経営戦略をストーリーと捉えて成功へと導く?実際の事例を交えながら経営戦略について徹底解説!

ベストセラーとなった「ストーリーとしての競争戦略」という本をご存知ですか?

この本にある通り、実際に企業として大成功を収めている事業には様々なストーリーがあり、経営戦略を建てる場合にはこういった「人に話せるようなストーリー」を軸に考える事が重要です。

 

結論、ストーリーとは言わば「論理的な点と点のつながり」であり、経営戦略には非常に有効的な手段といえます。

今回は、経営戦略におけるストーリーの重要性について実際の事例を交えながら解説します。ぜひ参考にしてください。

 

経営戦略について

経営戦略について

経営戦略は、その法人における強みや特性を正確に把握した上で市場の上でどんな事ができるのか、また何が求められているのかという視点で優先順位を明確にする際に必要不可欠です。

 

常に急速に進化・変化し続けている市場や経済環境の中、自分の取り組む事業をどの様にして成功へと導くのかを考えると、経営者は特に競合企業に負けないスピード感で、事業の方向性に対する経営戦略を常に意識しましょう。

 

では経営戦略がどういったものなのかについて解説していきます。

 

経営戦略とは

経営戦略とは、ある事業において経営指標の達成を目的として行う具体的な手法や考え方全般を指します。

特に一般的には事業全体の体制作りの際に使われ、これは法人に限らず個人事業主、フリーランスにも必要不可欠と考えられいます。

 

似たような言葉として「経営戦術」という言葉があり、よく比較されていますが、経営戦術は経営方針や経営戦略の目的を実現するために実践する方法として利用されます。

つまり、経営戦略あっての経営戦術というのが正しい使用方法ともいえますが、同義として扱っても特に不都合はありません。

 

競争戦略の手法

上述した「ストーリーとしての競争戦略」という本で定義されている競争戦略とは、競合他社には無い個別の施策を行う事を指します。

そのためにはまず他社との違い(自分の企業の強み)を作り、その中でも構成している要素にいくつかの因果関係を作ることが重要です。

起業して事業に取り込んでいる限り、必要なのは何よりも持続的な収益です。

 

つまり、市場で既に競争構造がある業界に手を出す限り、他社よりも優れた収益を持続的に生み出す競争戦略が必要となるのです。

どのように他社との違いを見出していくのか、という具体的な手法には「ポジショニング(SP:Strategic Positioning)」と「組織能力(OC:Organizational Capability)」がありますので、それぞれ具体的に解説していきます。

 

ポジショニング

「ポジショニング(SP:Strategic Positioning)」とは、いわゆる市場の中に自分の起業におけるポジションを参入させることです。

つまり、同一市場の中で他社と違う部分に自社を位置づけることを意味します。

 

組織能力

「組織能力(OC:Organizational Capability)」とはその組織でしか生み出せない強み(組織特殊性)を組織として持つことで競争優位を実現する事です。

 

戦略ストーリーにおける5つのポイント

戦略ストーリーにおける5つのポイント

「ストーリーとしての競争戦略」という本では、下記5つのポイントが同一市場内で競争に必要不可欠と言われています。

 

競争優位

競争優位とは、他社が模倣できない(模倣しようとしない)方法を実践する能力のことで、コトラー氏は次のように語っています。

 

今日ではほとんどの優位性がその意義を失っており、接続可能なものはごくまれである

単独の優位性によって成功するのではなく、時間をかけて優位性を積み重ねていくことで勝利を収めるケースが、しだいに増えてきている

 

いずれにせよ、競争優位とは絶対的ではなく相対的であり、同一市場の競合他社との関係だけではなくて市場の変化にも左右されやすいもの。

どんなに競争優位性があるように思えても、成果が出なければ競争優位とは言えません。

 

コンセプト

会社経営において最も重要なのは、その事業におけるコンセプトを確立させることです。

経営戦略の中でも最初に定めるべきコンセプトですが、このコンセプトが不明確になってしまった場合、経営における色んな場面でブレが生じてしまうだけなく、営業においても見込み客、新規の顧客の心をつかむことが難しくなり、リピート客の不満・不安へとつながってしまうでしょう。

