ストーリーマーケティングを成功させるポイントは?4つの成功事例から学ぶストーリーの作り方

最近注目を集めるストーリーマーケティング。SNSなどを活用して商品やサービスに対する共感を集め、ファンをつくっていくストーリーマーケティングは、新しいマーケティング手法として多くの企業で取り始められています。

本記事では、ストーリーマーケティングを成功させるためのポイントをお伝えしていきます。成功事例を交えながら、ストーリー作りのポイントを理解していきましょう。

 

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1.ストーリーマーケティングとは何か?

 

 

ストーリーマーケティングとは、商品やサービス、企業のストーリーを通してユーザーにメッセージを届け、共感してもらい、ユーザーの行動を促すマーケティング手法です。

 

ストーリーにすることで、商品やサービスそのものにフォーカスするのではなく、利用することで得られる体験や感情を伝えることができます。さらに、共感してもらうための印象付けを行うこともできるのです。

 

つまり商品よりも、その商品を使った物語を展開し、企業そのものの認知度を高め、企業に好感度と愛着を持ってもらい消費者の層を増やすという目的があります。

 

その結果、購買行動につなげられたり、会社や社員のファンになってもらえたりすることが期待できます。

 

2.ストーリーマーケティングが重要になった背景は?

ストーリーマーケティングが重要になった背景には、IT革命やSNSの発展によって消費者が自分で情報を取得でき、企業もマスメディアを使わずとも継続的に自社の発信ができる世の中になったことが大きく影響しています。

 

IT革命以前は、企業が消費者に対してリーチするためには広告を打つことが最も現実的で、多くの顧客にリーチできる手段でした。

 

また、消費者も自ら情報取得ができる状態ではなく、テレビやラジオで流れた情報を受け取っているだけした。そのため、全ての企業が、「企業から消費者へ」という一方通行の情報発信が主流となっていました。

 

こうしたマーケティング手法に転機か訪れたのは、様々な分野において技術革新が起こり、商品やサービスがコモディティ化していったことが一因となっています。価格やスペックといった点だけでは、差別化が難しくなっていきました。

 

また、しかし、スマホやSNSの普及を通じて、自分の好きなメディアやSNSなどから日常的に情報を仕入れることができる状態になり、消費者自らが仕入れた情報を自ら発信者として拡散することができるようにもなりましたなりました。

 

このような背景の中で、コモディティ化した商品を価格競争に巻き込まれることなく、販売していくためには、商品やサービスを買う理由としてのストーリーが必要になってきたのです。また、

 

個人がメディアやSNSを持つ時代になったことで、このような共感を呼ぶストーリーがは拡散されるようになり、やすく、一方でそうではないものは見向きもされないような時代に入ったといえます。

 

どの企業でも簡単に自社の発信ができるようになったことにより、ファクトベースでの差別化が難しくなっています。その中でブランドや企業が消費者にとって特別な存在になるために、ストーリーが必要になったのです。

 

3.ストリーマーケティングと類似のマーケティング手法は?

ストーリーマーケティングと類似のマーケティング手法として、「コミュニティマーケティング」と「共感マーケティング」があげられます。これらのポイントと違いについてみていきましょう。

 

・コミュニティマーケティングとは

コミュニティマーケティングとは、イベントなどのオフラインの場やSNS上などのオンラインの場まで、コミュニティを通して自社の製品・サービスをプロモーションするマーケティング手法のことです。

 

人は昔から集団生活をしており、コミュニティを形成して生きてきています。そのことからもわかるように人はもともと「コミュニティに属したい」という帰属欲求を持っています。

 

SNSの普及により、自分と興味関心のポイントが近い人同士で集まり、コミュニティを形成することが容易になったことで、コミュニティが成立しやすくなりました。

 

 また、ライフスタイルが多様化してきたことで、マスマーケティングの有効性が相対的に低下し、消費者にそもそも商材に対する興味関心がなければ購買意欲をそそることができなくなりました。

