新しい商品やサービスを市場に投入する際に有効なのがテストマーケティングという方法です。

この記事ではテストマーケティングのやり方やポイントを解説します。
テストマーケティングに成功した企業の活用事例も紹介していくため、導入の参考にしてください。 

テストマーケティングで市場の意向を調査してマーケティング活動を成功させましょう！

＜この記事で分かること＞
・テストマーケティングとは何か？
・テストマーケティングのやり方とは？
・テストマーケティングの成功事例

テストマーケティングとは？

テストマーケティングとは新しい商品やサービスを販売する前に試験的に販売するマーケティング戦略の手法です。
テストマーケティングは先行販売や広告配信などを通じて自社商品に興味を持ってもらうことから始めます。

テストマーケティングの言い換え

テストマーケティングを日本語で表すと「試用販売」あるいは「試験販売」と言い換えられます。
試験販売は新製品を本格的に販売する前に、一部の限られた地域で少数の顧客に対して販売する戦略です。
一方、試用販売は顧客に商品を引き渡して、一定のお試し期間で顧客が買取の意思表示をした場合に売買契約が成立する販売形態です。

テストマーケティングとBtoBテスト

テストマーケティングは一般消費者向けに販売するBtoC取引が一般的ですが、法人向けのBtoB取引をすることもあります。
テストマーケティングにおけるBtoBテストではDMやチラシ販売によって一部の機能をお試しで利用してもらいます。
BtoBテストではプロトタイプ（試作品）を使ってもらって使用感を確かめてもらう方法が多いです。

テストマーケティングの費用相場

テストマーケティングを実施するためには、テストを実施するための用意が必要です。
リサーチ会社に外注する場合、サービス内容にもよりますが100万円から200万円程度の費用がかかります。

テストマーケティングのメリット

テストマーケティングをする際はテストを実施する目的を明確にします。
テストを実施することで新商品の販売にかかるリスクを低減できるほか、ユーザーからのフィードバックを受けられるきっかけに繋がる点がテストマーケティングのメリットです。
テストマーケティングを実施するメリットとして、以下の4点が挙げられます。

• ターゲットを明確にできる
• リスクの低減
• ユーザーからのフィードバックを受けられる
• 販売促進のきっかけになる

メリット①：ターゲットを明確にできる

テストマーケティングを実施することで、商品やサービスのターゲットを明確にできます。
商品やサービスを販売していくうえでは、ターゲットとなる顧客層を見極めなければなりません。
テストマーケティングを実施することによって、想定した顧客ターゲットが正しいかどうかを確認できるでしょう。

メリット②：リスクの軽減

テストマーケティングを実施することでマーケティングに関するリスクを軽減できます。
リリース前に顧客からの反応を伺うことで、商品やサービスへの需要を予測可能です。
「思っていたよりも顧客からの反応が良くなかった」などマイナスの反応があれば生産量を調整したり、販売前の段階からサービスの改善に取り組めます。

メリット③：ユーザーからのフィードバックを受けられる

テストマーケティングを実施してユーザーの使用感をヒアリングすることにより、ユーザーからのフィードバックを受けられます。
開発側はユーザー目線からのフィードバックを受ける機会は少ないため、テストマーケティングが貴重な機会となりえるのです。
ユーザーからフィードバックを受けることで、サービスの改善に役立てられます。

メリット④：販売促進のきっかけになる

テストマーケティングを実施することで顧客に対して販売促進のきっかけに繋がることがあります。
テストの実施者が当初それほどサービスに関心を示していなかったとしても、テストをきっかけに興味を持ってくれることが期待できるのです。

テストマーケティングのやり方・方法とは？

テストマーケティングを実施する方法にはいくつか種類があります。
Web調査やSNS調査などの「オンライン調査」ではコストをそれほどかけずに多くのテストデータを入手可能です。
リアル店舗での調査やモニター調査などの「オフライン調査」ではコストがかかる一方で、精度の高いテストデータを得られます。