 

コンセプトは「どのような事業を取扱っているか」という紹介だけを指すわけではありません。

コンセプトは「その事業を通して何をしようとしているのか」を明確に顧客、または競合他社に対して理解してもらい、自社特有の強みについて理解してもらうという目的があります。

 

同一市場における「その他の企業」に埋まってしまうことの無いように、コンセプトを明確に提示して自社特有の強みを鮮明に定義しておくことは、後の市場変動にも適用しやすいのでおすすめです。

 

構成要素

経営において必要となる構成要素について、ドラッガー氏は「イノベーションとマーケティング、オペレーション」と謳っており、マッキンゼー氏は、7S(戦略・組織・システムの3つをハードの3S、価値観・人材・スキル・スタイルの4つをソフトの4S)と謳っています。

 

上記のうち、どれが構成要素としてふさわしいのか、という議論はもちろん事業や企業によって異なりますが、それこそ上述したSPやOCはもちろん、競争において優位になることを実現するためのあらゆる施策が、競争戦略の構成要素となります。

 

クリティカル・コア

経営戦略において優れたストーリー戦略をつくるためには、コンセプト・構成要素・因果関係が重要であると上述しましたが、その中でもコンセプトはストーリーにおける言わば出発点となります。

 

事業を経営している方にとって、「どんな商品(サービス)をどの様な目的で売っている(提供している)のか」という問いに対して明確に答えられることこそがその事業におけるコンセプトになりますが、こういった構成要素の集合体、すなわちその事業における自本質となる部分の事をクリティカル・コアと呼びます。

 

このクリティカル・コアがいかに強靭かつ強力な武器となるかが、その企業が市場においてどの程度パフォーマンスを発揮するのかを物語ります。

 

一貫性

経営戦略において一貫性も重要な要素となります。

この一貫性の説明においてはよくファッションを例に出されているサイトが多いので、ここでも同様の解説をしていきます。

若者のファッションは近年、WEARやinstagramなどを通じて影響を受けやすい傾向にありますが、人によってファッションの傾向というのはある程度定まります。

 

つまり、「あの人はよく原宿に行くし、そのときの服装も原宿系だよね」というニュアンスと同様に、ファッションと赴く場所は比例関係にあり、そこに必然性が生まれます。

 

つまり、原宿に行くような若者は当然原宿に見合う服装をするという必然性があり、原宿という地域が見ればそこにいる若者の服装について「一貫性がある」とも言えて、この部分が経営戦略の考え方に通ずる物があるのです。

 

つまり、原宿でよく着られる服装が既に流通している市場のニーズであり、この中で自社がどのようにしてその市場の中で価値を見出すのか。

原宿で流行につながる新しい形のファッションを作り出すのか、はたまたこれまでの流行を踏襲したファッションを売り出すのか。

そういった考え方も経営戦略における立派な構成要素となりえます。

 

ストーリーとしての戦略の主な流れ

経営戦略をストーリーに見立てた場合、コンセプトが起、構成要素が承、クリティカル・コアが転、競争優位が結となります。

 

このように、様々な構成要素には意識せずとも因果関係が生まれており、構成要素同士の繋がりが非常に繊細であれば、より良いストーリーが生まれる。

すなわち、経営における好循環が生まれるのです。

 

ストーリー戦略の実例紹介

スターバックスコーヒー

コーヒーチェーンとして有名な「スターバックスコーヒー」を例にしてストーリー戦略の実例を紹介していきます。

皆さんはスターバックスコーヒーにどのようなイメージがあるでしょうか。

おそらく、おしゃれ・高級感がある・サービスが良い、など価値が高いイメージが多いでしょう。

 

利益を出す方法には「コストを減らすこと」と「価値を増大させること」がありますが、スターバックスコーヒーのストーリー戦略においては「価値を増大させること」が競争優位となります。

