リサーチ
アンケート集計に活用すべきグラフ8種類を紹介!データ分析の重要スキルを身につけよう
2020.10.02
アンケートの集計結果はグラフにして表すことで、多くの場面で活用できます。
データの分析時にはもちろん、社内外に向けた資料やフライヤー、WebコンテンツやLPの作成にも役立つでしょう。
取り組んだことが無いと一見難しく見えるグラフ作成ですが、いくつかのポイントを抑えておけばグッとそのハードルは下がります。
本記事ではアンケートの結果からグラフを作成する前提となる
- アンケートの回答形式の種類
- アンケート結果の主な集計方法
を解説した上で、アンケートのグラフ化について解説をしていきます。
それでは詳しく見ていきましょう。
アンケートには3種類の回答形式がある
アンケートの回答形式は基本的に以下の3種類です。
- 単一回答(SA)
- 複数回答(MA)
- 自由記述による回答
グラフを作成する場合、どの回答形式の設問であるかによって適切なグラフの種類が変わってきます。
そのため、アンケートの設問にどんな形式があるかは確実に把握しておく必要があるでしょう。
単一回答(SA)
単一回答(SA,シングルアンサー)とは、ある質問に対して1つだけ回答をしてもらう回答形式です。
例を挙げると、
Q.「あなたが最も利用するコンビニエンスストアを教えてください」
- A社
- B社
- C社
A.「B社」
上記のように、複数の選択肢から1つだけの回答をしてもらう形式は全て「単一回答」に該当します。
複数回答(MA)
複数回答(MA,マルチアンサー)とは、ある質問に対して当てはまる複数の選択肢を選ばせる回答形式です。
こちらも例を挙げると、
Q.「あなたが利用したことのあるコンビニエンスストアを教えてください」(複数回答可)
- A社
- B社
- C社
- D社
- E社
A.「B社、C社、E社」
上記のように、複数の回答をおこなってもらう形式の質問が「複数回答」に該当します。
自由記述
自由記述とは、選択肢を作成せずに回答者に自由に単語や文章で回答してもらう形式の質問です。
例を挙げると、下記のようなものが自由記述の質問に該当します。
Q.「あなたがコンビニエンスストアの利用で重要視するポイントを自由にお答えください」
A.「自宅やオフィスからの距離を最も重要視します。」
ただ自由記述形式の設問には「回答率の低下を招く可能性がある」「分析の難易度が高い」といったデメリットもあるため、実際のアンケートの設問に組み込む際には注意する必要があります。
アンケート結果の集計方法
続いて、アンケート結果を集計する主な以下3つの方法を解説していきます。
- 単純集計
- クロス集計
- 自由記述の集計
それでは詳しく見ていきましょう。
単純集計
単純集計は、回答ごとの数を合計する最もシンプルな集計方法です。
回答者100名のうち「はい」が40名、「いいえ」が60名というように、1つの設問ごとに回答を集計していけば問題ありません。
単純集計をおこなうと回答の全体的な傾向を把握することが可能なため、アンケートの集計は必ずここから始めるようにしましょう。
クロス集計
クロス集計は、「はい」と回答した「東京都の女性」というように2つ以上の条件をかけあわせて回答を集計する方法です。
多くの組み合わせでデータを見ていくことで、単純集計では見えない詳細な数値の関係を見つけることができます。
基本的にクロス集計では、
- 属性クロス集計(属性×回答)
- 設問間クロス集計(回答×回答)
のどちらかの掛け合わせを使うやり方が用いられます。
自由記述の集計
自由記述回答の集計では「文章」と「数値」のどちらで回答されているかによって、適切な集計の方法が異なります。
文章で回答している場合
文章で回答している場合は、まず回答をリスト化しましょう。
その後、単語の出現頻度や重要度を分析する「テキストマイニング」や、単語の分類をおこなう「アフターコーディング」と呼ばれる方法を活用すると、効果的に集計・分析を進めることができます。
数値で回答している場合
数値で回答されている場合は、まず
- 最小値
- 最大値
- 平均値
- 中央値
- 標準偏差
をそれぞれ求めて、集計をおこないましょう。
自由回答では回答に異常値が入る可能性があり、データを読み違える可能性も高くなりがちです。
そのため、上記のように数値をフラットに見る工程をおこなった上で分析をおこなうようにしてください。
アンケートのまとめに使える主要グラフ8種
それでは、回答形式と集計方法のそれぞれを踏まえた上で、アンケートのまとめに活用できる主要なグラフを紹介します。
- 1.円グラフ
- 2.帯グラフ
- 3.棒グラフ
- 4.折れ線グラフ
- 5.棒グラフ+折れ線グラフ
- 6.散布図
- 7.レーダーチャート
- 8.テキストマイニング
大切なのはどのグラフをどの場面で使うべきかの判断が適切にできるようになること。
