リサーチ
No.1調査は無駄だった?データを元に真実を解説!【No.1調査】
2021.09.06
よくテレビCMや広告で見かける「No.1」の表記。
「No.1」という表記は消費者にとって、目に止まりやすいキャッチフレーズであり、サービスの信頼性や有利性を証明するものとして、顧客の購買意欲に深く関わるといわれています。
我々は、調査会社としてこれまで何度も「No.1調査」を行ってきましたが、「No.1」表記がどのように購買行動に結びついているのか、疑問に思う点がありました。他社の調査では、「No.1」表記は購買行動に繋がる大きな効果があるとされている中、今回は、消費者目線と生産者目線の違いに視点を置き、「No.1調査」の真の活用方法を1,000人へのアンケートを通じて追求しました。
我々も調査会社のため、この記事がきっかけで案件が減ってしまうという懸念がありますが、業界が目を閉じていた不都合な真実に向き合っていこうと思います。
▼No.1調査について詳しく書かれた記事はこちら
1.No.1調査で期待されていたメリット
1-1 消費者の購買意欲促進
日本トレンドリサーチは、消費者全体の80%が「No.1」表記を参考にして購買行動を行っているというデータを公開しています。
消費者の80%が「No.1」表記を参考にしているというデータは、非常にインパクトのあるものですね。
「No.1」と自社の持つ製品・サービスに表示することで、消費者に対して商品の強みや特徴を視覚的に訴求することができるということです。
また、消費者にとって購入時の大きな検討材料となり、消費者の購買意欲に大きく関わると言われているのです。
1-2 競合との差別化
「No.1」表記は、競合他社と御社の違いである自社の「強み」を効果的に打ち出すことができ、有利性を出すことでブランドの向上を図ることができます。
他社との違いを出すことで、消費者が競合他社との違いがわからないときに大きく購買行動に寄与することが予想されます。
1-3 マーケティング施策の強化・改善
「No.1調査」を複数行うことで、サービスを導入/購入したターゲット顧客をセグメントで分け、どのような「No.1」表記がより効果的なのかを振り返り、次回の調査やマーケティング施策に活かすことも可能です。
「No.1」調査をきっかけに、マーケティング施策の改善や強化を行い、よりターゲット顧客に訴求できる施策を実行することができるのです。
また、アンケートを通じての調査のため消費者へ直接的な認知を行うことができ、プロモーション施策の一つとしても実行することが可能です。
ここまで、「No.1調査」の3点のメリットを提示させていただきました。
「No.1」表記が消費者の購買行動に大きく寄与するといえるデータから、自社マーケティングの強化/改善まで幅広い効果をもたらすということが分かりましたが、本当に期待されているほどの効果は発揮されているのでしょうか?
弊社も数々の「No.1調査」を行っており、調査会社から見て「No.1調査」が期待されているほどの効果をもたらしているのかが気になっておりました。
2.No.1表記と消費者の購買行動の関係性
2-1 No.1は消費者の購買行動の決め手にならない?
今まで特に多く調査をさせていただいた製品・サービスの種別で分けて調査をさせていただきました。
商品は、化粧品、健康食品、日用品、家電製品、インターネットサービス、その他で分け、それぞれのサービス・製品について、「No.1」表記がどこまで購入の際の決め手になるのかを調査しました。
結果として、全ての製品・サービスにおいて、5割以上の人が「No.1」の表記についてを参考にしていないという結果が出ました。
参考にする人と参考にしない人の割合は、どの商品も参考にしない人の割合のほうが高いことが分かります。
次に、「No.1」表記がどの場面で購入の際の決め手になるのかを調査するため、「商品を探しているとき」と「いくつかに絞った候補から、購入する候補を選ぶとき」の状態で「No1」の表示を見た際に、どの程度参考になりますか?という質問をしました。
結果、「No.1」表記を参考にしない人の割合は4割以上の人が「No.1」の表記についてを参考にしていないという結果が出ました。
「商品を探しているとき」「いくつかに絞った候補から、購入する候補を選ぶとき」のそれぞれの状態では、ほとんど同じ調査結果となっており、購入の際の状態以前にそもそも「No.1」表記が消費行動に結びついていないのではないかという仮説が立てられます。
2つのデータより、「No.1」表記が本当に購買行動の決め手になっていると言うことが難しいということが分かります。
以上の結果は、記事の最初に紹介した日本トレンドリサーチの調査結果である「消費者全体の80%が「No.1」表記を参考にして購買行動を行っている」というデータとは異なりますが、「No.1」表記を「ときどき参考にする」「よく参考にする」の2点の回答を合わせた数としているため、設問設計の違いが調査結果の差を生み出していることが予想されます。
そこで、本当に「No.1」表記を参考にしている人はいるのかどうか。いくつかの視点で見ていきます。
2-2 消費者はNo.1を重要視していない?