そこで、商材に対して興味関心を持ってもらえるように、喚起させる段階からマーケティングを行う必要が出てきているのです。

 

 コミュニティマーケティングの場合は、ストーリーマーケティングと違い一方通行の発信だけでなく、消費者からのリアルなフィードバックがもらえることが特徴です。そのため、より消費者の声をキャッチアップしやすく、より消費者に刺さるマーケティング手法を考えることにも繋がります。

 

・共感マーケティングとは

ストーリーマーケティングで「共感」がストーリーを消費者に伝えるために非常に重要な要素でしたが、同じく「共感」を起点としたマーケティング手法が共感マーケティングです。ある

共感マーケティングとは、ユーザーが共感できる仕組みを提供し、共感を得ることで成約率を高めるマーケティング手法のことです。具体的には、多くの顧客からクチコミを集めたり、インフルエンサーの力を利用して商品の評判や評価を広めていくことです。

 

クチコミやインフルエンサーの拡散力を使い、多くの顧客の関心を集め、商品やサービスの購入率を高めていきます。

 

共感マーケティングは、企業とインフルエンサーが連携する必要があります。企業にとって商品やサービスに対する評判や評価を広げ、共感を得ていくことは、インフルエンサーの力を借りるほど大切なことです。

 

共感を得ることは購入率を上げることになるため、売上を伸ばしたいと考えている企業はユーザーの共感を得る方法を考え、実践していくことが大切です。

 

ただし、いくら影響力のあるインフルエンサーだったとしても、紹介する商品や情報そのものがつまらないものである場合は大きな効果は期待できないので注意しましょう。

 

コンテンツ自体が面白くなければインフルエンサーが紹介してもその情報は拡散されず、インフルエンサーの影響力にダメージを与えることにつながってしまいます。インフルエンサーの力だけに頼るのではなく、拡散できるコンテンツの質と信頼性を高める努力をすることが大切です。

 

4.ストーリーマーケティングを成功させるために必要なものは?

それでは、ストーリーマーケティングの成功のためのポイントについて解説していきましょう。
ポイントはまとめると次の5つになります。

  1. 合理的な訴えをしない
  2. 消費者ニーズを理解する
  3. 失敗を語る
  4. 誰にでもわかりやすいシナリオであること
  5. 自分を投影できたり共感できる登場人物がいること

 

①合理的な訴えをしない

価格や機能といった合理的なものは、注意を引くことはできますが、記憶には残りません。

例えば、生命保険を伝える際、他の保険よりも価格が安い、サポートが手圧いという内容を伝えるのではなく、自分が病気になってしまったときに保険に入っていたからこそ本人も家族も安心して病気と向き合うことができた、といったストーリーを入れることによって自分にとっても保険が大切だと思うことができます。

ストーリーマーケティングを使い、感情とつながることができれば消費者の記憶に残ります。

 

②消費者ニーズを理解する

消費者ニーズを理解し、顧客の気持ちと大きく離れてしまうことなく進めていくのがポイントです。消費者が求めている未来が何なのかを考えてみてください。

 

先程の事例でいうと、いざ病気になってしまった時に何を一番大切にしているのかを理解することが大切です。

 

③失敗を語る

失敗は誰にでもあります。失敗を語ると信頼を失ってしまうのでは?と心配されるかもしれませんが、あえて正直に、誠実に語ることが信頼につながるのです。

 

商品やサービスの良いところばかりを伝えると自慢っぽくなってしまい、自慢ばかりになると人間味がなくなり、相手と距離感が生まれます。

 

その商品やサービスができあがるまでの失敗から学んだ教訓を伝えることで、強力なメッセージになるのです。

 

失敗を語る、のは意外と難しいかもしれませんが、まずは失敗を歓迎し、失敗情報が集まりやすいカルチャーを作ることが個人でも組織でも重要です。人に共感を生み出す失敗の話のためには、失敗のディテールが非常に重要になるため、失敗が歓迎して情報共有がされ易い状態をいかにつくるのか、が重要になるのです。

 

