リサーチ
【売上伸び悩み打破】顧客リサーチを活用した営業手法で抜本改善
2020.03.15
月々目標に設定したリード獲得数、商談数は達成しているにもかかわらず、なかなか受注できず、売上拡大に結びつかない・・・。
営業活動は、BtoB企業では当然、BtoC企業でも高額な商材など扱っていれば営業活動は必要不可欠といえるのです。
営業活動を効率的かつ効果的に行うために、どのような企業も営業手法を持っています。営業手法を設定する上で最も重要なのは、適切な顧客に対し適切なアプローチを取ることだといっても過言ではありません。
アプローチしている顧客層が間違ってたり、そもそも適切な顧客層を設定していたりすると、売り上げが大きく上がることはありません。
「思ったように売上の拡大が見込めない」と考えるようになった場合には、今一度、現在の営業手法を見直す絶好の機会です!
◆営業成績が伸び悩む原因とは?
1.意外とされていないターゲット選定とターゲット理解
自社の製品・サービスがどの市場セグメントに参入されているものなのか、どういった顧客にアプローチするかなど、営業活動においては顧客ターゲティングが必要です。ターゲティングが適切でない場合、以下のような状態に陥ることがあるので注意しましょう。
顧客ターゲティングしなかった場合
そもそも顧客ターゲティングの設定をしなかった場合、営業活動先の顧客は有象無象であり、闇雲なアプローチとなります。その結果、アクション数は担保できていたり伸びているのに、売上増加に結びつかない状態で終わってしまいます。典型的なのは飛び込み営業です。顧客層を設定していない状態で手当たり次第に飛び込んだとしても、ほぼ成果が得られないでしょう。
ターゲットが自社製品・サービスが目指すものとずれていた場合
顧客ターゲティングがずれていた場合、本来アプローチすべき顧客層に対して効果的・効率的に営業活動ができないばかりか、的外れのターゲットに対してアプローチを続け売上が見込めない、という結果となり全くの無駄になってしまいます。人事課題向けの製品・サービスをにもかかわらずエンジニア組織に対し営業するようなものです。ターゲットが違うため、営業活動の費用対効果は目も当てられないような結果になることでしょう。
このように、あらかじめ顧客ターゲティングを設定し、顧客層のニーズを把握しておかなければ、営業活動は無駄な結果で終わってしまいます。
ターゲットとすべき顧客層の特徴・定義設定ではSTP戦略を活用しよう
顧客ターゲティングにはマーケティング手法の1つである「STP戦略」を活用するのがオススメです。STP戦略の「S」は「セグメンテーション」、「T」は「ターゲティング」、そして「P」は「ポジショニング」です。「どの顧客にどのような価値を届けるのか」という問いに答えるフレームワークとなっており、自社製品・サービスの顧客層、どのような価値を届けられるのかを俯瞰することができます。
「S」の「セグメンテーション」は「区分けする」や「区分する」などの意味で、営業先となる市場機会を発見するために、何らかの切り口によって市場を細分化することを指します。例えば、「業種」や「役職」、「企業規模」などの市場セグメントに顧客層を分けることができます。その後、「セグメンテーション」で細分化した市場セグメントを評価し、そのどれかを「T」「ターゲット」として明確に設定することが必要です。例えば、「100〜500名の企業規模、役職は人事部長クラス」などです。
「P」の「ポジショニング」では、設定したターゲットから見て「そのブランドならではの独自の役割」を見出し、築き上げていく取り組みを指します。ポジショニングの目的は競合ブランドと比較して優位に立つことではなく、顧客層から見て「ほかに替えられない」独自の役割を持った存在になることです。例えば、「100〜500名の企業規模、役職は人事部長クラス」に対し、「気軽に求人を出すことができるため、工数をかけずに採用活動を行うことができる」などです。「どういった顧客層にとって」「どのような役割を持った」自社製品・サービスかを明確にする必要かありますが、この「どういった顧客層にとって」がターゲティングであり「どのような役割を持った」がポジショニングです。
リピーター顧客を1つのモデルケースとすることも有効
