採用・人材
あなたも知らぬ間に蝕まれている!? 現代的なワークスタイルがもたらす 「パフォーマンス低下」の罠
2023.12.20
いつの間にか蝕まれるあなたの脳と体
もしあなたが、次の10の質問にひとつでもYESと答えているとしたら、仕事上でもプライベートでも「とてつもなく大きな損」をし続けているかもしれません。
①1日の歩数が平均3000歩以下だ(スマホやスマートウォッチに尋ねてみてください)
②脈拍が上がり、軽くでも息が切れるような機会は1日1回もない
③徒歩15分かかるところにはタクシーやLoopなどを使う
④朝は食欲がなく、朝食を食べない
⑤忙しくて食事を抜いたり、ゼリーやスナックでしのぐことが多い
⑥UberEatsなどで食事をよく宅配してもらう
⑦晩酌が日課で、寝る直前までお酒を飲んでいる
⑧朝起きてから昼過ぎまで、日光を直接浴びない
⑨スマホを寝る直前まで触っていて、枕元に置いている
⑩平均的な睡眠時間が6時間台か、それ以下だ
もちろんこのように書くのだから、〇がつくのであれば何かしら悪いことがあるのであろうことは想像できると思います。
タチが悪いのは、これらの生活習慣は自覚症状がないうちにあなたを蝕んでいるということだ。
そして、コロナ禍で現代的な
例えば、次のような生活を送っていないでしょうか?
あるリモートワーカーの1日
朝9時前、スマートフォンのアラームで目を覚ます。
深夜までスマホを触ってしまって睡眠時間は6時間くらいだし、寝つきもよかったとは言えない。寝たはずなのに、いつも朝は頭がボーっとしている。
リモートワークなので、通勤がないから始業時間直前まで寝ていられるのはラッキーだ。
ギリギリまでベッドから起きたくないから朝食は食べない。
もうこの生活も3年くらいになるだろうか。
コロナ禍も落ち着いて0ではなくなったものの、出社のために外出する機会はせいぜい月に1回くらいのもの。
仕事が始まると、PCの前に座りっぱなしだ。
たまに姿勢を変えたりするものの、タスクや打ち合わせが詰まっていてなかなか席から立つことができない。肩こりはひどいし、作業に集中したいのに腰の痛みが気になる。
日光がディスプレイへに映り込むのが鬱陶しいので、昼でもカーテンは閉めたまま。
この方が仕事に集中できるから都合がいい。
昼休み、気分転換もかねてコンビニにランチを買いに行く。
特別な予定がなければ、平日唯一の外出の機会で、短いながら日光を浴びる時間だ。
動いていないし食べ過ぎると眠くなるから、サンドイッチとサラダだけ。
ビタミンやミネラルはサプリメントから摂っているから大丈夫でしょ。
大事な個人タスクに集中したいけど、スマートフォンやPCのチャットがずっと鳴りっぱなしで集中できない。作業がはかどらずストレスがたまる。
18時、仕事終了。夕食はいつもの宅配サービス。
塩分やカロリーが高いのは分かるけど、自分で作るのも面倒なのでいつも頼ってしまう。
唯一の楽しみである糖質0のチューハイとともに、Youtubeを見ながら。
夜は寝る直前までスマホを手にしている。
仕事のチャットをチェックしていることもあれば、ついSNSを眺めて時間がたっていることもある。就寝時間を決めているというよりは、気が付いたら寝落ちして気が付いたら朝になっているような毎日だ。
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典型的なリモートワーカーの生活は、こんな感じでしょうか。
満員電車に乗るストレスも通勤にかかる時間もなくなり、快適な自宅で仕事ができる。
各種デバイスやコミュニケーションツールで情報のやり取りがスムーズになったため、集中力も生産性も向上し、疲れを感じずに終日働けて、仕事のパフォーマンスは高くなる…はず。
しかし結論から言えば、ここまで書いてきたような生活習慣やワークスタイルは、脳と体の健康を損ね、それが仕事のパフォーマンスを確実に―しかも多くの場合自覚症状がないうちに―低下させています。
意外と正しく理解されていない「パフォーマンス」とは?