• Web調査
• SNS調査
• リアル店舗での調査
• モニター調査（個別調査）
• 購入型クラウドファンディング

Web調査

Web調査はインターネットを通じてテストマーケティングを行います。
サンプルを配布した後、試用した感想をWeb上でアンケートのかたちで回答してもらいます。
アンケートツールを活用して調査をするため、費用をかけずにテストマーケティングが可能です。
Google Formsなど、無料で使えるアンケートツールが人気です。

また、Web調査ではインターネットを通じて行うため、大量にデータを収集できます。
回答者にクーポン券などの返礼品を設定することでアンケートの回答率を高められるでしょう。

SNS調査

SNS調査はSNSを通じてテストマーケティングを実施する方法です。
SNSでは情報を拡散する効果を期待できるため、多くのユーザーに注目してもらえる可能性があります。
例えば、Twitterではリツイート機能で拡散されればフォロワー以外の方にも周知してもらえるのです。
また、テストマーケティングを通じてSNSアカウントを運用すれば多くのフォロワーを獲得できる効果も期待できるでしょう。

リアル店舗での調査

リアル店舗での調査は調査対象に会場へ来てもらってサービスに対する感想をヒアリングする調査方法です。
会場を準備するための費用がかかりますが、リアル店舗での調査は精度の高いアンケート結果を収集できます。

モニター調査（個別調査）

モニター調査あるいは個別調査では特定の個人向けに調査をする方法です。
調査したい属性を持つ個人に向けて調査ができるので、ターゲットに合ったユーザーへのテストができます。

モニター調査では特定の属性を持つユーザーへサンプルを送付して使用した感想をヒアリングします。
例えば、「30代の女性」というターゲットがある場合、年齢と性別を指定して調査を行うことが可能です。

購入型クラウドファンディング

クラウドファンディングは企業や個人が事業の目的を果たすために不特定多数の人から資金を募る資金調達方法です。
「購入型クラウドファンディング」という形態では資金を提供した人向けに売買契約が成立し、見返りとして対価を提供します。
事業者は資金を募りながら返礼として試用品を提供するという形式です。

クラウドファンディングとテストマーケティング

購入型クラウドファンディングはテストマーケティングの実施に向いています。
出資の見返りとしてサンプル品を提供できるため、そのまま使用した感想などをヒアリングできるのです。
資金の出資者は事業に対して好意的なユーザーであるため、テストマーケティングについても好意的に思ってくれる可能性が高いです。
そのため、テストマーケティングに対して好意的に多くの回答を期待できるでしょう。

テストマーケティングで調査するべき情報

テストマーケティングを実施する際には、テストを実施するユーザーの属性に関する情報を集める必要があります。
その他、ユーザーの満足度や価格に対する意見を聞くことで価格の決定に役立てることが可能です。

• ユーザーの属性
• ユーザーの満足度
• 価格を許容できるか
• 流通チャネル

ユーザーの属性

ユーザーの属性とは「年齢」「性別」「職業」「お住まいの地域」といった、ユーザーが持つ社会的な立ち位置に関する情報です。
例えば、「30代の会社員女性」という属性に絞ったターゲットを設定できます。

ユーザーの満足度

テストマーケティングを実施することによってユーザーの満足度を調査できます。
商品やサービスに関する満足度を点数で評価してもらう調査方法です。

ユーザーテストの回答には「定量的情報」と「定性的情報」の2種類があります。
このうち、定量的情報は数値で表せる情報を示し、統計的手法によって回答を分析可能です。
ユーザーの満足度は点数で表せるものであるため、定量的情報としてテストマーケティングの分析ができます。

なお、定性的情報は数値で表せない情報です。
自由回答形式のアンケートで意見を聞き出し、開発側が意図しなかったフィードバックを受けられます。

価格を許容できるか

テストマーケティングによって、ユーザーがどれだけの価格を許容できるのかを調査できます。
商品やサービスの価格を決定する際は市場にいる競合他社の価格を調査するほか、ユーザーがどれほどの価格を受け入れられるのかといった情報が必要です。
ユーザーの満足度が高い場合、他社より高めに料金を設定しても売れ行きを期待できるでしょう。
テストマーケティングのアンケート項目において、価格の許容額をヒアリングしておくことで価格の決定に役立てられます。

