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コミュニティマーケティング:運営チームのつくり方
2020.11.15
*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
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良いコミュニティは一人では運営できません。しかし、チームを作るのは難しいものです。動かない人、方向性が違う人、後から入って来た人の方がいいパフォーマンスをするなど、徐々に齟齬が生じるからです。
あれこれ考えると、これから始める人には色々迷いも出るでしょう。私がこれまで経験したいくつかのコミュニティの立ち上げのパターンを整理してみます。
どれが優れているというより、自分の状況にどれが当てはまるかなので、その検討の参考になればと思います。
コミュニティパターン (先・後)×(固定・柔軟)x(公募・私募)
パターンとしては上記の2軸となるでしょう。
【先】先にチームを作って始める
【後】一人で始めてからチームを固める
【固定】メンバーを一定期間変えない
【柔軟】メンバーは不定期に入れ替える
【先x固定】は、最初からチームを決めてから始めるパターンです。
【先x柔軟】は、最初にチームを作るものの、やりながらお互い見極め、柔軟に入れ替えるパターン。
【後x固定】は、まずは一人で始め、特定のタイミングで運営チームを発足させ、一定期間はメンバーを変えないことです。
【後x柔軟】は、一人で始めて徐々に運営メンバーを足したり変えたりすることです。
また、集め方も公募するのか、スカウトや紹介といった私募で集めるのかでも異なります。
それぞれ当然ながら、成立の前提や一長一短があります。
コミュニティパターン【先・固定】
先に運営メンバーを決め、一定期間変えずにやるためには、入り口の時点で強いコミットメントが必要です。私が早稲田出身ベンチャー経営者OB会の事務局をやった時がこのパターンでした。
幹事を務めるある上場会社の創業経営者の方がfacebookで公募し、応募してきた人々をまずは「書類選考」し、更に面接を経て5人が選ばれました。
その5人は皆初対面で、相互の信頼関係や、どれくらいその場にコミットするか分からないというリスクはありましたが、選考を通してで人物や本気度を見極め、またそのような「やらないとまずい」状況に置き、やらざるを得なくなるすることで、そこをクリアしたのだと考えます。
コミュニティパターン【先・柔軟】
先にチームは作るものの、柔軟に変えていくパターンもあります。
一人で始めるとどうしても工数の面でも能力の面でもやれることが限られますし、気持ちも折れがちです。結果、立ち上がりが悪く、成長や活性化ができない状況に陥ります。
なので先に一緒にやる仲間を作ってから始めるのです。しかし現実には、必ずしも全員が同じ熱量で動いてくれるわけでもないですし、スキルのレベルや補完関係もちぐはぐだったりします。それでも、仲間がいないよりいる方がマシということで、何がどうなるか分からない立ち上がりの状況で奇特にも付き合ってくれる人と始めるという、現実的な割り切りです。
活動をいい形で継続していると、やがて「私も手伝いたい」という人も出てくることでしょう。最初に手を挙げた人は、とりあえず手を挙げただけの人かもしれませんが、活動を見て手を挙げた人は、中身を知った上でのことなので、一般的な比較では、上手く合う可能性が高いです。メンバー間の公平性の観点からも、何もしない運営メンバーを形だけ残しておくと、モラルが低下するので、何かのタイミングで入れ替えをせざるを得ません。そのような含みを持たせるのが「柔軟」な体制です。
どのようなタイミングで何の理由で入れ替えるかは配慮が必要です。運営から外れることをネガティブなものと捉えられるのは、関係を絶ってしまうことになってしまうので得策ではありません。
そもそも運営とメンバーに上下あるべくもなく、それは単なる役割の違いとう認識を徹底しないと、変な序列が発生し、組織の雰囲気が悪くなります。気を緩めるとそういう偉ぶりたい「古参」が増えるので、主催者は注意が必要です。単に古いだけで大きな顔をしようとする人間はむしろコミュニティに害をなすので、明示的に禁止しなければなりません。
加入期間の長短ではなく、場への価値貢献の多寡に応じて公平に遇するのが基本であり、公平といってもそれは偉い偉くないではありません。むしろ時々来る人、少ししか活動できない人の声を拾わなければなりません。
コミュニティパターン【後・固定】