次に、スターバックスコーヒーのコンセプトは「第三の場所(Third Place)」であるということです。

スターバックスコーヒーCEOである、ハワード・シュルツ氏は、価値観の断片化が進んだアメリカは過剰なハイテンション社会となっており、人々は職場とも家庭とも異なる第三の場所を求めている、と洞察しました。

 

ただコーヒーを売るわけではなく、「リラックスできる空間でテンションを落ち着かせるという経験を売る」というのがスターバックスのコンセプトであり、コーヒーはあくまでその手段の1つであるということです。

そして「第三の場所」というコンセプトを実現する構成要素、つまり、スターバックスがコーヒーチェーン店として他店舗とは異なる価値は、店内の雰囲気・スタッフ・出店場所・メニューといった要素です。

 

まず、「第三の場所」実現するためにはリラックスできる店内の雰囲気が必要なので、禁煙や間接照明のこだわり、広々した店舗空間を用意するといったような取り組みを行っています。

そして、その雰囲気を守り、スキルやノウハウを持ったスタッフを定着させるために、スタッフの教育にも力を入れています。

スターバックスは「リラックスは相対的な概念であるという」ハワード・シュルツ氏の考え方から、なるべく緊張していたり、ハイテンションな人が集まるビジネス街などの1等地に多く出店するようにしています。

 

そうすることで、店外と店内のギャップでよりリラックスを実感しやすく、コンセプトをより浸透しやすくしており、食事の場として使われることはコンセプトから外れてしまうため、スターバックスではフードメニューに力を入れておらず、値段のやすさも売りにしていません。

このようにコンセプトと構成要素に一貫性があることでスターバックスには強いストーリー性があるのです。

 

そして戦略ストーリーの中核クリティカル・コアは「直営方式」であるということです。

多店舗経営であればフランチャイズ方式のほうが低コストで低リスクであり望ましいとされますが、スターバックスではあえて直営方式を崩さず、「第三の場所」というコンセプトを確実に実現させています。

 

Amazon

著書では、Amazonのコンセプトを「モノを売るのではなく、人々の購買の意思決定を助けるサービスを提供する」ことと書かれています。

Amazonはインターネットショッピングでありながら、そのコンセプトは売ることではなく、購買を助けるサービスである、としているのです。

 

Amazonでしかできない経験を提供することで、サイトの訪問者数の増加に繋がり、それによって売り手も増加、購入できる商品が増えることで顧客へ提供できる経験もさらに増加、という成長サイクルによって低コストを実現しています。

また、この成長による低コスト化で低価格が実現されることは顧客の経験となり、さらにサイト訪問者数の増加に繋がる、といったように、Amazonのストーリー戦略はこの循環によって構成されています。

 

Amazonのクリティカル・コアは「巨大な物流センター」です。

一見するとインターネットショッピングは膨大な在庫から開放されることがメリットとも言え、巨大な物流センターや倉庫は非合理的だと見えるかもしれません。

しかし、Amazonは「人々の購買の意思決定を助けるサービスを提供する」ことにコンセプトを置き、顧客にAmazonでしかできないことを経験させることによって成長するストーリー戦略で戦っています。

 

つまり、大量の在庫と優秀な物流を所持することにより、顧客に素早い商品提供を可能にし、Amazonでしかなし得ない経験させることが目的なのです。

したがって、Amazonにとって「巨大な物流センター」は合理的と言えるでしょう。

こういったことは競合する他社にとっては非合理的に映るため、模倣を避けることができ、差別化を実現、インターネットショッピングサイトにおいて競争優位を得ているのです。

 

まとめ

実例を交えながら経営戦略のノウハウ、ストーリーを考慮した上での戦略術について解説しました。

経営戦略は難しくとも、新たに小説を生み出そうと考える方法をそのまま経営に当て込んだ場合、意外とスムーズな戦略をたてることができ、成功へと導きやすくなります。

ぜひこの記事を参考にして、自社の経営へと役立ててみてはいかがでしょうか。

 

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株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

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マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。



中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。






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