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パネル調査とは|メリット・デメリット、活用の具体例やアドホック調査との違いも解説
2020.10.07
「パネル調査」はアンケート調査の手法の1つです。
調査対象者を固定して、長期間に継続した調査を実施することで
企業がビジネスで勝つための計画や戦略を立てる上で、マーケティング調査は非常に重要です。
今回は多くの調査の中から「パネル調査」について解説していきます。
パネル調査はアンケート調査の中でも、とても効率的で精度の高い方法であると言われています。
計画や戦略に悩んでいるならば、パネル調査の実施を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
それでは「パネル調査とはどんな調査なのか?」「パネル調査のメリット・デメリット」「パネル調査の活用方法」について解説していきます。
パネル調査とは?
パネル調査とは、調査対象者を固定化(パネル化)し、一定期間繰り返しアンケートをおこなう調査方法です。
パネル調査は時間の経過とともに、データの変化を分析できます。
調査内容によって異なりますが、一回のパネル調査は半年~数年ほど。
消費者に対しておこなうパネル調査を「消費者パネル調査」、調査設計や集計、分析などが1回で完結する単発調査を、「アドホック調査」と呼びます。
長期間実施することで、回答内容の推移を分析することが可能となります。
パネル調査のメリット
パネル調査ならではのメリットを把握しておきましょう。
パネル調査のメリットがわからなければ、わざわざ長期間を要するパネル調査をおこなう必要はありません。
単発調査なら、アドホック調査となります。
パネル調査の大きなメリットは2つです。
- 細かい分析が可能
- 効率よく調査できる
それぞれ、どのようなメリットなのか細かく解説します。
細かい分析が可能
パネル調査は1つの商品に対して、細かいデータを蓄積できます。
- いつ
- どこで
- 誰が
- どれくらいの頻度で
- どの程度の数を購入したか
時間経過に伴う蓄積データを分析すれば、競合に関するデータも把握しやすいです。
なによりも、他の調査ではわからない「時間」軸で分析できるのが大きなメリットでしょう。
長期間の調査によって、「ブランドスイッチする人がどの位いるのか」「ブランドスイッチするタイミングがどんな時か」などのデータもとれます。
効率よく調査できる
パネル調査を実施する際は、事前にどんな層を対象に調査をおこなうのか選定できます。
- 性別
- 職業
- 年齢
- 地域
基本情報が事前に把握できているので、無駄な質問を削った効率の良い調査が可能です。
パネル調査のデメリット
パネル調査の主なデメリットは「長時間の調査」に関連します。
調査自体に長い時間をかけることにより、企業にも調査回答者にも負担がかかってしまいやすいです。
その点から生じる主なデメリットは下記の3つ。
- 回答者の途中離脱が起こりやすい
- 多くの回答者を用意しなければいけない
- 調査に時間と労力がかかる
デメリットではありますが、事前に対策をしておけば特に問題視する必要はありません。
回答者の途中離脱が起こりやすい
パネル調査は、調査回答者の途中離脱が起こりやすいです。
単発型の調査より精度が上がる一方、質問を繰り返すことで調査回答者の負担が大きくなってしまいます。
調査回答者の途中離脱が多くなると結果に偏りが生じ、調査の精度が落ちてしまうでしょう。
ただでさえ時間がかかる調査なので、調査回答者にできるだ労力を与えないよう質問内容を工夫しなければいけません。
多くの回答者を用意しなければいけない
パネル調査をおこなう際は、事前に多くの回答者を用意しなければいけません。
これは、あらかじめ途中離脱者が出ると想定した対策です。
回答者の割付が必要な場合には、割付ごとに調査対象者を多く確保しておきましょう。
本来できるだけ途中離脱者を出さないのが一番良い方法ですが、期間が長くなればなるほど、どうしても途中離脱者は出てしまいます。
調査回答者を集めるときは、できるだけ多く集め、余裕を持っておいた方が良いでしょう。
調査に時間と労力がかかる
パネル調査で精度の高いデータを得るためには、時間も労力もかかります。
パネル調査は、一定期間に繰り返しアンケートをおこなうものです。
短期間では欲しいデータが手に入らない場合があります。
結果が出るまでには時間がかかると理解しておきましょう。
また、長期間であればあるほど途中離脱者が増えやすいので、途中離脱者が増えないようにさまざまな工夫を考えておかなければいけません。
パネル調査とアドホック調査の違い
パネル調査とアドホック調査は似ています。
パネル調査とアドホック調査の違いを理解していない方も多いでしょう。
そこで改めてパネル調査とアドホック調査の違いを解説します。
アドホック調査で得られるデータを、わざわざパネル調査する必要はありません。
もちろんその逆もまた然りです。
今求めているデータを得るためには、パネル調査が良いのかアドホック調査が良いのか検討するために、違いをしっかり把握しておきましょう。
アドホック調査とは?