自社製品・サービスを2度以上利用しているようなリピーターの顧客がいる場合は、その顧客ごとに利用されている時期、頻度、金額を把握し、継続的に営業活動を行うことが良いでしょう。自社で多種のサービスを扱っているようであれば、現在利用されているサービス内容や特徴が、現在利用していないサービスで同種のものがある場合、後者のサービスにおいても営業活動できないかを考えることもポイントです。よく利用されている製品・サービスに傾向が見られるようであれば1つのモデルケースと捉え、既存顧客から同様の新規顧客を見込み顧客と設定することもできるでしょう。業種、企業規模、課題などから傾向を把握し、サービスの利用を進めファン顧客層がどのような層にあるのか把握しましょう。
顧客層を適切に判断するための体制を整える必要も
自社製品・サービスを活用してくれた顧客層がどういった顧客層だったのか、過去の実績から適切な顧客層のニーズを判断することも可能です。これまで自社より積極的に開拓したアウトバウンド顧客だけでなく、インバウンドで問い合わせをしてきた顧客からも顧客層の傾向を見ることができるでしょう。しかしながら、何故、受注できたのか、問い合わせが入ったのか、その原因を把握できていない場合は、営業実績で顧客層を把握するための材料が不十分です。受注や問い合わせを獲得した担当の営業がその原因をヒアリング出来てない場合もあるでしょうし、ヒヤリングした情報自体を蓄積し共有できる社内データベース機能が備わっていない場合もあります。営業先の課題はどういうところにあって、自社製品・サービスがどういった点で解決策になったのかを自社で把握し、誰しもがその情報を確認できる環境整備があれば、過去の実績を今後の営業手法に活かすことができるでしょう。
2.顧客理解を徹底するため顧客リサーチは欠かせない
接触チャネル
STP戦略の活用やリピーター顧客から適切な顧客層を把握した後は、営業活動先の企業担当者が普段どのようなコミュニケーションを取っているのか、どのような経路でメッセージが伝わるかを把握することは重要です。流通経路を流通チャネルというように、コミュニケーションの伝達経路をコミュニケーション・チャネルといいます。ターゲットとすべき顧客層がどういったコミュニケーション・チャネルを持っているのか把握し、どのようなアプローチ方法を活用するべきか、営業手法を考える上で活かしましょう。
人的コミュニケーション・チャネル
人的コミュニケーション・チャネルとは一対一、あるいは一対多で直接対面するケース、電話やメールを通じてコミュニケーションを取るケースなど、相手と直接コミュニケーションが取れ、直に反応がとれる特長があります。どんな属性の人が接触するかで3つの種類に分けられます。企業の営業担当や販売員からの接触を企業チャネル、専門家が情報を発信することを専門家チャネル、会社の同僚や友人、家族、その他、消費者間で情報を伝えることを社会的チャネルです。例えば、新しい製品・サービスの営業を受けた際や利用を決断した理由として、会社の同僚や友人、家族といった親しい人の影響を受けたとする人は多く、社会的チャネルは重要な人的コミュニケーション・チャネルです。社会的チャネルはSNS活用人口の拡大、口コミの影響力の大きさもあり無視できなくなっています。
非人的コミュニケーション・チャネル
非人的コミュニケーション・チャネルは人を介さないチャネルで、メディア、PR、イベントなどがあります。
特に、顧客層が日々接触しているのはメディアでしょう。直訳すると媒体を意味します。コミュニケーションにおけるメディアはメッセージを発信する媒体です。メディアを大きく分類すると、マス(大衆)に向けた情報発信媒体のマスメディア、交通機関や周辺施設で利用される屋外メディア、製品・サービスを利用する際などに目にするPOP広告などの流通チャネル、顧客に直接発信するダイレクトメディア、Webサイト、Eメール、SNSなどのデジタルメディアの5種類です。ターゲットとなりえる顧客層が、日々、どのようなメディアに触れているのかを把握することは、営業手法を考える上で必要でしょう。例えば、部長クラスの担当者であれば、毎朝、新聞には目を通し、日中はテレビを付けた状態でランチする一方、若い担当者であれば、1日中、スマートフォンでSNSのチェックをしている、など、対象とする企業担当者によって日々接触しているメディアは異なるため注意が必要です。
対峙する可能性が高い・対峙している課題
ターゲットとなる顧客層が、どういった課題に対峙するのかを顧客リサーチし把握することも大切です。主に、顧客層の役職や企業規模によっても変わってくるでしょう。
