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BtoB営業の今の課題と乗り越え方 法人営業デジタル化協会設立者インタビュー
2020.08.11
ポストコロナ時代の営業など、BtoBマーケティングはどのように進めればいいのか?
新型コロナウイルス感染拡大で、展示会やセミナーなどのイベント集客が不可能になり、対面営業も実施しにくくなりました。
緊急事態宣言が解除されたとしても、法人営業など営業活動のさらなるデジタル化(オンライン化)は避けられないと予想されています。
私達の周りでも、非常にお困りの声が多く、それに応えるために一般社団法人 法人営業デジタル化協会の五十嵐様にインタビューしました!
インタビューアーは 株式会社まーけっち山中思温と 株式会社ワンチーム 谷田 脩一郎さんです。
(インタビューの様子の動画を マーケティングのダークサイドチャンネル でも公開予定です。)
法人営業でも競争から“共創”を実現
五十嵐 政貴様 プロフィール
ベンチャー企業時、HRテック関連サービスの新規事業立ち上げとグロースを経験。
人事・HR業務経験を活かし、フリーランスへ転身。構想段階にあった「Tonashiba」の理念に共感し、業務委託契約で「Tonashiba」の事業化に参画。さまざまな企業とのリレーション、高いプレゼンテーション能力を活かして「Tonashiba」を広めるエバンジェリスト的ポジションで活躍。
・ウェビナー参加はマーケは家で、営業は会社で
ー法人営業デジタル化協会はいつごろから活動されているのですか?
五十嵐「2019年の12月に立ち上げたのですが、なかなか身動きが取れずにいて。正式に設立したのは2020年5月となります。
ー新型コロナウイルスの影響もあって、営業をどうデジタル化するか、皆さん悩まれていたタイミングでした。
五十嵐「この状況にすごく後押しされているんです。デジタル化=DXしなきゃいけないねって、みんな考えるようになりましたから。元々、セールスデジタル化=SDXっていう言葉を、法人営業デジタル化協会で広げたいという動きがあったんです。」
ーどのような活動をされているのでしょうか?
五十嵐「基本的には、教育です。新型コロナウイルスの流行があってから、成功パターンが崩れてしまって、何が正解か分からなくなっています。この状況を打開するには何から始めたら良いか?という事を含めて、うまくいっている事例、うまくいっていない事例のパターンを、みんなで“共創”するんです。今までは、“競争”でしたけれどね。
興味を持ってくれた企業とコラボレーションして、ウェビナーをやって、リアルタイムでアンケートを取りながら話した事があるのですが…。面白い事例としては、マーケティング部を集めたセミナーの時、『どこで聞いていますか?』と聞いたら、7~8割が家だったんです。営業部を集めたセミナーのときは、もちろんその逆で、出社してオンラインで聞いている人がほとんどでした。
経営者の思いと現場の声、ギャップ埋める難しさ
・サイズ感による営業の失敗
ーこれまでされてきた営業の中で、失敗したエピソードはありますか?
五十嵐「法人営業ってサイズ感があるんです。個人商店規模と中小企業、そして大企業。失敗談と言うよりは、大企業の意思決定の遅さに苛立つ事はありました。」
・大企業の意思決定の遅さ
ー担当者が「やる」と言ったのになかなか実現されない、という事ですか?
五十嵐「中小・零細企業みたいに、ユニットが小さい会社に営業に行くときは、提案してすぐ意思決定してもらえる場合が多いです。大企業だと、レスポンスが返ってくるのに時間がかかって、想定どおりに行かない。失敗とまではいかないんだけど、どうしても苦手に思えてしまいます。
・現場サイドのNOという意思決定
ー一番落ち込んだ出来事は?
五十嵐「社長が『やる』と言っているのに、現場のNOが多すぎて一転、成約に至らなかった事です。でもその会社、良い会社だと思うんです、トップダウンだけで進めないところが。結局、スタッフの賛同が得られないと、社長自らはできない事ですし。
ただ、現場のスタッフがNOを言えるのは健全かもしれないけれども、社長がどういう思いで導入したいのか、どういう思いで買いたいのか、現場がそこまで汲み取ってNOを言っているのなら…良いのですが。営業する側としては、現場にも良いと思って提案しているはずです。それを社長も理解してくれて、社内に聞いているのに、それが伝わらないっていうのは、心が揺れますね。」
ー何が要因でそのような事が起こると思いますか?
五十嵐「結局、またタスクが増えてしまうと思われるからでしょう。変化するという事は、それなりに現場に負担がかかってしまいますから。」
これから必要な法人営業の視点とは?
・売りたいものを売るよりも、顧客の課題解決が第一
ー五十嵐さんは、これまで何社分くらい営業をされましたか?
五十嵐「何社分っていうのは、数えた事がありません。
メインの商材は決めていますが、あくまでお客さんの課題を解決するのが仕事ですので。
例えば自分の売りたいものが、お客さんにとっては時期尚早だったとする。これは今のタイミングじゃないな、と感じたら、また別の提案をします。
『このお客さんの会社に必要なものってなんだろう?』って考えたものを紹介したり、売ったりするので、出せるものは全部出しますよ。」
ー自社の案件だけでなく、お客さんによっては他社の商材も紹介するスタンスで営業されている、という事ですか?