アドホック調査とは、「調査の設計」「実施」「集計」「分析」などが1回で完結する調査を指す言葉です。
主に新商品のコンセプト調査などで利用されます。
目的に合わせて調査票をカスタマイズできるのが大きなメリット。
しかし、調査のたびに企画から考えなければいけないため、1回あたりのコストが高いです。
さらにアドホック調査は「定量調査」と「定性調査」に分けられます。
定量調査
アドホック調査の「定量調査」は、調査結果が数字でわかる調査です。
YES or NOや選択肢方式の調査が一般的な例として挙げられます。
定量調査のメリットは以下の通りです。
- 調査に費やす時間がかからない
- 調査回答者の労力が少ない
- 多くのデータを短期間で回収できる
インターネット調査や郵送調査などでも、定量調査は利用されています。
パネル調査と比べると、調査にかかる時間が大きく異なり、調査対象者にとっても負担がかかりません。
定性調査
定量調査の結果は「数字」でわかりますが、定性調査は数字ではなく「行動」で結果がわかる調査です。
たとえば、「どのように」や「なぜ」といった行動心理や価値観を把握できます。
定量調査のように気軽に短時間でおこなえる調査ではなく、1対1のインタビューや座談会、グループインタビューでおこなわれる場合が多いです。
ただし定性調査も長期間ではなく、その場だけのアンケートなので、パネル調査と比べれば調査期間は短くなります。
パネル調査とアドホック調査の違い①「期間」
パネル調査とアドホック調査の大きな違いは「期間」です。
パネル調査が長期間かかるのに比べて、アドホック調査は定量調査、定性調査どちらとも期間が短く、調査回答者への負担がかかりません。
その分、パネル調査では長期間の推移のような精度の高いデータがとれます。
アドホック調査は単発なので、推移までのデータはとれません。
目的に応じてパネル調査とアドホック調査を使い分けましょう。
パネル調査とアドホック調査の違い②「調査人数」
パネル調査とアドホック調査、一概にどちらの調査人数が多いとはいえません。
調査内容や目的によって、調査人数は変動します。
しかしどちらかというと、パネル調査の方が多くの人数を確保しなければいけません。
アドホック調査は、単発で気軽に参加しやすいため、調査回答者の確保が比較的容易です。
パネル調査は途中離脱者を想定した調査回答者を確保しなければいけません。
このことから、どちらかというとパネル調査の方が調査人数を必要とする傾向があります。
ただしその分、精度の高いデータを得られるので、どちらの調査方法が良いと甲乙はつけられません。
調査内容や目的に最適な方を調査をおこないましょう。
パネル調査のマーケティング活用方法|3つの具体例
パネル調査をどのように活用するべきか、活用方法を解説します。
せっかくパネル調査を実施しても、調査結果を活用できなければ意味がありませんね。
データの活用方法は主に3つです。
- ①:調査を元に開発計画を立てる
- ②:調査を元に市場を予測
- ③:調査を元に戦略を立てる
活用方法から「どのような時に、どのような企業にパネル調査が必要か」をあなたの企業に当てはめて考えてみましょう。
①:調査を元に開発計画を立てる
長期的に利用する商品を販売する企業は、パネル調査をおこなうことが多いです。
たとえば家電製品を販売する企業は、以下のデータを取得するためにパネル調査をおこなっています。
- 現在使用している家電製品・ブランド
- 買い替えの予定
調査分析の結果から、消費者が買い替えするタイミングやスパンを把握し、新商品開発や発売のタイミングを算出しています。
②:調査を元に市場を予測
パネル調査は市場の動向を予測するのに最適な調査方法と言えます。。
たとえば、自社製品に関して以下のような調査をおこないます。
- 未購入者に対する今後の商品を購入する予定を尋ねる
- 購入者に対して使用状況や買い替え予定を尋ねる
調査結果を分析しすることで、製品のニーズに関する市場動向を予測し、事実に則した販売計画を立てることが可能になります。
③:調査を元に販売・広報などの戦略を立てる
パネル調査は、ブランディングや広報活動など、戦略を練るためにも使える調査です。
たとえば、製品に関して以下のような調査をおこないます。
- 製品についての認知度
- 製品を知った経路