例えば、大手飲食店チェーンの担当者をターゲットとの顧客とする場合でも、複数の店舗の責任者である店舗運営エリアマネージャーと本部の人事マネージャーでは課題が違います。前者のエリアマネージャーは現場を管轄する役割を持っており、もし店舗のシフトが埋まっていない場合には自分が現場に入ることもあるでしょう。人手不足が進み常にどの店舗でも人手が足りていないという課題があり、即戦力の人材をピークタイムだけでも確保したいなどと考えているかもしれません。一方、人事マネージャーの立場では、年々現場の主力となる正社員の離職率が上がってきていることが課題であり、優秀な正社員を新規で採用していく方法が知りたいなどと考えているかもしれません。
また、大手飲食店チェーンではなく個人飲食店のオーナーを企業担当者としてターゲットとする場合、前述した店舗運営エリアマネージャーと本部の人事マネージャーの2名分の課題に1人で対峙している可能性もあります。現場の主力となる人材の確保とシフトが埋まっていない場合にピークタイムに活躍してほしい人材の確保、双方を一度に解決しなければならない状態でしょう。
自社製品・サービスが活用される先のターゲットはどういった役職か、どういった企業規模の会社に所属しているかなどのセグメントから課題を把握し、今一度、営業手法として、より解決方法につながるような提案ができているか、見直してみましょう。
◆顧客リサーチの主な手法
1.定量的なデータを取るためのアンケート調査
ターゲットとした顧客層のニーズを未だ掴みきれていない場合は、アンケート調査がオススメです。顧客層の中でも、どのくらいの割合で、どのくらい反応を示すのか。量の検証をすることで、その先、顧客層へのアクションに対する「意思決定」がしやすくなります。
2.インタビュー調査
グループインタビューやパーソナルインタビュー等のインタビュー形式の調査です。対象者一人一人にできるだけ詳しく背景や状況、行動、意識などをヒアリングします。商品やサービスを提供したい顧客層が既に決定している場合は、直接ニーズを聞いたほうが早く確実に結果を出すことができます。
1.の定量的な調査と2.の定性的な調査を目的に応じて使い分けたり、組み合わせることで、より有効的な情報を効率的に入手することができます。今回は営業手法を改善している状態と仮定し、ターゲットとした顧客層の大まかなニーズを探るべく定量的なデータを取得することができるアンケート調査に注目します。
◆顧客リサーチのためのアンケート集計で押さえるべきポイント
1.アンケートの目的を明確にする
アンケートの設問項目を設計する前に、実施するアンケートの目的を明確にすることが大切です。いつ、誰に、何を、どうように、そして、“なぜアンケートするのか”。営業手法を設計するため、あらかじめターゲットとした顧客層のニーズを適切に把握することを目的と考えることができれば、設問作りから分析に至るまで一貫した流れで進めることができるでしょう。
2.回答率の上がりやすい質問数・内容を設計する
次に、回答率の上がりやすい質問数・内容を設計することが重要です。
回答者に煩わしさを感じさせないよう、質問数を最小限に厳選して用意しておきましょう。複数回答のような複雑な項目をなるべく避けて、シンプルに直感的に記載できる内容にするのがおすすめです。メールやフォーム経由でアンケートを取る場合、回答率はあまり上がらないことも考慮しておきましょう。
3.実施後、目的に沿ったかどうか、分析と振り返りを欠かさない
最後に、実施後、取得したアンケートが目的に沿ったものだったか、分析と振り返りを行うことが重要です。結果を営業手法に落とし込み、営業活動に活かすことができてはじめて、アンケートを実施する意味があります。事前に設定した目的を達成できたのか、営業手法にどう活かすべきか、次回のアンケートはどこを改善するのが良いのかなど、できるだけ具体的な振り返りができるように、検証する際のポイントも整理して、振り返りをする時間もあらかじめ用意しておくのもよいでしょう。
◆意外と使える!アンケート調査結果を活用方法
1.営業手法の改善における情報収集
営業活動において、ターゲットとなる顧客層に関する多様な情報を収集・分析し、営業手法の改善に活かすことは必要不可欠なタスクです。顧客層に関するデータを収集するケースでは、アンケートに記載されている設問に対して、「とてもそう思う」から「そう思わない」などの4ないし5段階評価の設問から得られる回答を集計した『定量的なデータ』ではなく、フリーテキストなどでコメントされている『定性的なデータ』が参考になることが多くあります。
2.新規顧客獲得用コンテンツの作成にも