仕事中の会話で「パフォーマンス」という言葉を、積極的に使わないまでも耳にしたことがないビジネスパーソンは少ないでしょう。
「パフォーマンスが高い」
「パフォーマンスが出せていない」
のような使われ方をしていると思います。
シチュエーションや話し手ごとに、「パフォーマンス」が何を指すかは微妙に違ってくるように思われます。
仕事の最終的な「成果」であることもあれば、何かしらの「成果物」やその「生産量」、単位時間当たりの成果や生産量を指すいわゆる「生産性」に近いニュアンスだったり、あるいは成果や成果物を生み出すのに必要なその人自身の「能力・資質」を指しているケースもあるなど、実に多様な使われ方をしているように思われます。
具体的に何を指すとしても、発揮する主体が人間であるならば、「パフォーマンス」の源泉は人であり、前述の中で言えば「能力・資質」であることは確かでしょう。
高いパフォーマンスを発揮する、あるいはパフォーマンスを最大化・最適化するために求められる「能力・資質」は様々だが、代表的なのは以下のようなものでしょうか。
集中力
注意力
学習能力
記憶力
行動力
理解力
決断力
認知機能
ストレス耐性
これら諸要素は相互にオーバーラップするものもあり、これら以外にもいくつもの要素が挙げられるでしょう。
いずれにしても、仕事において高い成果(これも”パフォーマンス”と言えるでしょう)を得るには、
①その人に能力が最低限備わっていること
②その人の能力を100%に近い水準で発揮できること
③その人の能力を一定以上の時間や期間、継続的に発揮できること
が求められていると言って間違いないでしょう。
「生産性が高い」はずのリモートワークで、なぜパフォーマンスが低下する!?
翻って、現代的な―特に都市部における―ワークスタイルはこれら”パフォーマンス”を低下させるリスクがあまりに多いといえます。
コロナ禍でリモートワークが普及し、日用品や出来上がった食事の宅配サービスも一般的になった影響で、ただでさえ1日に8時間以上デスクの前で座って過ごすホワイトカラーの人達の貴重な歩行の機会である「通勤」「買い物」がさらに減った。
日に3,000歩も歩かないことが殆どだという人もいる。
当然歩行のために必要な筋力や持久力が衰えるとともに、実はそれ以上に脳の認知機能に重大な損害を与えている。
PCの前に座りっぱなしで脚の付け根や膝を折り曲げ、目の前にあるディスプレイやスマートフォンを眺めるために頭部が胴体よりも前にある姿勢を続け、正常に立ったり座ったりするための筋力や柔軟性を低下させる。
同じ姿勢でいることが原因の肩こりや腰痛は容赦なく目の前の作業への集中力を奪い、生産性を低下させる。
外出しないことで日光を浴びる機会が減り、寝る直前までスマートフォンやPCのスクリーンを見続ける生活は自律神経のリズムを狂わせ、睡眠の「質」を低下させる。
睡眠の質が低下した影響で、仕事時間ぎりぎりまで寝ることを優先して朝食を摂らず、仕事をしながら生命維持のために体内で行われるあらゆる化学反応=代謝を低下させる。
宅配サービスで取り寄せた食事や近所のコンビニで買った加工食品の多くは、甘みを強く感じさせるために加工された糖質をはじめ、塩分・脂質・保存料などがたっぷりと添加され、脳から発せられるエネルギー需要のシグナルや体内の代謝環境を狂わせる。体脂肪もしっかりと蓄えられる。
運動量が少なく、太りたくないからと低カロリーの食事を選び続けた結果、身体はエネルギーを作り代謝するための仕組みを「生存のために不要なコスト」と認識し、身体から減らしていくようになる。
結果、代謝は低下する。
栄養はサプリメントで摂ればよいと考え、胃腸などの消化器を適切に使わないことも同様だ。
消化のために胃や腸を動かすことで分泌されるホルモンや、それを介した代謝を低下させる。
スマートフォンやPCのチャットツールは、就業時間中ひっきりなしに通知を送ってきてストレスになるとともに、集中力を無遠慮に奪っていく。
上記のようなライフスタイルやワークスタイル個々がどのような理由やメカニズムでパフォーマンスを低下させるかについて、詳しく解説することはここでは控えるが、ここまで述べてきた現代的なライフスタイル・ワークスタイルによって
・その人の持っている”パフォーマンス”発揮のための能力・資質が低下し
・その人の能力・資質を十分に発揮できなくなり
・一定以上の時間や期間、継続的に発揮できるなくなる
ことに繋がるのです。
こうしたパフォーマンスの低下はすぐに感じられることもあれば、影響を感じないような小さな変化がじわじわと積み重なり、気が付いたら手遅れになっているようなこともあります。
現代的なワークスタイルがパフォーマンスを落とすメカニズム
情報をやり取りするための効率や利便性を高め、通勤時間その他仕事を行う上で「余計なコスト」と言える時間を減らし、パフォーマンスを最大化するために発達してきた現代的なライフスタイル・ワークスタイルが、長期的には逆にパフォーマンスを低下させるリスクをはらんでいるというのは皮肉なことだが、なぜそのよう矛盾が起こるのでしょうか。
