ネットリサーチやアンケートを実施する際、調査の設計やユーザーデータ収集の支援で、いわゆる「調査会社」の支援を得るべき場合がある。
ただ、事業会社側が調査会社に求めることと、調査会社が提供するサービスとでは、少からずズレが生じており、必ずしも事業者側が求めるものになっていないことがしばしば見受けられる。
この記事では事業者側からみた、調査会社の課題ともいえる「避けるべき調査会社」のポイントを事業者側の声とともに紹介していく。
■避けるべき調査会社のポイント ①依頼者のゴールを意識できていない
事業者側からみれば調査をすることはゴールではなく、あくまでマーケティング課題を達成するための手段であることを明確に意識する必要がある。なぜなら、調査会社は調査をすることが主な依頼と考えているが事業会社の担当者は、調査結果をもとにマーケティングを実行することが主な仕事となるからだ。
しかし、このゴールを意識できていない調査会社を多く見聞きする。
例えば、調査実施前のオリエンテーションで調査の対象者条件や設問数など細かく聴いてくる調査会社がいるが、(そこももちろん重要)何のために調査するのかといった本質をオリエンではもっと引き出すべきである。
他にもメーカー担当者は、炭酸飲料の新ブランドを発売することを目的に調査を依頼したのに実際調査してみたら現状の消費者把握に終わってしまい具体的な方向性がよくわからず、結局調査結果を活用しきれないまま新ブランドの発売も至らなかったケースがある。
失敗しない調査にするためには、まず担当者のゴール=調査目的を強く意識することからはじめなければならない。
■避けるべき調査会社のポイント② マーケティング課題が整理できていない
事業者側の意見を鵜呑みにしてはいけない。
担当者のゴール=マーケティング課題を明確化することがまず重要である。
事業者側のマーケティング課題をどれだけ理解できるかが調査の質を決めるからである。
もちろん、外部にあたる調査会社側が事業会社のマーケティング課題を理解することは難しい。しかし、事業者側でさえマーケティング課題を正確に捉えられていないケースも多々みられる。
なぜなら、事業者側は外部(消費者)よりも内部(上層部)の意見に触れる機会が多いため客観的な視点を落としがちである。
例 マーケティング課題が整理できていなかったケース
例:事業者側から製品の評価が悪くてリピートをとれずに売上を落としているからどこが悪いのか調査してほしい。という依頼があったとしよう。しかし、実際調べてみたらパッケージの評価が悪くて製品は問題なかった。つまり問題はリピートではなくトライアルがとれていないことだった。このように事業者側が問題と思っていることでも全く検討違いのことを言っていたりすることはざらにある。
他にも、ある化粧品メーカーからの事例で、「どんな商品を作っていいかわからないからとりあえず調査してみて」という依頼があったがこれは失敗例の代表である。
とりあえず言われるがまま調査をしたが、何を導けばいいのか分からず結果曖昧のままその調査は終わってしまった。しかも、調査が全て終わったあとになって依頼者側から意味がなかったと叱責を受けた。
このように、事業者側が述べていることを鵜呑みにしてはならず、第三者にあたる調査会社が客観的な視点でマーケティング課題を整理することが本当のところ求められている。
しかし、依頼は調査という枠組みにとらわれマーケティング課題まで踏み込んでくれる調査会社は少ない。
担当者のマーケティング課題まで俯瞰してみることがいまの調査会社には求められ、それができる調査会社はより長く事業会社から依頼されている傾向にある。
■調査会社を評価する5つのポイント
では、実務的にどういった調査会社が評価されているのだろうか?評価のポイントとなるのは次の5項目である。
○企画・設計力
調査の質という点で非常に重要なウエイトをしめるのが企画・設計力である。
この企画・設計力で調査会社の力量は判断される。
○正確性
調査結果は判断の指標に使われるケースが多いため調査結果の信頼性含めて正確さはとても重要。
○価格
当然のことだが事業会社は予算が決まっている。そのため、どれだけ大規模な調査をしたくとも予算がなければ行うことができない。つまり、予算内でどれだけクオリティのよい調査ができるかが求められる。
○スピード
事業会社では、突発的に調査しなければならないことが多々発生する。しかも、何日後には調査結果が必要だ。といったケースもありそれに対応できるスピード力は評価のポイントのひとつ。
○提言力
先に述べたとおり、事業会社側の担当者はマーケティング課題の達成こそがゴールである。
調査結果は、最終的に求めるものではない。調査結果から導き出されたものをどれだけマーケティングに落とし込めるかが重要である。
調査結果を淡々と報告する調査会社も見受けられるがそれでは評価されない。報告会で調査結果の数値をなぞるだけの調査会社もいるがそれだけでは不十分である。調査から得られる示唆について、第三者の意見、客観的な視点からどれだけ提言できるかが評価のポイントである。
例 提言があるといえるケース
コーポレートイメージの話になった際、データの結果だけでなく、ポジティブに働くのは信頼のイメージだったため、そこをあげていきましょう!ちなみに効果的な方法としてはこんなのがあります。といった、施策に込み入った提言を含める。あるいは、マーケティングの施策に関する調査であれば4P(Product、Price,Place,Promotion)の視点で提言があるとよい。例えば、製品(Product)面において、食品関係の調査で消費者のニーズとして健康感が高いと分かった場合、健康感をどの方向で示せばいいのか?減塩の方向性がよいのか、特定保健用食品の認可がつくとよいのか、など具体的な方向性まで示せるとメーカー側も実務に移行しやすい。
■これから求められる調査会社とは?
調査会社の営業をきいているとサービスの違いをよく説明される。
しかし、事業者側からすればちょっとしたサービスの違いはさほど重要ではない。
なぜなら冒頭でも述べたとおり調査は手段であるからだ。
調査結果を得られるプロセスは言ってしまえば何でも良い。(もちろん品質は言うまでもなく重要)
調査結果を踏まえてどれだけ第三者の立場から提言できるのか、マーケティングを実行するにあたり一緒に考えてくれるのか、といったパートナーとなってくれる存在を求めている。
事業者側よりも消費者の立場に近い調査会社の意見こそ付加価値のあるリサーチである。
その付加価値をどれだけ付けられるかが選ばれる調査会社になるか選ばれない調査会社になるかの分かれ目と思われる。
◆戦略にリサーチにリソースが割けない!そんなときは?
戦略の意思決定を誤らないために、最低限重要なことだけを明確にできれば、
費用や時間がかからない簡単なリサーチでも十分です。
また、アンケートプロモーションでは、プロモーションと併せてリサーチをおこなうなど、リサーチとしてのコストをかけずに広告効果の補助として適切なリサーチ・マーケティングを行うことも可能です。
私達、株式会社まーけっちは、事業の成功に根差した、リサーチ・マーケティング支援を追及しています。
手法や戦略にご興味があるという方はお気軽にご相談下さい。
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◆著者プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。
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