アンケート結果そのものを営業活動に活かすことも可能です。商談の際に提示するデータの「信憑性」、特に「客観性」について情報の質を問われるケースが増えているためです。商談時に「見込み顧客にアンケートを取ったら、こんな結果が出た」というふうに、第三者の立場で、顧客に客観的なデータを提示することが可能になります。商談を受けている顧客の信頼度を高めることにつながりますし、顧客が本来自身で行わなければならなかった“比較や客観的な判断”という作業を短縮することにもつながります。
3.自社の見込み顧客や既存顧客とのコミュニケーションに活かす
自社の見込み顧客や既存顧客向けに配信しているメールマガジンを営業活動のなかでも重要な営業施策と捉えている企業もあります。また、集合型のセミナーや自社単独開催のセミナーを、UX(user experience:ユーザーエクスペリエンス=顧客やユーザーが特定の企業活動や提示物などから得る顧客体験)施策の一つとして定期開催している企業も増えています。これらの営業施策を実施しながら、その中でアンケートを通じて施策に対する様々なフィードバックを得ることで、次回以降の施策に活かせます。
イベント開催時の運営方法を見直す、や、メールの開封率向上・コンテンツのPV数向上を目指すためのヒントなど、この種の施策に対するアンケート調査は特に高い効果を生みます。
4.自社の施策で双方向のコミュニケーションを構築できる
メールマガジンやセミナーをはじめとしたコンテンツは、一方向のコミュニケーションが主体の特徴をもつ施策です。顧客と自社の双方向性のコミュニケーションの特徴である“共有”や“共創”という「関係性」を築くには、顧客側の意見や情報が不足する状況になりがちです。「情報発信者」と「情報受信者」に分かれてしまうと言い換えることもできます。そこで、アンケート調査を通じて、顧客の意見を吸い上げ、それを施策にフィードバックさせるというサイクルを作り、双方向のコミュニケーションを構築します。このサイクルにより、さらに顧客やユーザーの意向に沿った施策やアプローチが可能になりますし、顧客・見込み客からの信頼性を高めることもできます。
5.自社製品・サービスの市場拡大につながるコンテンツ作成にも
よく調査会社がアンケート結果を、ニュースリリースとして公表するケースがありますが、その内容が興味深いものであれば、潜在的な見込み顧客から問い合わせが来るかもしれません。メディアで取り上げてくれる可能性もあるため、自社の認知度、並びに自社製品・サービスの認知度向上にもつながるでしょう。アンケートの目的を「最終的にリリースとして結果を公表する」こととして、自社のビジネスとの関連度や、世論での期待値・トレンド感などをあらかじめ組み入れた“設問項目設計”を行い、PRメディアへの掲載することを目的にすることも可能です。
◆まとめ
前半では、売上拡大につながるよう営業手法を改善するために、自社製品・サービスがターゲットとすべき適切な顧客層の把握が必要であり、顧客ターゲティングをどのように考えるべきか、顧客理解をどのように深めていくことができるかをお伝えしました。
後半では、顧客理解のため、顧客リサーチの主な手法をご紹介、中でもターゲットとする顧客層のニーズを定量的なデータで把握することができるアンケート集計での設計ポイント、調査結果の活用方法をお伝えしました。アンケートから見えた仮説を深掘りするために、定性的な調査方法の併用も必要になります。
顧客層のニーズを理解した上での営業手法を組み立て、売上の最大化を目指しましょう。
◆経営者・大手企業のユーザーも多数
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◆著者プロフィール (共著)
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
上智大学外国語学部卒業後、マーケティングリサーチのシステム会社にて、 最年少で事業部を立ち上げ、アンケートアプリの開発や他メディアとの提携推進を行い、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでも
リサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、
プロモーションリサーチ・リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。
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