その理由は、我々現代人の「遺伝子」にあります。
我々現代人の遺伝子に刻まれた「生命活動を正常に行う脳や身体のメカニズム」は、祖先が狩猟生活に適応した頃から変わっていません。
大型あるいは群れで狩りを行い、人間を食糧と認識する肉食動物にいつ襲われるとも知れない。
食糧を得るためには長い距離を歩き続けなければならず、いつでも十分な食糧を確保できるとは限らない。
人工の光と言えば炎くらいで、夜になれば目に入る光の量は減る。
こうした環境に適応した遺伝子は、生活の糧を得る手段が狩猟から現代的なデスクワークになったからと言って、すぐに適応するものではありません。
遺伝子レベルでの「進化・適応」というのは、数十世代をかけてゆっくりと行われていくものなので、いつでも十分な食糧が手に入り、デスクチェアに8時間座り続ける生活に人間の遺伝子が適応するのは、残念ながら、我々の数十世代あとの子孫たちまで待たなければいけないでしょう。
その世代まで人類が繫栄し続けるには、我々世代はパフォーマンスを発揮して仕事をしていく必要があるとも言えるので、遺伝子が適応していない我々なりに高いパフォーマンスを出していく方法を見出していかなくてはいけないでしょう。
誰でもできるちょっとしたライフスタイルの改善が唯一の解決策
文明社会での暮らしを捨ててアフリカに移住し、古くからのスタイルを守り続ける原住民の人々のような生活を送りたいというならまだしも、ワークスタイルを維持しながら文明社会の発達した現代に狩猟生活のような生活に戻ることなどできるはずもなく、仕事そのものを楽しみつつ、現代的な生活環境の恩恵を享受するために仕事をしたいという人達にとって、それは何とも本末転倒な話でしょう。
では、遺伝子が適応しないワークスタイルにどう対抗策を取ればよいのか。
非常に平凡で面白みのない回答になってしまいますが「運動」「食事」「睡眠」といった「生活習慣」を変えることに鍵があります。
いわゆる肉体面での健康維持に良いと言われ続けていることが、仕事のパフォーマンスも劇的に向上させてくれるのです。
もしあなたが自分の学習能力や集中力・判断力を向上させ、ストレスに強くなり、自分の持つ能力を継続的に100%仕事で発揮できるようになることで仕事のパフォーマンスを向上させたければ、我々の遺伝子に刻まれた人体のメカニズムを正しく機能させるために、これらライフスタイルを「改善」することでしか解決策は見えてきません。
誰でもできるウォーキングがいかに様々なストレスを軽減して、記憶力や集中力を高めて仕事の効率を高めてくれるのか?
朝食をとることが代謝高め、太りにくい体質と一日集中力が持続する身体を手に入れられる理由とは?
睡眠の質を高め、毎朝スッキリと目覚めて快適に仕事に向かう一日を過ごすためには?
次回から、生活習慣の改善がビジネス上のパフォーマンスの改善・向上にいかに大切なのか、なぜ運動や食事を変えることがアスリートでもないビジネスパーソンに必要なのか?これらについて解説していきます。
冒頭のようなワークスタイルを送っているとしたら、そんなあなたが少しでも生活習慣を変えてみようと思って頂けるような内容であることをご期待ください。
【筆者プロフィール】
藤田 英継(ふじた ひでつぐ)
パーソナルトレーニングジムevergreen代表
2006年東京大学大学院 身体運動科学研究室 修士課程修了
コンサルティングファーム勤務などを経て2008年にパーソナルトレーナーとして独立。
2016年表参道にパーソナルトレーニングジムevergreenをオープン。
大学院で専攻した運動生理学の知識と情報を活用し、ダイエットやボディメイクといった外見を変えるためだけでなく、運動や食事などライフスタイルの改善を通してクライアントの記憶力や集中力、認知機能の改善を指導し、ビジネス上の「パフォーマンスアップ」をサポートする。
完全マンツーマンのプライベートジムとして、人間国宝や外交官・美容関連企業の取締役まで、自らの心身の状態が仕事の成否に繋がるエグゼクティブクラスのビジネスパーソンに口コミで広がる。トレーナー養成スクール講師、通信教育講座や各種資格講座の全体監修、教材の執筆等も務め、健康についての情報を正しく活かせるようになる「健康リテラシー」向上の活動も行っている。
自著「そのヘルシーがあなたをデブにする」「油を制する者がダイエットを制す~体脂肪を最速で減らすための「油」との付き合い方3つのルール」は、いずれもamazonでカテゴリー別ベストセラー。
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◆代表プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。
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