五十嵐「はい、全然紹介します。引き出しを持っていた方が、会社としての繋がりも深くなりますし、そこを入り口にして人事に訴求する、という方法もありだと思っています。」
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ウィズコロナ時代におけるBtoBセールスの課題
・DXを必要とする営業マンにリーチしづらい現状
ー対法人営業をしている人たちや業界に対して、俯瞰的に、もっとこうした方が良いと思う事はありますか?
五十嵐「それはもちろん、“法人営業デジタル化”です(笑)!」
ー(笑)そうですね!
五十嵐「僕らは、WEB完結しないような営業マンに、ウェビナーへ参加してもらいたいんです。
でも、そういう人たちをどうやって集めようかって考えたとき、WEB上にいない。出社しても電話をかけられず、ルートセールスの先も予算が凍結していて、モノが売れなくて困っていて…そういう営業マンに、『DXってどうやるんだ?』っていう示唆を与えるようなウェビナーを開催しようとしているんです。
だけど、ターゲットがどこにいるのか?と考えると、大体展示会なんですよね。DX化できなくて困っている人が、DXの土壌にいない。これが今の構造的な問題、ジレンマですね。
・中小企業へのFAX営業が好反応、意外な背景
ー僕も商社の営業をしていましたが、WEBを使っての営業なんて考えられませんでした。今でも、デジタル化するイメージが湧きません。
五十嵐「だから最近は、FAX営業が増えてきているんです。」
ーへぇ~!それは今だからこそですか?それとも最近の傾向なのでしょうか?
五十嵐「普段会社にいないから、届いたものはちゃんと見るっていうのと、最近ではFAXが届くなんて珍しいから、興味を持って応募してくるんです。
FAXなんて90年代くらいの事に思うけれど、そういう手法が効いているっていうデータもあると、理事のセミナーで言っていました。そして、獲得単価がWEBより安い。」
ー1件あたり何円くらいなんですか?
五十嵐「セミナー関係の集客では、WEBでは2万円を超えていたCPAが、FAXだと1社7千円くらいです。」
・マーケティングと営業の境界線
ー営業をデジタル化すると、結局マーケティングになってしまうのでは?
五十嵐「営業ってどこまでが営業なの?っていう話ですよね。こ
れってちょっと深くて。マーケティングしていて勝手に売れていたら、営業はどこに必要なのか?と言われると、僕、そこにはこだわっていないんです。
日本人だけどフランス語とドイツ語を喋れたら、それだけ可能性やチャンスが広がるんです。
営業マンでもエンジニアの言葉を喋ったり、マーケティングの脳味噌を持っていたり、その方が会社としての底力も上がります。営業に数字だけ追わせるのではなくて、もうちょっと組織の中で意欲的に動ける営業マンを育てていった方が、デジタル化は進むのかな、と思います。」
ー今まで選択肢としてきた手法以外のオプションを知っておかないと、営業も戦略の幅が広がらないし、
マーケティング部署との紐付けがうまくいかないっていう事ですね。
五十嵐「マーケティング部から飛んできたSQLに対して、営業が『売れないじゃないか』って文句を言ったりとか…それは連携ができていないですね。
マーケティング部と営業部の間にパイプラインを作って、シナリオ設計に営業マンが参加する。そうして取ったアポイントで、納得してもらってクロージングっていう方が、気持ち良いじゃないですか。
そういう流れが作れたら良いんじゃないかな。」
機械との分業、DXの先にある営業の未来
ー近年は、営業やマーケティングの肩書きも職能も、どんどん細分化されていったイメージがあります。デジタル化が進むと、さらに細分化されるのでしょうか?それとも、逆にまとまってくるのでしょうか?
五十嵐「仕事は減っているから、まとまっていくと思います。細かくするという分業のモデルも結局は海の向こうの話なんです。労働力が多いっていうところと、どれだけ売り上げを上げるかっていう文脈から来ていると思うんです。元々日本は人口も少なくて、かつ、器用な人が多いから、まかなえる。フロントを人間にした後の細分化は、機械がやってくれても良いと思いますね。逆転して、AIが細かく情報を取得してくれて、人に細かな仕事をを振る方法もあると思います。」
ー五十嵐さんとしては、今後の営業はどうなるのが理想的ですか?
法人営業の効率化を阻むデジタル老害
五十嵐「マーケットや売っている商材にもよりますが…一番良いのは、もちろん人の良さを活かす事。そして、人ができないところを機械に補ってもらって、機械ができないところを人が補う。こういう、機械と人の分業が実現できたら理想です。デジタル化が進まないのは、機械が苦手な人が多いっていう背景もあります。
法人営業デジタル化協会では、デジタル老害っていう言葉を流行らせようと思っています(笑)。
何でこんな事(デジタル化)しなきゃいけないの、面倒臭いよって盲目的に切り捨てると、結局組織としてやっていきたい事ができなくなってしまう。これが老害というか、ジレンマの一つです。
ー流行りそうですね(笑)。
僕もずっと営業をしてきて、SSAとかCRMとか、真面目に入力しますかって言われたら、「めんどくさ!」という気持ちは正直あります。
五十嵐「これが素直な反応だと思うんです、営業マンにとっては。僕からすると、その『めんどくさ!』がビジネスになるんです。営業が感じている面倒臭さを減らしていけるようなテクノロジーが、これから生きてくるはずです。」
ーコロナの影響を受けて、営業のデジタル化に対して市場感がポジティブに変わったと思いますか?
