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アンケート集計の方法と基本的な考え方を解説|便利なツールもExcel含め紹介
2020.09.11
アンケートは、今後の施策や現状を理解するためなど様々な場面で活用されています。
しかし、企業にとって価値をもたらすアンケートを実施するためには適切な集計作業が必要不可欠。
設問の設計や、データの集計方法によっては全く意味のない調査に終わってしまうということも考えられます。
当記事では、
- これからアンケートの集計を行うが、どのように進めて良いかわからない
- より今後の事業に活用できるようなアンケートにしたい
という方に向けて、アンケートの集計にフォーカスして解説していきます。
事業に活用できるアンケートを実施するための心得
実はアンケート実施に関係するすべての業務において、「アンケートの意図・目的」を明確にすることは、非常に大切。
意図や目的を明確にすることが、どのように関係していくのが解説していきます。
目的や意図を明確にする
あなたは、日頃実施している(orされている)アンケートをの意図や目的をしっかりと理解していますか?
アンケートの目的が明確であればあるほど、ターゲットや質問形式を最適化することが可能となります。
しかし、やみくもに回答を集めても、そこから導き出されるデータに大きな価値は生まれません。
結果を得るためのアンケートを実施するためには、下記のポイントをおさえておきましょう。
- どんな目的を持ったアンケートなのか。
- 目的を達成するために必要な質問はなにか。
- より効果がある対象者は誰か。
簡潔で回答しやすい設問を作成する
目的が決まり、ターゲットや質問内容を決定したら次は「どのような聞き方をすれば、より適切な回答を集められるのか」を考えていきましょう。
アンケートで適切な回答を集めるためには、とにかく「回答者が答えやすいアンケート」を作ることが大切です。
大前提として、アンケートとは「回答者にとって手間がかかる面倒なもの」だということを認識しておきましょう。
その上で、答えやすいアンケートを作るためには以下のポイントを意識してみてください。
- 設問数は最低限にし、選択式で回答できる設問の量を多くすること
- 自由回答設問の回答率を上げるための仕込みをしておく
設問数は最低限にし、回答選択式の設問の量を多くすること
回答者にとって取り掛かりやすく、積極的に回答をしてもらうことが良質な集計へと繋がります。
設問を作成するときには、以下ポイントを心がけて質問を設定していきましょう。
- 選択式の回答を増やす。→文章よりも答えやすく、集計しやすくなる。
- 質問の数を増やしすぎない。→ターゲットを絞ることができ、回答者の取り掛かりやすさを重視。
アンケートの内容はシンプルかつ明確であることが非常に重要です。
自由回答設問の回答率を上げるための仕込みをしておく
自由回答の設問は、選択回答では得られないユニークな意見を集めることに適しています。
ただ問題は、回答者にとって回答が面倒な設問である可能性がとても高いこと。
自由回答の回答率を上げるためには、アンケートそのものに以下のような工夫を入れることが効果的です。
- 事前に選択式設問を入れて、自由回答のターゲットを絞る
- 回答例を添えて、答えやすい環境を作る
- 最初は選択式、自由回答はできるだけ後に
この中でもよく利用されるのが3番目。
簡単な設問から回答を開始することで「一度始めると最後まで終わらせたいという人間の心理」が働き、回答率が上がる傾向にあります。
ぜひ自由回答の設問を入れる場合には意識をしてみてください。
集計・分析作業を念頭においたアンケート設計をすること
後々の集計や結果の分析を考えると、集計・分析しやすいような選択肢や設問を作成していくことも非常に重要になります。
そのため、複数回答式や自由回答式の設問を必要以上に増やしてしまうことはNGです。
結果として、集計方法が複雑になったり、サンプルサイズが小さすぎるために、そもそも分析できないといった状態に陥ることも考えられます。
集計のしやすさを考えれば、単一回答の設問がおすすめです。
また、特定の回答やキーワードに絞って集計するといった方法もありますので、回答者が答えやすく、実施者が集計・分析しやすいアンケートを心がけていきましょう。
アンケート集計時に抑えておきたい3つのポイント
アンケートの集計結果を事業に生かしていくためにも、間違いなく意味のあるデータ抽出を行う必要があります。
アンケート集計を行う際に、気をつけておかなければいけないポイントと、抑えておきたい3つのポイントについて紹介していきます。
①平均値・中央値・最頻値の違いを理解する
アンケートの集計をおこなうため、「平均値」「中央値」「最頻値」という3つの値について必ず知っておきましょう。
データの平均を探る「平均値」
データの特徴をあらわす値として、もっとも代表的なのが「平均値」で、その名の通りデータに対して、その平均となる値です。
データの中間地点を示す「中央値」
一方で、値の高い順から順に並べていき、全てのデータの真ん中を示す値を指すのが「中央値」になります。
平均値と中央値の計算例
例えば、5人の生徒がテストを受験したときに33点・47点・55点・68点・97点だったとき。
このとき平均値を求めると、
(33+47+55+68+97)÷5=60点となります。
一方で、中央値は真ん中にくる点数である55点を指します。
