バズった「カオスマップの森」を作った理由

 

*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
高橋龍征氏との共同でセミナー企画・集客のご相談を受け付けています。
是非お気軽にお問い合わせください。

 

市場の製品・サービスを分類して一枚にまとめた「カオスマップ」。

私も、2017年にひょんな巡り合わせでマップを作り、ちょこっとバズらせて以降、時折気に掛けて見ています。

最近は数も増えた割に、どこか1箇所に集まっているようでもなく、それならばと、誰もが投げ込め集約できる場を、facebookグループとして作ってみました。

なぜそんなことをしたのか、何がしたいのか、簡単に書いてみようと思います。

誰もがマップを作ったらシェアできる場をつくる

意外なことに、これだけ数多くのマップが発表されているにもかかわらず、1つにまとめた場がありませんでした。

専用ページで少しまとめているメディアなどはあるものの、明らかに全てではありませんし、一定の基準で選んだ感じでもありません。

まあ、実際自分が何かのマップを調査に使うとしても、せいぜい2つか3つで、多様なマップを横断的に多数使うことはないので、必要がなかったというのもあるでしょうが、まとめて比較しながらパラパラ見る場があってもいいだろうということで、作ってみた次第です。

 

見比べて、良いマップを作る刺激にしてもらいたい

「良いものを見る」のはどの世界でも大事なことで、比べてみると、出来のいいものも悪いものもあります。

私がマップを初めて作った2017年と比べると、主な市場のマップは作られてしまい、同じ分野のマップが複数あったり、違いを出すための苦しい差別化・細分化を試みているものも目立ちます。

小手先で作ったマップを公開し、PR Timesの無料枠を使ってリリースを打てば、あわよくばバズったりメディアに取り上げられたりするのでは、という魂胆が見え透くようなレベルのマップも無いとは言えません。

質の悪いものを見過ぎたからか、うんざりした声もよく見ます。

他にもこんなつぶやきがありました。

ただロゴを並べただけでカオスマップと表現するのは避けたいですね…

やはりカオスマップはツイッターで遊びでやるくらいが丁度いい。

カオスマップみても何もうまれないですよね。

レガシーな業界なら「業界地図」で済むところを、ベンチャーやテック系だとカオスマップと呼ぶ不思議。

明らかに業界を理解している人間が実態以上に混沌とさせた図を作り無知な人たちを混乱に陥れている。本当に最悪。

カオスマップみた感想大体「カオスだな」しかない

カオスマップ色々ありすぎてわかんないからカオスマップカオスマップ作ってくれ

まあ、「とりあえず作ってシェアしてリリース打っとけばそこそこ見られるし、運が良ければメディアに取り上げられんじゃね」的なマップも正直少なくないし、そんなものを嬉しがってシェアしている層もいるので、気持ちは分からなくはないです。

しかし、読み手の分析やビジネスモデルの掘り下げが秀逸で、出来の良さが一目で分かるマップもあります。

良いマップは読み手にとっても価値があります。

これから作ろうと考える人がそれらを見比べれば「これくらいのものは作らなきゃな」と思うのではないかと期待しています。

 

良いマップを「作る人」を増やしたい

よく出来たマップは、素人受けは当然ですが、玄人にも価値があるものです。

私の「カオスマップの作り方」講座を受講した夏井さんは、スポーツテックのカオスマップを作り、レポートと併せて公開しています。

正しい考え方と方法論を学んだ上で(私が言うのもなんですが)、起業の際に知名度を上げるという明確かつ切実な目的のもと、早稲田からメガバンクに入った優秀な人材が、300時間掛けて作ったので、それなりのものができています。

名前も売れて業界のキーマンともつながり、レポートは4,980円の有料のnoteなのですが、数十万円の売り上げにはなったそうです。

記事の売り上げだけなら、作業見合いでは割には合わないかもしれませんが、宣伝効果はそれなりにありますし、キーマンと良い形でつながることは、ビジネスの成功確率を高める、極めて大きな価値をもたらす可能性があります。

そういう人を増やしたいと考えます。

 