最初は小さく始めながら、どこかのタイミングで運営体制を固めるパターンです。固めるまでは発掘と見極めを行います。活動を始め接点が増えれば「これは」と思う人も出てくるでしょう。そういう人に声をかけて、まずはちょっとした役割から入ってもらい、その動きを見て、能力や考え方が合うかを見極めます。
コミュニティの基本は「相思相愛」ですから、相手にとってもこの場が自分の労力を使うに値する何かが得られる場か、自分に合うかの見極めができるでしょう。時間を使うという「投資」をすることや、人間関係が出来上がることでコミットメントも自然に高まります。
そうして見極めたからこそ、あまり中途半端に入れ替えをせず、一定期間やりきるということが可能になります。
とはいえそれもいつも上手くいく訳ではありません。見極めたはずなのに、いざ責任ある立場につけてみると思ったような役割を果たしてはくれないとか、状況が変わってしまったとか、そんなこともよくあることです。
なので、完全に一任するのではなく、何かしらの基準を設け、場への価値貢献が期待したものに満たない場合は、誰が見ても納得ずくで立場を交代できるようにする方がいいでしょう。ただしそれも基本的にはネガティブなこととはしないほうがいいとは思います。
コミュニティパターン【後・柔軟】
一人で始めて徐々に運営メンバーを引き込んでいくパターンです。いい人がいた時だけ追加するので合理的な面もありますが、いまいちズルズルしがちなデメリットもあります。
慎重な人にはこの方法がしっくりくるとは思いますが、コミュニティは会社の雇用契約ではなく「辞める」ことのハードルは低いので、最初にちょっとくらいぶち上げてもいい気もします。
コミュニティマーケティング:公募か、スカウトや紹介か
facebookで「ゆる募」で集めると、思いがけない多様な、あるいはハイスキルな逸材が手を上げてくれるかもしれないメリットがあります。一方で、既存の信頼関係がなく、人となりも見極める期間が必要なので、ちょっと立ち上がりは大変かもしれません。折角手を上げてくれた人々を「選ぶ」のも申し訳ない気もします。
先・固定のパターンを公募で集めるには、きちんと選考の上、それなりの「踏み絵」を踏ませないと、あとで上手くまわらず、固定であるが故に簡単に人を入れ替えもできず、大変な思いをするかもしれません。
スカウトは実際の動きや人となりを見て自ら声をかけるものなので確度は高いでしょう。しかし、自分が直接接点を持てる人には限りがあります。見る目が確かではない可能性もあります。
然るべき人からの紹介であれば、その辺のスクリーニングもできており、また、その人のつながりによる広がりも活用できます。
一方で、なまじ自分からお願いしている手前、ちょっと立場が弱くなるかもしれませんし、紹介者の顔を潰すわけにいかないという心理も働くかもしれません。
コミュニティマーケティング:自分の性格やアセット、状況に依存する
色々なパターンがありますが、どれが絶対的な正解という訳ではありません。人に是々非々で話せる人もいればそうでない人もいます。ゆる募を気兼ねなくできる人もいれば慎重な人もいます。幅広く強い人のつながりが蓄積されている人もいれば、そうでない人もいるでしょう。人の巡り合わせもあります。コミュニティの性質にもよります。
そんな理由で、結果として私も様々なパターンでコミュニティ立ち上げることになりました。意図的な部分もあれば、偶然を機会として捉えることもあります。
そういう訳で、これから立ち上げるみなさんも自分にあるものや外的環境を考えつつ、そこそこノリでやってみればいいのではないでしょうか。
皆様が良い場を作ることを、また、場づくりに一歩踏み出し、成功する人が増えることを祈念しております。
参考:オンラインコミュニティの実験場
完全にオンラインで立ち上げ、オンラインで運営メンバーを集めた実験場です。これから本格的に運営メンバーを募集する予定なので、ご興味あればフォローしておいてください。
参考:筆者の自著
色々考えながら実践してきた場づくりのを方法論を本にまとめたものがこちらです。
”オンラインセミナーのうまいやり方””
◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki
conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
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◆代表プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。
中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。