コミュニティ運営のコツ:目的が先か、人が先か

コミュニティマネジメント

*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
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コミュニティ運営のコツ 質問 目的明確化が先か、集客が先か

コミュニティを立ち上げる際、以下のどちらがいいでしょうか?
1)目的などを定めてから、人を集める
2)人を集めてから、目的などを決めていく

コミュニティ運営のコツ:回答ゴールに辿り着くならどちらでもOK

質問者は、コミュニティの成功には、適切なメンバーが揃い、ビジョンや目的を共有することが必要と考えています。その上で、どちらから始めるべきか、という問いを立てています。

目的から入る方が教科書的ですが、私の考えは「正しいゴールにたどり着くならどちらでも良い」です。そもそも「自分だけが得をする」「誰でもいいから頭数を集める」など、間違った方向を目指している人がおり、その方が問題だったりします。

どちらが妥当かは、前提条件による

正しい方向を目指している限りはどちらでもいいですが、自分の前提条件を鑑みて、適切な方を選ぶべきでしょう。

すでに一緒に何かをやる仲間がいる場合、例えば、信頼関係があり、目指すものが一致して、能力的な補完関係もある人々がいるなら、そのメンバーでより個別具体なビジョン、目的、方向性、スタンス、具体的活動内容などを決めていけば良いでしょう。

コミュニティマーケティングなど、会社の仕事として目的などが大枠定められている、という場合もあります。

コミュニティ運営のコツ:人から選ぶ場合のメリット・デメリット

メリット:方向性が定まれば、立ち上がりがスムーズ

すでに関係ができている人と始めるなら、ビジョンや目的がメンバー間で腹落ちすれば、走り出すのは早いでしょう。前提となる相互理解や信頼関係ができているからです。

あくまで個人的印象ですが、関係のできた人と場づくりを始める方が、ワイワイと楽しくできる可能性は高いと思います。

デメリット:やりたいことができない、人を変えるのが大変

一方デメリットは自分のやりたいことができない、ということがあります。例えば地方創生を目指すとしても、経済的成功を目指すのか、精神的満足を正解とするのかなど、個別具体の状況に落としていくと、見解の相違が明らかになったりします。

双方想いを持って一緒に取り組みを始めた場合、そのような根源的な方向性の齟齬は、妥協不可能な対立につながります。そして大抵の場合はどちらかが出ていくことになりますが、人ありきで始めたものの「人」が抜けるのは、なかなか大変だったりします。

目的から選ぶ場合のメリット・デメリット

メリット:狙い通りのことができる

自分がやりたいことを実現する、仕事でやらなければならないなど、目指すものが先に明確になってる場合は、ビジョンや目的に共感する人を集める方がブレなくて済みます。

ちょっと一緒にやってみて、お互い合わないと思えば、気軽に袂を分かつことができます。

デメリット:関係構築が大変

一方、ビジョンや目的を掲げ、共感して手を挙げた人を集めたところで、その人たちが期待通り動いてくれるとは限りません(そもそも、それは自分に都合の良い期待でしかありません)。

自分では明確なつもりのビジョンや目的も、まだ活動を始める前の段階では人に伝わるようにクリアにはなっていないことが大半です。

集まった人もいろんな思惑で集まります。それはお互い様なので仕方のないことですが、本当に趣旨を理解している人だけではなく、短期的にお金になる仕事に繋がることを期待している人、ネットワーキング目的、やってる感をPRしたい人など、健全な場における「ノイズ」と、本来的な参加者が思わざるを得ない人々も混じります。

さらに、適切に共感している人であっても、どういったことを目指していて、どんなスタンスで参加したいのか、好むことと好まないこと、様々な制約条件など、深く話して引き出し、理解したり、一緒に何かを取り組むことで相互理解と関係構築をしなければならないでしょう。

これを1人1人とやるのは、結構大変です。私がある場を立ち上げた時は、ほぼ全員初対面の30人近い人々と、30分以上の個別面談をして、相互理解だけで10時間以上を費やしました。

実行を通じて目的・関係を具体化・整合させる

よく見るのは、対して関係構築や合意形成もできていないのに、また、何も具体的な活動も始めていないのに、議論だけ重ねて空疎なミッションやビジョンを言葉にしているような団体です。それほど時間をかけずに、空中分解か機能停止に至ります。

目的も関係も、具体的な行動を通じて具体化・深化します。

100時間議論や分析するより、1回イベントを試行した方が、自分が目指すものが今考えているものなのか、それは自分がターゲットと考えている人から必要とされているのか、そもそもそんなターゲットがいるのか、即座にわかります。