五十嵐「外部環境はだいぶ変わったと思います。先行きがわからないから、今どう投資するかは、かなり慎重になっていると感じます。安易にモノを買わなくなったり、前以上の投資をしなくなったり…。それを打開するためには、既存のアプローチを掘り起こして、分析すれば良い。でもDXできてなかったら、そのデータがない。じゃあ新規を追い求めよう、としても、新規もなかなか獲得できない。もう、どうやって営業すれば良いかわからないという、閉塞感に苛まれる人たちがいるのが現状です。
ー五十嵐さん、本日はありがとうございました。
オフトーク デジタル老害と戦うために笑
五十嵐「デジタル老害って絶対流行るんですよ。そもそも電車通勤している人なんて、今の時代、もうデジタル老害だと思うんです(笑)。DXを推進している身で、満員電車に乗って、思いました。ちょっとでもそこにいる人たちの会社がデジタル化を進めていて、テレワークを推奨していれば、わざわざ会社に行かなくても良いじゃないですか。産業によってはそれもできないかもしれないけど…だから、老害もいるんだろうなと。」
ー東京の自粛期間が終わった時に、駅が混むのを見て、人の動きってすぐ戻っちゃうんだなと感じました。1~2ヶ月だけだと、人の行動って変わらないんですね。
五十嵐「そうですね。だから、あまり推奨されない言い方ですけど、もっと自粛していればよかったんじゃないかな。そうしたら強制的に、どうしたら良いのかってみんな頭を働かせるし、そこからアイデアが生まれたかもしれない。短かすぎる間で解除されちゃったから、行動を元に戻してしまった。これでは変革・変態しないよね。」
ー確かに。その辺、アメリカみたいに国土が広いと、営業もデジタル化せざるを得なくなりますよね。だから前衛的に進んでいる。
五十嵐「それはありますね。進んでいる、進んでいないではなくて、その国の環境に応じて合っているやり方というのはあります。ただ、もうわざわざ会いにいく必要はなくなったじゃないですか。ちょっとしたミーティングがあったとして、オンラインでもオフラインでも、どちらでも良いですよっていう選択肢ができた。にも関わらず、『来てよ!会おうよ!』となると、デジタル老害になる(笑)。」
ー結構いますよね、「できればお越し頂きたいです!」っていう人。
五十嵐「コロナに適応して、会わなくても大丈夫っていう精神になっていると思うんですよね。ただ、やっぱり会うのが最高だって思う人たちもいて、昔に戻ろうとしている。」
ー法人営業デジタル化協会の活動は、ナレッジのシェアがメインなのですか?
五十嵐「ナレッジのシェアもそうですし、会議の場でできたデータや、取り上げた議題をレポートにして配信します。皆さんのお役に立てるように加工して、配れれば良いなという形なんです。広く役に立つような研究を、企業間を跨いでここでやってもらえると、意味ある事になるのではないかと思います。イノベーションは身内だけではできないんですよ。アイデアや示唆は遠くから来るものなので、企業間を跨いでやるのは結構重要です。」
ーそこに参加している企業さんを取材してみたいですね。マーケティングとセールスの複合に対して、課題感を持っている。とても良いテーマだと思う。
五十嵐「WEBからの問い合わせに頼らざるを得なくなってしまったから、結局展示会なんかもなくなってきていますしね。WEBからの集客を頑張って予算を通しても、会えないし、先方の予算が凍結している。だから、リード数は増えているのに、売り上げが減っているという事象にどう対処すれば良いのか、というところ。顧客のスクリーニングやリードクオリケーションにもっと注力したらこうなった、みたいな事例があると、シナリオの軸ができて良いですね。」
ーリードがあって電話番号があっても、全く通じないから、僕たちは諦めるしかないですもんね。
五十嵐「そう。だからWEBでやるときには、携帯の番号を聞いて、携帯でつながれるようにしておかないとね。」
ー個人情報の取得の仕方も変わりましたよね、名刺交換というカルチャーが一気に断絶しましたから。問い合わせフォームから来てもらった方が、ログが残りますから、マーケターとしてもセールスとしても使いやすいですよね。
五十嵐「そう、そういうところが、マーケティングはデータ化が進んでいると思う。名刺なんて一回印刷して、またデータにするよね。意味あるのかな。」
ー確かにそうですね。外注でデータ化したら、またデータ化にお金かかりますからね。
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私達、株式会社まーけっちは、事業の成功に根差した、リサーチ・マーケティング支援を追及しています。
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◆代表プロフィール
株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温
マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。
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