上記の例だと平均値と中央値の差は5点となりました。
中央値と平均値を併せて確認することで、平均値としてとった値の正常性を確認したり、分布上回答がどちらに偏っているのかという判断材料にすることができます。
データの代表値を示す「最頻値」(さいひんち)
集計したデータの中で、最も回答の多かった値を「最頻値」(さいひんち)といいます。
最も多く回答されたということは、そのデータの代表的な値を示すことになるため、平均値や中央値と組み合わせて分布を使った分析に有効です。
平均値・中央値・最頻値を組み合わせた場合
例として下図に100人を対象にテストを行い、5段階で評価点をつけ平均値・中央値・最頻値を算出してみました。
テスト1回目(100人) | テスト2回目(100人) | |||
A評価(5点) | 10人 | A評価(5点) | 5人 | |
B評価(4点) | 15人 | B評価(4点) | 35人 | |
C評価(3点) | 20人 | C評価(3点) | 5人 | |
D評価(2点) | 40人 | D評価(2点) | 25人 | |
E評価(1点) | 15人 | E評価(1点) | 25人 | |
平均値 | 2.65点 | 平均値 | 2.55点 | |
中央値 | 2点 | 中央値 | 2.5点 | |
最頻値 | 2点 | 最頻値 | 4点 |
1回目と2回目では平均値と中央値に大きな差はありませんが、最頻値には大きな差が出ています。
「全体の点数を上げて底上げを図ること」を目的としたとき、平均点は落ちているが、高い点数を上げている人数が増加していると判断できます。
数値を比較した後に必要になるのが集計後の分析作業です。
集計結果をもとにターゲットを絞った分析をおこなうと、下記のような仮説を立てることができます。
- 1回目にD評価だった人たちは、2回目どのような点数を取ったのか
- 2回目にB評価を上げた人たちが1回目でどのような評価を受けていたのか
このように仮説を立てて検証していくことで、次の対策に繋げていくことができるでしょう
上記は集計における基本となる3つのポイントです。
組み合わせによって様々な角度から集計結果を見ることが出来るようになるので、ぜひ使い方をマスターしましょう。
②アンケートの集計前に、有効回答の基準を用意しておく
残念ながらアンケートに答えてもらったものの、回答として使えないというアンケートも中には出てしまいます。
分析に利用できないような回答によって結果を歪めないように、「アンケートの回答母数=有効回答-無効回答」となるように分類をしていきます。
回答の分類にあたっては基準となる線引きを決めておくと、分類を行いやすくなります。
- 用意した選択肢以外の「その他」を選んだ場合は無効回答とする
- 「不明」や「わからない」といった選択肢を用意する
- 無効回答を集計に含めないようにフラグを立てる
- パーソナル情報(年齢や家族構成等)で絞りを入れる
上記のような線引きをアンケートの目的に沿った形で決めておくと、有効回答と無効回答の分類に役立つでしょう。
また、不真面目に答えている回答を排除するために、「この設問ではAを選んでください」というような探りを入れる例もあります。
③集計のミスを防ぐ方策を事前に考え、周知しておくこと
せっかく集めてきた回答も集計結果に誤りがあっては、その後の分析や意思決定に悪い影響を及ぼしてしまいます。
そのため、ミスや集計結果の矛盾を防ぐための手順をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
他の人にチェックをお願いするダブルチェックも有効ですが、セルフチェックでも以下のポイントは抑えて確認をしていきましょう。
- 合計のパーセンテージが100%になっているか。
- データの合計数と回答数が合っているか。
- エクセル利用時は、計算式が合っているかどうか。
選択式回答の代表的な2つの集計方法
アンケートの結果を集計して活用できるような形にするためには、適切な集計方法を選択して処理を進めていく必要があります。
そこで、まずは選択式回答の設問での代表的な集計方法をご紹介します。
①単純集計
おおまかな傾向をを掴むために活用されるのが「単純集計(Grand Total)」です。
選択肢ごとの回答数を集計するだけですので、シンプルかつ基本的な集計方法で、回答の件数や比率を表すことで、回答者全体の傾向を把握するのに有効です。
集計結果として表す際には、グラフ化(円形グラフ)がおすすめです。
②クロス集計
より分類して、詳細な傾向を掴むために使われるのが「クロス集計」です。
例えば、質問にたいして「はい」と答えた人のうち、男性と女性の割合を調べたいというように、要素をかけ合わせて詳細な分析に活用することができます。
クロス集計を行うことで、属性別に分析できるので、単純集計ではわからなかった傾向を把握することができ、よりデータとしての精度を上げることができます。
集計結果は、表形式で一覧にするのも見やすいですが、帯グラフや複数回答OK時は折れ線グラフも有効です。
自由回答による設問の2つの集計方法
アンケートの集計や回答しやすさを考えると選択式がおすすめですが、自由回答である記述式を活用することで、よりリアルな声を集めることができます。
もちろんアンケートの集計という点では、少々慣れが必要な程度に複雑な手法ですので、どのような集計方法が取られているのか確認しておきましょう。
①アフターコーディング