関係構築を目的とした飲み会を何回もやるより、小さなプロジェクトを1つやる方が、よほど相互の理解・評価ができます。オンラインではなかなか関係構築が難しいと言われますが、リモートでできるプロジェクトやプロセスを立てて、それらがうまくいくように一緒に取り組めば、一度もあったことがない人とでも十分な関係が構築できます。

正しい「山頂」に向かっているのであれば、人経由・目的経由どちらのルートでも良いのですが、大事なことは「実際に登る」ことで、実行を通じてやがて目的が定まり、関係が築かれ、やがて同じ山頂に至るのです。

特別なケース:目的も人も所与の場合

特殊なケースとして、目的も人も最初から与えられている場合があります。例えば、最初から大規模に立ち上がったNPOやコミュニティといったものです。

この場合、ビジョン・目的の具体化と、合意形成・関係構築を同時に進めなければなりません。とはいえ、一見何も自由度が内容には見受けられますが、振ってきた目的や方針は、ある程度の幅は規定されますが、詳細な落とし込みはしなければならないでしょう。

その幅の中で、与えられたメンバー間のニーズのありかを探り、具体的なトライアルを始めながら、趣旨を適切に理解し、実務的にも貢献してくれる、核となる人を選別していくのが現実的な進め方と考えます。

コミュニティ運営のコツ:「試行段階」を活用する

お勧めするのは、メンバーでもビジョン・目的でも、最初からは正式に固定せず、仮決めでまずは動き出すことです。

正式決定をアナウンスした後に人を変えたりビジョン・目的を変えることは、内部で摩擦を生じます。ごく少人数の段階でもそれは大変ですが、少し人数が集まった後ではコミュニティ内の感情的対立や好感度の低下を招きます。

とはいえ動き出さないと見えてこないことが多くあるのも事実です。その矛盾を解決するために、仮で決めてとりあえず走り出す「試行段階」を設けるのです。

実際動いてみれば、手を挙げたものの全く反応しない人を運営メンバーリストに入れることもないでしょう。掲げたお題目が「何か違う」と思っても、一度全員で議論して合意形成してしまったから変えるのにまた議論を重ねる、ということも避けられます。

これから立ち上げようと考えている人には耳が痛い話かもしれませんが、主催者自身が本当に自分が考えているコミュニティを立ち上げたいと思っているかも試されます。関係性も同様です。

コミュニティ運営のコツ:まずは気軽に始めてみよう

最初はfacebookのグループでも、LINEのオープンチャットでも、気軽にコミュニケーションが取れるものを作り、適当な名前とざっくりした方向性だけ決めて、まずは始めてみることをお勧めします。

人のアテがあるなら個別に声をかけて乗ってきた人を巻き込めば良いですし、SNS上で「ゆる募」しても良いでしょう。また、今は様々なマッチングのアプリがあるので、そういったものを活用しても良いかもしれません。

少し動き始めれば、アクティブな人とそうでない人はすぐ分かります。自分のやり方が上手くないのなら改善すれば良いし、とりあえずノリで手を挙げたものの、期待していたものと違った、思っていたようにはできなそう、という人は、一定以上のコミットが必要とされる場からは離れてもらうだけです。気軽に立ち上げれば、気軽に組み替えられるでしょう。

動いていく中で、ビジョンや目的が腹落ちし、メンバーの動機がかみ合えば、本格段階に移行すれば良いでしょう。

 

ご参考:オンラインの場づくりについて書きました

主にイベント企画について詳説しています。

オンラインセミナー

 

◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki

conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授

大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、事業創造支援家として独立。インキュベーター立ち上げや欧州企業の日本進出を支援後、スタートアップ共同創業(取締役COO)を行う。
早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」プロデューサー就任を機に、事業開発や人材育成のためのセミナーづくりを本業とし、大学、企業、メディアからの受託や自身主催で、年間200件の企画を実現するようになる。
2020年、conecuri合同会社を設立。マーケティングセミナーの企画、社会人向け講座や企業研修の開発、それらを通じた事業創造を支援している。
新型コロナを機に、セミナーを一気にオンラインにシフトさせ、その知見を『オンライン・セミナーのうまいやりかた』として出版した。
また、13年以上複数のコミュニティ運営に携わる実践家として、大手企業や学校のコミュニティづくりも支援している。
早稲田大学 第一文学部 哲学科 東洋哲学専修 卒業 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科 修了 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム 修了 JVCA ベンチャーキャピタリスト研修 修了
 

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◆代表プロフィール

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株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。

中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。


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