一発勝負の時点で「集客」は負け

 

 

*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
高橋龍征氏との共同でセミナー企画・集客のご相談を受け付けています。
是非お気軽にお問い合わせください。

 

「どうすれば集客できますか」

イベント企画の話をすると必ず聞かれるのがこの質問です。

これに対する私の本音は以下のようなものです。

1)企画が刺されば集客不要
2)手数をかければ人は集まる
3)お金をかければ人は集まる
4)集客が目的化している時点で多分失敗

もちろん、SNS広告の打ち方や、バズりやすい発信の仕方など、言われれば誰でも実行できることはあります。

しかし、成果に結びつくには前提条件、運、スキルなど変動要素が大きく、今集客に悩んでいるという人には役に立たないでしょう。

 

企画が刺されば、何もせず人が集まる

 

「起業のダークサイド」という企画は、ある回はfacebookだけで6万以上のリーチがあり、いいね!などは2,000を超え、200人以上が参加しました。

イベントを立ててシェアしただけで、特別な拡散もしていなければ、広告も打っていません。

一方で、知恵を絞って企画し、案内を練りに練り、自信をもって公開したものが、全く泣かず飛ばずだったこともありました。

こうなると、無料招待をばら撒いても広告を打っても個別勧誘しても、人は来ません。

引きのないものを無理に集客して人を集めようとしても、人が劇的に増えることはありません。

無理に呼んでも、満足してくれないでしょう。企画を練り直してから同じ人を呼んだ方がいいです。

 

刺さる企画は狙って立てられない

 

プライベートも含めれば700本以上のイベントやセミナーを実施していますが、狙って刺さる企画を作れるようにはなりません。

「ダークサイド」も、後講釈で色々な理由はつけられますが、実際は入念に調査したわけではなく、企画を練りに練ったわけでもありません。

年間100本企画すると宣言して自分を追い込んだ際、知り合いと馬鹿話をしていて、その話を元にノリで企画しただけです。

 

集客に影響する要素

 

分解してみると以下のようになります。

 

1)企画:素材の魅力度x切り口
2)打ち出し:ターゲットの解像度xフックの強さ
3)リーチ:関係性の蓄積(質・量)x拡散力

 

どれも、洞察、才覚、経験、蓄積、運のいずれかが必要です。

あるいは、お金で解決することもできます。

・引きの強い登壇者をアサインする
・プランナーに刺さる企画と打ち出しを作ってもらう
・ターゲットリストを持つところに発信してもらう
・記事やLPを制作してもらう
・広告を制作し、打ち、運用してもらう
・拡散する発信を多発してもらう作る
・インフルエンサーに拡散してもらう

とはいえこれらも確実ではないし、あくまで「頭数を集める」だけです。

・最終目的達成に繋がるか
・投資対効果が見合うか
・持続可能か

という点で効果が見込めないことが大半だと思います。

唯一確実に誰でも効果を出せるのは、手数をかけて個別に勧誘する「地上戦」です。

 

単なるシェアやbccで不特定多数に送らたメールより、自分宛に、自分の関心に合わせた提案の入ったメールやメッセージに反応するのは、誰でも実体験があるでしょう。

しかし、波及力はありませんし、毎回続けると負荷が高く心が折れます。

いつまでも地上戦に頼らず、人が集まる仕組みを構築しなければなりません。

 

誰でもできる備えは「小さな実験を重ねる」こと

 

特別なスキルがなくても刺さる企画を作る唯一の方法は「効果が見込めるまで、手を替え品を替え企画して打ち出し、洞察と改善を重ねる」ことです。

 

続けることは色々な問題を解決します。

・生の参加者と接することで、ペルソナや課題の解像度が上がる
・相手に響く言葉や参加を決めたポイントがわかる
・関係構築でき、満足してくれた人が拡散や勧誘に協力してくれる
・最初のファンとなり、提案をくれたり、手伝ってくれる