それぞれのグラフの特徴と、使用シーンについて詳しく解説をしていきます。
①円グラフ
円グラフは単一回答(SA)の回答結果の割合を可視化したいときに適しています。
円というビジュアルが、視覚的に100%であるということを伝えやすいということも言えるでしょう。
あくまで全体が100%になる場合の内訳を表すグラフであるため、全体が100%にならない複数回答の場合には使用できないことを覚えておきましょう。
②帯グラフ
帯グラフは、単一回答(SA)のクロス集計結果を可視化したいときに適しています。
「帯全体を100%として、各項目の構成比を見る」という点では円グラフと共通していますが、長方形であるため、並べた際に比率の違いを確認しやすいという特徴があります。
また、帯グラフも複数回答(MA)の設問には使用できないので注意しましょう。
③棒グラフ
棒グラフは、複数回答(MA)の集計結果を可視化することに適したグラフです。
1つの設問の選択肢ごとに回答者数や、その割合をまとめることができます。
基本的には単純集計の結果をグラフ化することができますが、使い方によってはクロス集計の分析にも使用することが可能。
そのため、クロス集計から読み取れる傾向をビジュアルで分析したい場面の使用にも適していると言えるでしょう。
④折れ線グラフ
折れ線グラフは、時系列による変化を可視化したいときに用いられるグラフです。
基本的に単一回答(SA)、複数回答(MA)のどちらでも使用することができますが、ある程度の期間にわたって繰り返し実施された調査の場合でないと、より精密な傾向は掴みにくいと考えられます。
⑤棒グラフ+折れ線グラフ
棒グラフと折れ線グラフを組み合わせることにより、複数データの比較に適したグラフを作成することができます。
複数回答(MA)の回答別の構成比を比較する際の使用などに適した形式のグラフです。
⑥散布図
散布図は、縦軸と横軸のデータの相関関係を見るためのグラフです。
あるデータを元にし、縦軸と横軸の該当する位置に点を打っていきます。
データの散布(分布)を視覚的に把握することで、2つのデータに相関関係があるかどうかを見極めることが可能となります。
⑦レーダーチャート
レーダーチャートは、同様かつ3つ以上の評価項目で収集した2つ以上のデータを比較する際に使用するグラフです。
商品Aと商品Bの使用感に対するアンケート結果を比較する際などに用いることができます。
⑧テキストマイニング
テキストマイニングは、文章で回答された言葉を分析、可視化する際に用いられる方法です。
テキストの出現数や関連性、重要度を視覚的に把握することができるため、自由回答の全体的な傾向を把握したい場面での使用に適しています。
アンケート結果をグラフ化する際のポイント
アンケート結果をグラフ化する際のポイントを2つ解説します。
エクセル等のデータは事前に並び替えておく
アンケート結果をグラフ化する際は、数値の大小や項目の五十音順でデータを事前に並び替えておきましょう。
エクセルやスプレッドシートなどの表計算ツールを使用した場合は、リストの順番でそのままグラフが作成されるため、データの集計時に作成するグラフを意図しておけば、後から並び替える手間を省略することが可能です。
膨大なデータを扱う場合には、このデータの並び替えが大きなロスになる可能性もあるため、チームで集計作業をする場合などはあらかじめルールを設けておくと良いでしょう。
グラフの配色やサイズなど、デザインを意識する
グラフは集計するデータの性質にあわせてデザインを変えることで、より直感的に情報を伝えられるようになります。
ポジティブやネガティブ、比較する商品やサービスのイメージカラーなど、グラフのデザインを工夫できる着眼点は多数あるでしょう。
特に外部向けの資料やプレゼンなど、誰かに対してデータを見せる機会があるならば、確実に意識した方が良いポイントだと言えます。
アンケートから適したグラフを作成し、分析の精度を高めよう
アンケート結果に適した形でグラフを作成することで、データが持つ意味をよりハッキリと伝えることができるようになります。
グラフの作成に苦手意識があるならば、Web上にも多くの例題やテキストが存在しているので、それらに挑戦してみるのも良いでしょう。
冒頭でも述べましたが、アンケートのグラフ化は、マーケティングにおける多くの場面で生きるスキルだと言えます。
基本となる考え方を覚えて、ぜひ実際の現場でも知識を活用してみてください。
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株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。
中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。
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