンテンツです。
例えば、オンラインイベントの収益化をどうすればいいか模索している人に向けて「オンラインイベントをゼロから立ち上げ3ヶ月で1,000万円の売上を上げた方法」のセミナーを案内すれば、自ら望んで申し込むでしょう。コンテンツがターゲットの課題解決になるからです。
必要な要素を掘り下げて整理すると以下のようになるでしょう。
・イベントを通じて達成したいこと
(直接のゴール、最終ゴール)
・どんな人に、どんなアクションを取ってもらいたいか
・具合的なペルソナ
(何をしている、どんな人か)
・ターゲットの課題認識
(理想、問題、原因、解決策、認識レベル)
・課題解決に向けたこれまでの努力
・問題の深刻さ、感情レベル
・テーマ
・フォーマット
(講義/対談/パネル、ワークショップ、交流会、など)
・講師やファシリテーター
・方法論とマテリアル
(資料やワークシートなど)
セミナー企画のポイント③ ターゲットに刺さるコンテンツは何もしなくとも、申し込みが殺到する
時々、イベントを公開した瞬間に申し込みが入り、広告も拡散のための施策もないのに、1週間もせずに定員なり(オンラインで定員がなければ、申し込みが数百人に達し)、実施すると参加者満足も高い、というイベントがあります。ターゲットの強いニーズを的確に捉え、見た瞬間に申し込む、反射的にいいね!やシェアをして拡散するものなのでしょう。
約600件の企画経験があるとはいえ、そのようなものは数えるほどです。
参考までに挙げてみると以下のようなものです。
・0から始める、企業のYouTube
・中の人に聞く、ハイプサイクルの本当の読み方
・価値創造とアート~高収益企業の創業経営者にきく実践事例
・デザイン×経営の最先端
・ハーバード・デザイン大学院が教える最先端の事業創造メソッド
・<Design x 事業創造>世界の人材育成と実践事例
・起業のダークサイド
・ICO超入門
3)希少性:他にない要素の組み合わせ、他で登壇していない講師
※その他、集客のベースとしては以下の要素も影響すると思います
・ターゲットの多さ x 課題の切実さ
なお、有名人を呼んでも満席になりますが、それは企画の力ではないので含めません。
セミナー企画のポイント④ 単に刺されば良いわけではない〜目的との整合が大事
ただし、人がたくさん来れば良いわけではありません。新規メンバー獲得を目的とする場合、安易に「参加人数x加入率」で考え、参加人数を増やそうとしがちですが、コミュニティの趣旨に合わない人がいくら来ようとも意味がありません。コミュニティに入る可能性は低いでしょうし、むしろ趣旨に合わない人が入ると、コミュニティは内部に矛盾を抱えることになり、危険だからです。
よって、単なる頭数よりターゲット/参加人数の純度の方が重要であり、参加人数より加入率が高い方が望ましいのです。ターゲットが絞れれば、コンテンツのフォーカスも絞れるため、企画や案内も作りやすくなります。
コンテンツにも適正なサイズがあります。参加者同士の関係の質を上げることが目的なら、多すぎる参加者は好ましくないでしょう。
このように、目的と目指す状態を明確にした上で、それを軸に、どんな人がどれくらい来て、何を得て、どんな気持ちになってもらい、どういうアクションを取ってもらうかを明らかにしていくことが、コミュニティのイベントを成功させるに当たって重要なことなのです。
セミナー企画のポイント⑤ 試行とチューニングの継続で確率を上げる
イベントは水物です。全く同じ内容でやっても、参加者が3倍違うこともざらにあります。確実にうまくいく方法などありません。また、まぐれ当たりをしても、成果が継続的に安定しなければ意味がありません。考えながらPDCAサイクルを何度も回すことが、刺さるイベントを作る最も確実な方法です。
噛み砕いて言えば、まずは、目的・ゴールを言語化し、ターゲットの課題仮説を立て、ターゲットの課題解決となるコンテンツを企画し、ターゲットにとっての価値が明確になるように、ターゲットの視点や言葉で案内文を描くことです。
そして、案内を発信・公開した後の反応、実際の申し込み、参加者の反応、主催者としての洞察、モニターからのフィードバック、アンケートの反応をもとに、当初考えていた仮説とのギャップ、その原因とメカニズムを分析し、具体的な改善施策を即座に言語化して記録しておくことです。
実は、継続することがまず大事になります。1回1回の負荷が高いと、主催者や運営メンバーの心が折れます。持続可能な仕組みづくりについては、別の機会に述べましょう。
セミナー企画のポイント⑥ まずは気軽に、素早く、小さく試そう
お気づきかと思いますが、基本となる考え方は「プロトタイピング」です。まずはカジュアルなものでいいので、仮説を立てて、素早く形にして、想定ターゲットに当てて反応をみることです。やってみるといろんなことが見えてきます。
一生懸命ネットサーフィンやヒアリングをして企画書をなんども書き直すより、よほど得るものが多いです。人は無意識に嘘をつく生き物なので、聞いたところで生々しい本音は出てきませんが、「実物」を目の前に出すと、反射的に反応するものでもあります。何より自分で気づくことが多いでしょう。
但し、漫然とやってもダメで、「このイベントは成功したと言えるか」を判断できる仮説をあらかじめ言葉にしておく必要があります。
企画書は不要、案内文と補足のメモで十分です。関係者とのすり合わせも案内文の方が手戻りがなくて確実です。企画書で合意しても、案内文をみて「ちょっと違う」なんてことはよくあります。ならば、最初から案内文に必要なことを盛り込んで1度で勝負を決める方がいいでしょう。登壇条件やロジなどは、欄外のメモに記せばいいのです。
いきなり大々的にやるのではなく、まず粗い状態でも許容してくれ、建設的なフィードバックをくれるような、関係性のできている人を、人数を絞って、個別に事情説明て納得の上で来てもらい、一般公開可能なレベルまで精度を上げていく方が無難だと思います。
まずは気軽に試してください。
セミナー企画を成功させるには?ご案内:オンラインコミュニティ(無料)、他
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よろしければ気楽にご参加ください。
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