プランニングやクリエイティブの専門家に依頼するにしても、依頼者がターゲットやその課題を深く理解し、実際の参加者のリストやアンケートなどによる生声があれば、手探りや妄想ではなく事実に基づいて企画を作れるので、成功確率も上がるでしょう。

 

集客の目的化を防ぐ期待値調整にも役立つ

 

そもそも不毛な一発勝負に陥るのは、イベントやコミュニティを通じた目的達成プロセスを理解していない上司や関係者からの「とにかく頭数を集めろ」という目標設定です。

この期待値のズレを修正しなければなりません。

イベントには目的と目標達成に至るシナリオがあります。

・どんな人に
・どんな動機で
・どれくらい来てもらい
・どれくらいの確率で
・どんな次のアクションに繋げ
・将来的に何を達成したいか

これらを明確にしないと、成否の判断ができません。

 

人間はウィルスではなく、個性や感情のある生き物なので、「人数xコンバージョン」のような確率論で考えても効果は出ません。

このメカニズムを、関係者に理解してもらい、適切な目標設定と成功イメージを共有しないと「賑やかに人を集めよ」となります。

 

「実験」により判断材料となる事実を集める

 

実験イベントを重ねておけば、参加者の属性を見て、自分たちのターゲット層がどれくらいいるか、その参加理由は何かなどが事実として把握できます。

参加した後の反応やコメント、期待する次のアクションへのコンバージョンや、そうした理由、しない理由も分かるかもしれません。

こうした材料があれば、単に頭数を追うために著名な講師を無駄に並べ、得点を配り、冷やかしの客ばかり集めることが、投資対効果に見合わないということを、事実を根拠に納得してもらえるかもしれません。

 

普段から実験を重ねておく

 

集客をしなければならない状況は、おそらく突然来る訳ではありません。

いつかは来るその状況を見越して、普段から実験を重ねておけばいいでしょう。

その実験は、基本的は顧客の理解や課題解決の具体化であり、相手に伝わる要素の洗い出しで、事業そのもののためです。

もし本当に突然だったとしても、言われてから本番までの間に、お金や手数をかけずに、短期間で高頻度で実験を重ね、成功確率を上げていくことはできます。

 

とにかく、軽いものから

 

イベントというときちんとしたものと考えてしまい、二の足を踏んだり時間をかけたりしてしまいがちです。

しかし、実験を高頻度で継続するには、とにかく気軽なものがいいと思います。

極論すれば以下の要素を不要としたものです。

 

予算:経費は使わない
人手:自分1人でもできる
調整:他部門の確認不要
専門性:誰でもできる方法でやる
時間:準備や集客の時間をかけない

 

ラフな企画でも、実際のターゲットに当て生の反応を見て次の実験に反映させていく方が、提供側が机上で議論を重ねるより、刺さるものが早くできます。

オンライン化したことで、これまでの対面のものより負荷が圧倒的に低なります。普通の人が気軽にオンライン参加するようになった今、軽い実験を重ねる方法の有用性が高まっていると考えます。

良ければ試してみてください。

 

 

◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki

conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授

大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、事業創造支援家として独立。インキュベーター立ち上げや欧州企業の日本進出を支援後、スタートアップ共同創業(取締役COO)を行う。

早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」プロデューサー就任を機に、事業開発や人材育成のためのセミナーづくりを本業とし、大学、企業、メディアからの受託や自身主催で、年間200件の企画を実現するようになる。

2020年、conecuri合同会社を設立。マーケティングセミナーの企画、社会人向け講座や企業研修の開発、それらを通じた事業創造を支援している。

新型コロナを機に、セミナーを一気にオンラインにシフトさせ、その知見を『オンライン・セミナーのうまいやりかた』として出版した。

また、13年以上複数のコミュニティ運営に携わる実践家として、大手企業や学校のコミュニティづくりも支援している。

早稲田大学 第一文学部 哲学科 東洋哲学専修 卒業 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科 修了 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム 修了 JVCA ベンチャーキャピタリスト研修 修了

 

◆著者プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

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