ご近所コミュニティを愉快にするため、1年で10人を引っ越させた話

*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
高橋龍征氏との共同でセミナー企画・集客のご相談を受け付けています。
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ご紹介:オンラインセミナーの考え方を本にまとめてみました

色々考えながら実践してきた場づくりのを方法論を本にまとめたものがこちらです。
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2007年2月10日に、八丁堀にあった行きつけの寿司屋で偶然隣り合わせた人と「ご近所会をしよう」と盛り上がり、中央区在住・在勤者の会を立ち上げました。

非公開の勧誘・紹介だけで1,300人を超え、築地本願寺で坊さん達と区長含む300人近くで飲み会をすることになったのですが、最初の頃はご近所さん発掘に気合いを入れたという話です。

ご近所会については下記に記しています。

住む人を発掘する+移住させる

ご近所会といっても、誰でもよかったわけではありません。大きくするつもりはなく、SNSなどで一切公開していなかったので、私が誘うか、参加したことある人による紹介でしか参加できません。

基準は「また飲みたいと互いに思える人」です。人間性や価値観のような「テイスト」が会う人で、かつ、住んでいるか勤務しているか、となるわけですが、最初は当然人も少ないですから、色々なところに足を運んでスカウトしたり、中央区にある会社の人に同僚を紹介してもらうなど、文字通りかき集めるようにしていました。

しかしやがて、”論理的”に考えると、2つの方法があることに気づきました。

1)中央区の人を発掘する
2)人を中央区に引っ越させる

そこで、また飲みたいとお互いに思えそうな人を引っ越させてみることにしました。

実際に引っ越した人々

12年も前のことなので、「10人」という大台に乗せたことまでは覚えていますが、全員は思い出せませんでした。

属性で言うと、以下の人々が中央区に引っ越してきました。

・デイトレーダー(20代、男性)
・ファンドマネジャー(30代、男性)
・弁護士(20代、女性)
・パイロット(30代、男性)
・大企業社員(20代、女性)
・大企業社員(20代、女性)
・会社経営者(30代、男性)

全員、引っ越す予定や必要など全くない人々でしたが、最短では「初めまして」から2週間後には中央区の新居に引っ越していたという人もいます。

必要なかった人が引っ越す理由

独り者だとしても、引っ越しはそれなりにお金も手間もかかる、ハードルの高いもののはずですが、何故そこまで次々と引っ越すのでしょうか。

そのポイントは「欲さしめる」ことだと考えています。

人に強制はできません。よって、自ら欲する状態に持っていかなければなりません。しかも引っ越しなので、よほど強い動機を喚起しなければ現状維持の力が勝るでしょう。

上記に挙げた人々も、引っ越しを決断させるスイッチは人によって異なります。思い出せるところでは以下のようなものでした。

・仲良くなった人々の近くに住む
・東京に越してきたばかりで、仲間がたくさんできそうな場所に住みたい
・キャリアに悩んでいて、刺激や機会を求めている
・通勤時間を減らしたい
・都心に安くオフィスを構えたい

先に関係を作っておくのは簡単です。その頃私は会社を辞めて夜間の大学院に通っていたのですが、授業の後などだいたい八丁堀界隈で夜中まで飲みます。他の地域に住んでいる人はタクシーで帰るか近所の誰かの家に厄介になる羽目になるので、やがて、どうせなら近所に来た方が良かろう、となります。

キャリアに悩む若手の場合、次のようなものでした。まず、それなりかつ色々な業界の人がいる状態を見せた上で、畳み掛けます。
「人生は人との出会いによって大きく変わる。機会は自ら作らなければならない。自分から会いに行くのは1つの方法だ。しかし、人から声がかかる仕掛けを作るという手もある。我々が仮に夜11時から飲もうということになったとする。その時誰に声をかけるだろうか?それは近所にいる人だ。住む場所の近さは心の近さになる。遠くに住む人は、人生を大きく変えたかもしれない機会を逃し続けている。しかも、逃したことに気づいてすらいない。その少しの違いは何年もすれば大きな違いになる。それは近所に引っ越す、という意思決定で自ら選び取ることができるものなのに。もちろん、単に引っ越しただけで人生が変わると思うのは甘い考えだ。その機会を価値あるものにするのは自分だからだ。しかし、引っ越さなければ、逃した機会の存在にすら気づかず、今と同じ日常を続けることになる。選ぶのは自分だ。どちらを選ぶ?」
と、赤いピルと青いピルを差し出すモーフィアスのようなことを飲みながら言った気がします。

端的に言えば「詭弁」なのですが、説得する本人が確信して言えばそれなりに効きます。人を説得するにはまず自分から、ということです。

とはいえ、彼女はご近所の縁で金融業界にキャリアチェンジして、多分給料はそのまま同じ会社にいた場合の何倍かになったはずです。10人から1組結婚もしたし、引っ越して人生が変わったというのも、あながち嘘ではないでしょう。まあ、これも詭弁かもしれませんが。

