インタビュー
データは宝の山? それともゴミの山? マーケティング・データ活用術
2019.07.12
今、データを中心に意思決定を行う、「データドリブン」が企業で求められています。
マーケティングでどうやって「データ」を活かせるのか、「データ」利活用で失敗しないためにはどうしたらいいのか、青山学院大学でデータサイエンティストを養成している、大原剛三教授にお話をお伺いしました。
■企業でデータが重視されるようになった背景
―最近、マーケティングでも、データドリブンと言われるようになりましたが、どういう背景があるのでしょうか?
大原教授(以下大原)「行動履歴、購買履歴などのデータがとりやすくなったということが背景にあります。ポイントカードやウエブサイトでの購入などを通じて、今までわかりにくかった人間の興味や嗜好といったものが、オンライン、オフラインでもデータでわかるようになったのが大きいですね。最近、色々なポイントカードが乱立していますが、どんな人にどんなプロモーションを打てばいいのか、独自にデータから導き出すことができるようになったんです。ネットだけの販売だけでなく、リアル店舗での展開にも使えるようになってきました。IoTも普及してきていますしね」
■一番大変なのはデータ収集
―IoTといえば、浅草の地域活性化のため、大原教授、弊社、“花やしき”で人流を測定する共同研究をしておりますが、データの利活用について、マーケッター以外でも、経営者でも興味を持っている人も増えていると実感しています。
大原「そうですね。でも一番大事なのは、データをいかに収集してくるかなんです。IoTやポイントカードのシステムもそうですが、データを収集するコスト(設備やサーバ管理費など)が高いのを念頭に入れておくべきです。
あとは、GDPR(General Data Protection Regulation一般データ保護規則)、個人情報の壁もあります。また、途中でこういう情報を収集したいと追加するようであれば、またゼロから収集しないといけない。そこまでしても、意味がある結果が出るのかは保証できません。これからデータを収集したいと考えるのであれば、最初は、コストを考え、小さくはじめてみるというのがいいと思いますよ」
■データ分析でなぜ失敗してしまうのか
―データを持っていたとしても、“今あるデータから宝を見つけろ”と上司に言われて、困ってしまうケースもよくあると思うのですが。
大原「データが大量にあっても、目的がズレていたら成功しません。私の経験では、ターゲットがはっきりしないまま分析に入ってしまうと失敗するケースが多いですね。もちろん、データを探索しながら、意外なものを探し当てるといケースもあるのですが、それでも、どういう視点なのか(売上なのか、顧客満足度なのかなど)を決めないと、結局何のための分析なのかわからなくなってしまいます。
あと、“当たり前”はメインで分析しないということです。例えば、“暑い日に冷たい飲み物が売れる”というのは当然で、そんな事を報告しても誰も喜ばないわけです。“暑い日に売れるドリンクの中でもジュースなのか、お茶なのか”という部分が大事。細かくモレなく見ていくことで、目的に即したアウトカム(成果)を得ることができると思います」
青山学院大学 理工学部 教授。研究テーマは、機械学習アルゴリズムの応用と開発、推薦システムの開発、ブログ間ネットワークに代表される インターネット上の社会情報ネットワークにおける情報伝搬解析などを中心とした研究など。青山学院大学にて多くのデータサイエンティストを養成している。The 2014 International Conference on Data Science and Advanced Analytics (DSAA 2014) 、2015年度人工知能学会全国大会優秀賞などを受賞。
◆聞き手プロフィール
株式会社外為印刷 新規事業準備室。大学卒業後、本の編集者の道へ。
日本経営士会 経営士 経営改革支援アドバイザー
http://www.gaitame.co.jp/
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