④誰にでもわかりやすいシナリオであること

誰にでもわかりやすいシナリオにすることによって限られた時間の中でのマーケティングでも理解でき、共感を得ることができます。

 

ストーリーを作る上で、見て・聞いてすぐに分かるようなシナリオにすることによって、多くの人の共感を生み、SNS等で拡散されやすくもなります。

 

⑤自分を投影できたり共感できる登場人物がいること

自分を反映することで自分もそのチームの一員として感じることができるのです。自分とは全く関係のない話には、人は共感を持てません。

 

ストーリーの主人公でなくても、その中に自分を投影できたり共感できる登場人物をダシていくことを意識しましょう。

 

5.ストリーマーケティングの3つの成功事例

ここでは、ストーリーマーケティングの成功事例を3つご紹介します。

 

レッドブル

レッドブルは全世界で「レッドブル翼を授ける」というキャッチコピーでプロモーション活動をしています。

 

 多くの人がレッドブルのCMを見たことがあると思いますが、CMの中で自社の製品が他社のエナジードリンクと比べてどのぐらい優れている、他社の製品よりも美味しい、有効成分の◯◯配合などという製品に関する内容はまったく言っていません。

 

その代わりにCM内で登場するキャラクターたちが、通常では考えられないことをレッドブルを飲むとできるようになっている、というシナリオで作成されています。

 

通常では考えられない超人的なパフォーマンスが出せるのは、レッドブルを飲んでいるからといった「レッドブルを飲むと、とてつもないパフォーマンスを発揮して困難なチャレンジも成功させられる」というメッセージを発信して、ブランドのストーリーを伝えています。このストーリーによって、企業メッセージを世界中の消費者に伝えているのです。

 

つまりレッドブルは、単にエナジードリンクという商品を売っているのではなく、通常では成し遂げられないことをするために、また自分の限界を超えるために「あなたに翼を授ける」ものというストーリーを消費者に伝え、自社の製品の購買意欲につなげているのです。

 

JT

JTでは、「ひとのときを想う」というコミュニケーションワードが入ったCMがあります。

 

近年、喫煙スペースがどんどん少なくなり、飲食店によっては店内禁煙のお店も増えてきています。このような現状もあり、「非喫煙者の前で吸ったら迷惑をかけるかもしれない」と意識し始める喫煙者の方が増えてきているのです。

 

つまり喫煙者にとって「ひとのときを想う」というのは、自分が普段から感じていることや誰かと会うときに感じる無意識の想いを表現したようなCMであるということです。

 

また、非喫煙者にとっても、昔は平気で隣で吸っていた喫煙者の友人や同僚が、非喫煙者に気を遣うようになったという新たな発見も感じることができるようになっています。

 

アマゾン

アマゾンのCMでは、日常にアマゾンプライムを取り入れる「幸せな風景」だけを訴求し、「アマゾンはどのような未来を提供してくれるか?」と視聴者を想像させています。

 

一般的なCMは「安さや便利さ、インパクト」など、価格や機能をアピールして視聴者の注意を引きます。アマゾンの場合でいうと「翌日配送や豊富な品揃え」を強くアピールしたいはずです。

 

しかし、これらの合理的な訴えではなく「幸せな風景」だけを訴求するストーリーを伝えることでアマゾンプライムを使うと何かしら幸せになれるかもと思える内容になっています。

 

Kookey

バナナをフィーチャーしたインドネシアのスナックブランドでは、子供をターゲットにした商品を展開するために、スナックに付随するストーリーをスナック以外のコンテンツで表現しました。

 

キャラクターを設定し、そのキャラクターやキャラクターの世界観にストーリーをつけることにより、自然に商品の魅力を伝える内容になっています。

 

今回のチャプターでは、ストーリーマーケティングを成功させるためのポイントをお伝えしてきました。ストーリーマーケティングを使って、企業そのものの認知度を高め、企業に好感度と愛着を持ってもらい消費者の層を増やしていきましょう。

 

 

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◆代表プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

 

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