リサーチ
コミュニティ立ち上げを考える企業が陥りがちな「落ち葉」現象
2021.02.24
*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
高橋龍征氏との共同でセミナー企画・集客のご相談を受け付けています。
是非お気軽にお問い合わせください。
「コミュニティを作ろうと思っている」という企業の方と話すと「落ち葉の価値に気づいていないな」と思うことがあります。
何年か前に地方創生のアイデアビジネスとして注目を浴びた「山に落ちている葉っぱを高級料亭に売る」事業。
その裏を返した「他の人にとって実は貴重なリソースが、当人達にとっては当たり前すぎて価値に全く気づいていない」という現象です。
場所、顧客、プロダクト、連絡先・認知…
いずれも、名も無き個人やスタートアップが新しく場を作ろうとする時不足するものです。
場末のオンボロだろうが自由度高く使える場があれば、集まりをやる工数・費用・精神の負荷が減ります。
既に会社と取引ある相手なら、まずはほぼ無条件に信用してもらえます。
プロダクトがあれば、集まる口実が容易に作れます。
登録された連絡先、フォローしてもらっている、知られているなど、それだけでも案内に対する返信率・参加率が上がります。
もちろん、過去がある分、面倒なしがらみがあるかもしれません。
それでもなお、どこの馬の骨とも分からない「会」が、よく分からない「口実」で、誰がいるかも分からない集まりを、これから始めると言われるよりは、差し引き考えても、明らかにマシでしょう。
価値に気づくには
さて、馬の骨の人々からは垂涎の的ともいえるこれらの価値に、当人たちが気づかないのはなぜでしょう。
それは、山村の落葉のように、あまりにも当たり前であることと、それに価値を見出す人との接点が乏しいからでしょう。
裏を返せば、外の人と接すれば、自分たちの持つ何が、どのような具体的価値を持つか、聞かずとも教えて貰えるでしょう。
茶飲み話に留まらず、相互補完的する具体的取り組みまで踏み込めると、具体的なかみ合わせが分かるでしょう。
「信用」が最大の資産
注意が必要なのは、相手にとって価値があるからと安易に使うと、過去から積み上げた信用という資産を一瞬で失う危険性があるということです。
場所を提供した主催者が、預かり知らないところで胡散臭いイベントをしたら、事情を知らない人の中には、同じ穴のムジナと思う人もいるでしょう。
オープンさと用心深さのバランスも重要です。
まずは気軽な企画から
初めて一緒に何かする相手なら、最善はその相手を知る別の人から評判を聞くことです。
かといって、恐れて何もしなければ何も進みません。ガードが固すぎると、逆効果のこともあります。
失敗してもダメージの大きくない企画から始めるといいでしょう。
◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki
conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、事業創造支援家として独立。インキュベーター立ち上げや欧州企業の日本進出を支援後、スタートアップ共同創業(取締役COO)を行う。
早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」プロデューサー就任を機に、事業開発や人材育成のためのセミナーづくりを本業とし、大学、企業、メディアからの受託や自身主催で、年間200件の企画を実現するようになる。
2020年、conecuri合同会社を設立。マーケティングセミナーの企画、社会人向け講座や企業研修の開発、それらを通じた事業創造を支援している。
新型コロナを機に、セミナーを一気にオンラインにシフトさせ、その知見を『オンライン・セミナーのうまいやりかた』として出版した。
また、13年以上複数のコミュニティ運営に携わる実践家として、大手企業や学校のコミュニティづくりも支援している。
早稲田大学 第一文学部 哲学科 東洋哲学専修 卒業 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科 修了 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム 修了 JVCA ベンチャーキャピタリスト研修 修了
◆著者プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。