流通チャネル

流通チャネル、すなわち購入者がどのような経路で購入したのかを調査できます。
流通チャネルを調査することでユーザーがどうやって商品を購入に至ったかをチェックします。
ユーザーが購入に至る可能性が高い流通チャネルに重点的に販路を敷くことで、効率の高いマーケティングを期待できるでしょう。

テストマーケティングの活用事例

新しい商品を販売する際、テストマーケティングによって市場の声をヒアリングすることが重要です。
成功している企業の多くがテストマーケティングで顧客の心を掴んでいます。

ここでは「レッドブル」「ふくやの明太子」「花王」という3つの事例を用いながらテストマーケティングの成功パターンを確認していきましょう。

レッドブル

エナジードリンクとして人気の『レッドブル』は、レッドブルカーと呼ばれる宣伝車を活用してテストマーケティングに成功した事例として挙げられます。
レッドブルカーとは屋根に巨大なレッドブルの缶を模した模型を搭載している宣伝車で、人通りの多い街中でレッドブルを配布していることが特徴です。

レッドブルカーによる宣伝効果

利用者は無料でレッドブルを受け取れるメリットがあるため、レッドブルカーは大きな宣伝効果となっていると言えます。
また、企業側はレッドブルを配布することによってその場で意見を聞き入れるため、テストマーケティングとしても有効です。
このように、レッドブルは宣伝車を走らせることによって、テストマーケティングによる情報収集と宣伝広告効果の両方を実現しています。

ふくやの明太子

『博多の味 明太子のやまや』を展開するふくやは、博多の名産品である明太子を取り扱っています。
ふくやではお土産としても人気の明太子について、インターネット上で応募者にプレゼントするというキャンペーンを打ち出しました。

明太子を通販でテスト販売

本キャンペーンでは明太子をプレゼントするだけでなく、明太子をネット通販するテストも兼ねていました。
キャンペーンで多くの好評を得た明太子はインターネットでの通信販売に踏み切り、大量の受注に成功しています。

ふくやの明太子はお土産として人気の製品ですが、生ものであるため傷みやすい特徴があります。
プレゼントキャンペーンは新しい販売方法へ切り替えられるかのテストマーケティングも兼ねていたのです。

花王

花王株式会社は化粧品など消費財化学品を取り扱う大手メーカーです。
花王はマーケティング戦略において「顧客の声を聴くこと」を重要視しています。
テストマーケティングにおいても顧客の意見を拾うことを重点的な戦略を立てています。

「アタック」は従来より軽い洗剤として定番に

花王のヒット商品には「アタック」という洗剤があります。
アタックが販売された1980年代、洗剤は大きくて思い日用品と考えられてきており、洗剤は買い運ぶのが大変なものでした。
アタックは従来の洗剤と比べると遥かに軽いサイズで販売されたのでしたが、販売の開始時にはテストマーケティングによる入念な調査が行われました。
テストの結果、新しい洗剤である「アタック」は主に都市部の若者に受け入れられる結果となり、「顧客の声を聴く」花王の姿勢が成功した一例と言えるでしょう。

テストマーケティングで市場の意向を調査しよう！

テストマーケティングは新しい商品やサービスをリリースする前に、テストとしてユーザーにテストをしてもらえるマーケティング手法です。
リスクを軽減しながら新商品のテストをできるほか、テストを実施した顧客へのアピールも兼ねています。

テストマーケティングのやり方としては、Web調査やSNS調査などのオンライン調査のほか、モニター調査などのオフライン調査があります。
ユーザーの属性を調査するほかユーザーの満足度を調べてマーケティングに役立てることが可能です。

テストマーケティングに成功した企業は顧客の声をヒアリングすることを重視することで成功をおさめています。
テストマーケティングを実施して効果的なマーケティング施策を実行してください。