化粧品、健康食品、日用品、家電製品、インターネットサービス、その他、それぞれのジャンルの商品を購入する際に、最もよく見る(確認する)項目を教えてくださいという質問から、消費者が消費行動を行う上で一番気にするものについて調査をしました。
結果、「口コミ」「価格」「機能・効果」の3点がそれぞれの商品で最も重要視される項目であることが分かり、消費者のほとんどは「No.1」表記をあまり重要していないということがわかります。
つまり、消費者が「No.1」表記を購買行動の際に一番の決め手としているということは言えず、あくまで購買行動時に確認する要素の中の一つであるのです。
また、3-1で挙げられたどの場面で決め手となるのかという調査結果から、「商品を探しているとき」「いくつかに絞った候補から、購入する候補を選ぶとき」の両方の場合で、「No.1」表記が消費行動に結びついていなかったため、「No.1」表記が消費行動に結びつく場面は、限定的なのではないかと考えることができます。
では、No.1調査が刺さるものとは果たしてどのような製品・サービスなのでしょうか。
2-3 No.1調査が刺さる商材とは?
No.1調査が刺さるものとは果たしてどのような製品・サービスなのかを調査するため、どの価格帯から「No.1」表記を参考にするのか、化粧品・健康食品・家電製品の3つに絞って調査をしました。
化粧品・健康食品の5割以上の人が1,000円以上の価格帯から「No.1」表記を参考にするという結果比べて、家電製品はそれよりも高価格な価格帯から「No.1」表記を参考にするということが分かりました。
化粧品・健康食品と比べて、家電製品は平均的に価格帯が高いものの、「No.1」表記は高価格なもの程、参考にされることが言えるのです。
3.No.1調査を上手に活用する方法
3-1 信頼ができる調査元・方法で調査をすること
「No.1」調査を行う際に重要な点は、信頼ができる調査元・方法で調査をすることです。
まず、「No.1」というフレーズの表記には、客観的な事実に基づく根拠を示した上での表記でなければ、不当景品類および不当表示防止法の規定(景品表示法)によって不当表示の一類型とされ違反に問われてしまう場合があります。
そこで、「No.1」表記がある際に出典元、調査元、調査方法などの詳細までを確認するかという質問から、信頼ができる調査元・方法で調査をすることが購買行動にどれほど関わっているのかを考えていきます。
調査の結果、半数以上が「No.1」表記の出典元、調査元、調査方法などの詳細までを確認するという事がわかりました。
客観的な事実に基づく根拠を示した上での表記をするために、調査会社などの第三者機関にNo.1調査の実施を依頼し、規定にそった根拠を伴う「No.1」表記を行いましょう。
3-2 商材は高価格帯であると良い
2-3 No.1調査が刺さる商材とは? で提示したデータの通り、No.1調査で消費者の心理をつかみやすい価格帯は、高価格帯の商品であることがポイントとなります。
高価格帯の商品の購買時の検討材料として、「No.1」表記は効果を発揮するのです。
まとめ
No.1調査は多くの消費者が参考にしているため、「消費者の購買意欲促進」「競合との差別化」を期待されていましたが、今回の調査を通じて、No.1調査は消費者目線と生産者目線の乖離が見られていることが分かりました。
調査会社にとってこの結果は非常に不都合な真実ではありますが、結果を受けて各サービス・製品に対して最適なプロモーション方法とは何か、今まで蓄積されたデータ・ノウハウを元にして向き合っていきます。
◆顧客リサーチにはリソースが割けない!戦略は大丈夫?
戦略の意思決定を誤らないために、最低限重要なことだけを明確にできれば、
費用や時間がかからない簡単なリサーチでも十分です。
また、アンケートプロモーションでは、プロモーションと併せてリサーチをおこなうなど、リサーチとしてのコストをかけずに広告効果の補助として適切なリサーチ・マーケティングを行うことも可能です。
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私達、株式会社まーけっちは、事業の成功に根差した、リサーチ・マーケティング支援を追及しています。
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◆代表プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。
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