- いつ頃製品を知ったか
一定期間にわたる回答の推移を分析すれば、今後の戦略に役立ちます。
特に新規のブランドを立ち上げたばかりの企業にとっては、貴重なデータです。
パネル調査実施期間中に平行して施策を打てば、施策による反応や効果を測定できます。
反応や効果が把握できることにより、改善点がわかりやすくなるでしょう。
パネル調査の注意点
パネル調査は精度の高い調査を実施できるメリットがある一方で、注意するべきこともあります。
注意点を見落としてしまうと、せっかくのパネル調査が上手くいかない場合があるため、必ず意識するようにしてください。
時間も労力もかかる調査ですから、1回あたりの調査をできるだけ精度の高いものにしなければいけません。
主な注意点は2つです。
- 途中離脱者を出さない工夫を考えなければいけない
- 調査結果がパネルの質によって左右される
注意点を意識しておけば、パネル調査のデメリットのリスクを回避できます。
途中離脱者を出さない工夫を考えなければいけない
パネル調査は、長期的にアンケートをおこなわなければいけません。
そのため、調査回答者の負担が大きく、途中離脱者が出やすいです。
途中離脱者が増えれば、精度の高い調査はできません。
パネル調査を実施する企業は、途中離脱者を出さない工夫が必要です。
途中離脱者を出さないための工夫として、以下のような例が挙げられます。
- 必要以上の質問を削る
- あらかじめ多くの調査回答者を確保しておく
- 謝礼を調査期間終了後にする(途中離脱者には謝礼を渡さない)
より精度の高いパネル調査のためには工夫をこらさなければいけません。
なんの工夫もされていない状態では、途中離脱者が多くなりアンケートの精度は落ちてしまうでしょう。
調査結果がパネルの質によって左右される
調査結果はパネルの質によって左右されます。
有益な情報を得るためには、質の高い回答者を選定しなければいけません。
そのため、パネル調査を専門業者に依頼する際は、コスト部分だけを比較するのではなくパネルの質を重視しましょう。
パネルの質は、業者によって事前にチェックをすることが可能です。
また、調査開始時のスクリーニング(調査対象者の抽出)時にもしっかり対策を打つことが大切。
きちんと設問分を読まなければ回答できないような設問を混ぜ、調査回答者を見極める工夫も入れるようにしましょう。
質の高いパネルとは?
パネル調査の結果は、パネルの質で左右されます。
一般的な質の高いパネルとは、以下のような性質を持った方のことを指します。
- 重複登録をしない
- いい加減な回答をしない
- 虚偽の回答をしない
- 質問内容に関わらず真面目に回答する
質の高いパネルを確保するには、謝礼や商品ではなく「アンケートに協力したい」人材を集めるのが一つの手段です。
そして、アンケートに対してふさわしい属性であることも人材を選定する条件となります。
ただ、すべてを意識しても「悪質な調査回答者を100%排除すること」はできないことも覚えておきましょう。
そのため、専門業者にパネル調査を依頼する際は、以下の部分をチェックしておくべきです。
- 悪質な回答者をどのように排除しているのか
- 悪質な回答者が入り込まないようにどのような対策をしているのか
それぞれ専門業者へ依頼する前に確認しておきましょう。
パネル調査を活用すれば強いマーケティング戦略を練れる
消費者の動向を細かく分析した戦略を練るなら、パネル調査を活用しましょう。
時間や労力がかかる分、他の調査と比べると、精度の高い分析データが得られます。
ただし、どんな調査においてもパネル調査が効果的なわけではありません。
パネル調査は主に、今後の戦略や計画を立てるために効果的です。
パネル調査で得られるデータやメリットを理解して、パネル戦略を上手く活用していきましょう。
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株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。
中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。
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