マップが刺さると起きること

私が作ったカオスマップは、発表即日、業界大手L社の全社員にシェアされ、業界の経営や事業開発に携わる人が全員「あ!あのマップを作ったんですね、見ました見ました」と言うくらいに認知され、リリースと同時に商業メディアの記事になり(これは作る段階でニュースになるように仕込んだ)、ビジネスモデルも定まっていないのにVCの方から連絡が来てその後1億円の出資につながり、売り上げもないのに業界団体設立を主導して代表に収まるといった、それなりのインパクトを自社にもたらしました。

複数の大手企業で事業開発に携わり、大学院でファイナンスを先行した、市場調査やビジネスモデル分析の実務経験が10年以上ある人間が、しっかり設計して戦略を立て、リサーチだけで100時間近く掛けて作ったので、インターンという名の学生バイトやろくな教育も受けず実務経験もない若手がやっつけの作業で作ったものとは一緒になるべくもありません。

まあ、時期としても今のように猫も杓子もとりあえず作る的な状況でもなく、国内だけで46兆円の市場規模のある不動産市場のマップが作成時点でなかったという幸運もありました。その要因の方が大きかったかもしれません。

私が知っているところでは、シューマツワーカー社が社長肝煎りでかなり気合を入れてマップを作り、毎年アップデートしています。以前少しお話を聞きましたが、かなり事業を立ち上げる上でも役に立ったそうです。

逆に、安易なマップを出したら矢が飛んできて、即時に取り下げされられ、人が「消された」のを見たこともあります。

質の悪いマップを晒すことは、志や程度の低さを広く知らしめ、自社のブランドを下げることになる、ということです。

 

マップは作ることに意義がある

そもそもマップは「目的」ではなく、副産物のようなものです。

市場を把握する初期段階で、自分が知らないことも含め調べ尽くすことで、思いがけない機会や潜在的競合を発見したり、自社が考えているビジネスの仮説をさまざまなプレイヤーの視点から客観的に見ることができるという、調査・分析が主眼のはずです。

私の場合、カオスマップというものの存在を知らず、リサーチの結果のデータを、折角だから何か使えないかと知り合いに茶飲み話で聞いたら「カオスマップでも作ったら?」と教えてもらって作ったのでした。

マップの原料となる「リスト」は、リサーチの副産物でしかなく、マップを作るためだけに貴重な時間を使うことは機会損失だとすら考えます。

PR効果も刺されば大きいのですが、バズのような「ラッキーパンチ」を狙うのも安易ですし、バズれば何かいいことがあると考え、その後の備えをしておかなければ、結局何も事業の役には立たないでしょう。

さまざまなプレイヤーのビジネスモデルや戦略を短時間で大量に理解することで市場や事業を捉える枠組みを体得できる「学び」の効果も大きいです。

そのような、地に足のついた考え方で、正しく良質なマップを作る人を増やしたいと考えております。

 

これから考えていること

基本はマップが出てきたら共有する場を想定しておりますが、マップ関連のセミナーも順次実施していきます。

作り方をお話しするものや、良いマップを作って活用している人々との対談などです。

また、マップを作るプロジェクトも1つ2つ回してみて、方法論をより誰でも使えるように洗練させていきたいと考えます。

その方法論は既に相当程度まとめてはあります。

これらを近いうちに電子書籍にまとめて出版したいと考えております。

 

◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki

conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授

大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、事業創造支援家として独立。インキュベーター立ち上げや欧州企業の日本進出を支援後、スタートアップ共同創業(取締役COO)を行う。

早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」プロデューサー就任を機に、事業開発や人材育成のためのセミナーづくりを本業とし、大学、企業、メディアからの受託や自身主催で、年間200件の企画を実現するようになる。

2020年、conecuri合同会社を設立。マーケティングセミナーの企画、社会人向け講座や企業研修の開発、それらを通じた事業創造を支援している。

新型コロナを機に、セミナーを一気にオンラインにシフトさせ、その知見を『オンライン・セミナーのうまいやりかた』として出版した。

また、13年以上複数のコミュニティ運営に携わる実践家として、大手企業や学校のコミュニティづくりも支援している。

早稲田大学 第一文学部 哲学科 東洋哲学専修 卒業 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科 修了 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム 修了 JVCA ベンチャーキャピタリスト研修 修了

 

◆著者プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

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