引っ越させるプロセス

若干の差異はありますが、大まかに言うと以下のようなステップです。

1)関係構築+場の魅力を伝える
2)移住スイッチ(心の奥底の欲求)確認
3)不動産屋回りと物件内見の同行
4)居住予定エリアの町歩き
5)ご近所仲間との懇親会
6)契約完了までのフォローアップ

懸念は全て潰す

変わったところでいうと、不動産屋や物件回りまでアテンドします。何回もやっていれば気の利いた担当者も分かります。

非営利で完全中立な立場なので、安心感があるのかもしれません。冷静に考えると不思議ですが…

エリアの雰囲気を見る町歩きにも付き合います。中央区と一口で言っても、八丁堀、築地、東銀座、月島、勝どきなど、場所によって少し様相が異なります。そのエリアの居住者に聞きながら一緒に町を見て回れば、スーパーや薬局など、住んでいるからこそ見えてくる視点も気づかせてくれます。

どのエリアにもご近所仲間はいるし、老若男女・既婚未婚それぞれいるので、自分に近い人に話を聞ける安心感があります。だいたい自転車を持っているので、住もうと思っているエリアを自転車で見て回ることもできます。

そうして懸念材料は全て潰すので、引っ越さない理由がなくなります。また、そこまでを完全な善意でやることで、信用と親近感が増します。冷静に考えると不思議ですが…

ご近所仲間たちと人間関係をつくる

夜はご近所仲間との飲み会をします。老若男女・各業界の多様な人がいて、既にいる人も新しく引っ越させようとしている人も、基本的には「また飲みたいと思える、信用できて気のいい人」でスクリーニングしてあるので、馴染みやすかったのだと思います。

契約印を押すまでフォロー

と言うと物騒ですが、別に強制するわけではありません。単に頻繁に開催しているご近所会のたびに声を掛けるだけです。人は忙しさにかまける動物ですから、必然性もなく優先順位も低い、コストの高い意思決定は後回しにしたいと思うのが人情でしょう。

しかし、一度町案内までしてもらった人々と頻繁に顔を付き合わせていると「あ、引っ越しどうしよう」「やっぱり行くか」となるのでしょう。経験上、3ヶ月もすれば「在住会員」になっています。

最も大事なこと

当然ながら、これらは一切ボランティアです。飲み代は当然自腹なので、持ち出しです。ただ、コミュニティを参加者に魅力的なものにしたいという一心が情熱の源となり、自ずから体が動いたまでのことです。

また、このコミュニティがその相手にとってとても良いものであるという、心からの確信もあります。だからこそ本気で人を「引っ越させる」ことができたのでしょう。今同じことをしようと思ってもできません。

淡水の交わり

そうして越してきた人の多くは強固な関係値ができ、場の中心メンバーとして、頼もしい活躍をしてくれました。今でも深い付き合いの人も多いです。

引っ越しまでさせて週に何回も飲んでいるというと、ベタベタと面倒くさそうな感じがしますが、主催者が他人のプライベートに一切関心がないので、付き合いは案外あっさりしています。

半ばネタですが、毎日のように飲んでいた最初期からの中核メンバー同士が結婚したのですが、他の人々がそれを知ったのは1年以上経ってからでした。お互い聞く必要も言う必要もないと考えているだけで、不仲な訳ではなく、今でも普通に会います。

一時期は毎日飲んでいた面々も、今は1年に1回会うかどうかという人も少なくありません。物事には「時期」というものがあり、いつまでも同じことをする必要もありません。今でも何かあればすぐに集まりますし、会えば昨日も飲んでいたかのように盛り上がります。

皆さんも愉快なご近所会を作ってみては如何でしょうか。

ご参考:オンライン・コミュニティの実験場

その後13年、いくつものコミュニティの立ち上げをしてきました。コロナ後はフル・オンラインでの立ち上げ・運営を試行しています。

ご興味あれば登録してみてください。

参考:筆者の自著

色々考えながら実践してきた場づくりのを方法論を本にまとめたものがこちらです。
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◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki

conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授

大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、事業創造支援家として独立。インキュベーター立ち上げや欧州企業の日本進出を支援後、スタートアップ共同創業(取締役COO)を行う。
早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」プロデューサー就任を機に、事業開発や人材育成のためのセミナーづくりを本業とし、大学、企業、メディアからの受託や自身主催で、年間200件の企画を実現するようになる。
2020年、conecuri合同会社を設立。マーケティングセミナーの企画、社会人向け講座や企業研修の開発、それらを通じた事業創造を支援している。
新型コロナを機に、セミナーを一気にオンラインにシフトさせ、その知見を『オンライン・セミナーのうまいやりかた』として出版した。
また、13年以上複数のコミュニティ運営に携わる実践家として、大手企業や学校のコミュニティづくりも支援している。
早稲田大学 第一文学部 哲学科 東洋哲学専修 卒業 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科 修了 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム 修了 JVCA ベンチャーキャピタリスト研修 修了
 

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◆代表プロフィール

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株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。

中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。


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