アフターコーディングは、自由に回答できる記述式回答を選択式回答に変換していく手法になります。
記述式回答のなかから類似の回答、キーワードなどを抽出していき、少数の選択肢に絞り込んでいくことで、集計しやすくなります。
選択肢化するための類似回答やキーワードは自分で探しながらまとめていくのが一般的です。そのため、集計者の能力に偏りが出たり、集計の工数がかかってしまうという問題点があります。
②テキストマイニング
アフターコーディングに変わって、専用のツールも多く出てきているのが「テキストマイニング」という手法です。
文章を単語や文節で区切ったものを、頻度や単語ごとの相関関係を図で示すことで、より有用な情報を取り出そうというものです。
一見、図を見ているだけだとわかりにくいですが、よく見られる単語については文字の大きさが大きくなっていたり、関係性のある言葉が近くにあったりと、仕組みを理解するととてもわかりやすく集計をすることができます。
ただし、アフターコーディング・テキストマイニング両方に言えるのが、あくまで定性的な情報を定量化しているにすぎず、少数派ではあるものの貴重かつ有用な記述が埋もれてしまいがちになります。
このようなデメリットも理解した上で活用していくことをおすすめします。
アンケート集計に利用できるツールを紹介
アンケート回答の集計には、ExcelやGoogleスプレッドシート、集計に特化したソフトを利用するのが便利です。
特にExcelを使うのが苦手という方や、より金額を投じてでも効率化を図りたいという方は、アンケートの作成と集計の機能両方が備わっているツールを活用していくのもおすすめです。
Excel(エクセル)を利用した集計方法
Microsoft OfficeのExcelや、保存をついつい忘れがちな方には嬉しいGoogleスプレッドシートはアンケート集計の手法としても代表的な例のひとつです。
Excelを活用していく上で、避けて通れないのが関数の活用とピボットテーブルですよね。
アンケート集計において特に便利な関数は「COUNTIF関数」「COUNTIFS関数」です。
COUNTIF関数は、「この範囲の中に、指定した文字は何個あるのか」という関数になり、単純集計を行う際に、非常に有効です。
COUNTIF関数の複数形であるCOUNTIFS関数は、より条件を増やして複数の条件に該当する個数を求める関数になります。例えば「B列で『はい』と答えている。かつ男性のみの回答を集計」という場合に使うことができます。
複数回答の場合には、「SUM関数」と「INDEX関数」を組み合わせた関数が有効です。
選択肢を列ごとに作成したり、カウントすべき箇所を1、カウントしない箇所を0にするなど関数を使うための条件がありますが、慣れると様々な場面で活用できますので、この機会に覚えてしまうことをおすすめします。
Web形式のアンケート集計アプリケーション
最近では、より手軽にアンケートを集計できる集計に特化したソフトやアプリケーションがリリースされており、中には、アンケートの作成機能を持っているツールも登場しています。
ツールを利用するメリットは、回答されたデータがリアルタイムで反映されることと、グラフなどのデータ活用しやすい機能が備えられていることです。
Web形式の場合には、アンケート内で個人情報を含む際には、セキュリティ対応がしっかりとしているサービスを選ぶことと、テンプレート型が多いため、あまり自由にカスタマイズできないというデメリットは抑えておきましょう。
集計・分析の効率化や、あまり質問数の多くない程度の規模で行う場合にはとても有効です。
カスタマイズ型の集計ソフト開発
カスタマイズ性に優れたツールは、オンプレミス型とも呼ばれますが、開発を伴う場合もあり金額が高くなる傾向にあります。
比較的大きな規模のアンケートを行う場合や、事業のブランディングとして必要な場合、アンケートによる情報収集の機会が多い業種については、有効な選択肢といえます。
アンケート集計ひとつで、貴重な声を生かすこともダメにすることもできる
アンケートの集計をひとつとっても、集計方法の誤りやヒューマンエラーなどで、結果が変わってしまいその後の分析や施策に大きな影響を与えかねません。
今回の記事では、アンケートの集計に役立つような準備編として、
- アンケートそのものの根幹に関わる目的設定
- シンプルかつ回答しやすい設問の設定
アンケート集計を効率的かつ効果を最大に発揮できるように、
- 平均値や最頻値など値について理解を深める
- 集計しやすさを考慮した設問設定
集約された情報を的確に集計していくために、
- 選択式回答に適した「単純集計」と「クロス集計」
- 自由回答の情報を噛み砕いて理解する「テキストマイニング」
- アンケート集計に活用できるツール
について、解説をいたしました。
ご自身の状況やリソースを勘案しながら、貴重な声を事業や今後の行動に生かしていくためにも今回の記事を参考にしながら、最適解を見つけていきましょう。
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株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。
中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。
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