UX改善  解くべき課題(離脱要因)を検証するには(1/3)

UXリサーチとは?

UXとは、商品サービスによってユーザーが得た体験や感情のことです。ECでは購入した商品だけではなく、購入する際の見やすさ、使いやすさ、それによって得られる感情を表しています。

アプリでは、77%のユーザーがアプリをダウンロードしてからの3日以内に使わなくなるといわれています。
今回、ユーザー離脱を大きく下げるためのUX改善ポイントや欠かせない視点について解説します。

適切なプッシュ通知とアプリ内メッセージで、ユーザーの離脱率を改善

こんにちは、株式会社まーけっちの代表の山中と申します。

「アンとケイト」というアンケートモニターサイトを10年以上運営しておりました。
若年層のスマホシフトなどにより、若年層に特化したiOSアプリ『ポケットアンとケイト』(通称:ポケアン)をリリースしました。
2019年1月現在、若年層を中心に大変支持されており、App Storeでのライフカテゴリランキング1位獲得、「アンケート」「副業」「ポイント」などの主要ワードはリリース以来、おかげさまで首位を継続しております。
ですがユーザーの離脱要因の特定方法が実際に起きていた要因と異なっており、ニーズに噛み合わない施策を打ってしまうなど定着率がなかなか上がらない時期もありました。
今回はそんな離脱要因をより正確に分析する方法と解くべき課題の優先順位付けの方法についてお話しします。

 

課題 施策を打っても改善効果が上がらない

アプリではユーザーの離脱を減らすこと(=定着率UP)が重要ですが、どうして離脱しているのかを検証するのは難しく、なんとなく重要性はわかっていても、後回しにしがちなんですよね。

ここだけの話、お恥ずかしながら、私たちも、最初は離脱要因の特定方法が誤ったまま施策を打っていました。
意識調査は、聞きやすいユーザー=アプリを継続的に利用しているユーザーに聞くのみで終わってしまっていたんですよね。

今考えると当たり前ですが、真の課題が把握てきていなければ、適切な施策の洗い出しや選定はできません。
そもそも、解くべき課題の設定ができていなかったのです。

そんな失敗を絶対に避けてほしい!ということで、今回は、改善の施策を検討するうえでもっとも重要ともいえる、「聞くべきユーザーの絞込み」とそのユーザーの「課題の仮説検証」の事例をご紹介します。

1 調査すべき対象ユーザー

まず、ユーザーの課題、離脱要因は3つのセグメントで異なる場合があるので、それぞれ下記のように明確にし、分けて考える必要があります。

1.定着ユーザー   2.すぐ離脱ユーザー   3.利用後に離脱ユーザー

また、定着・離脱の定義は自社のKPI・ユーザーアクションを考慮して決める必要があります。アンとケイトの場合は下記の定義としました。(※対象者は1~2か月前にダウンロードしたユーザー)

アンとケイトのユーザーセグメントと定着・離脱の定義

ユーザーセグメント 定着・離脱の定義
1.定着ユーザー 現在も目標アクションを実施
2.すぐ離脱ユーザー ダウンロード2日目以降アクションなし(※初日だけ利用)
3.利用後に離脱ユーザー ダウンロード後、3日目まではアクションあり、その後アクションなし(※DL後3日までは利用したにもかかわらず、その後離脱)

まずは、ポケアンのユーザーに対してWebアンケートを実施したところ、利用状況については次のような結果になりました。

半数が離脱していますね。

ユーザーがアプリを継続利用する際に重視する項目を洗い出し、その中で最も不満に思う項目について利用状況と合われてWebアンケートを実施しました。結果を見てみるとユーザー層ごとに、上位の不満点(=課題)も異なっていることが分かりました。※項目は一部割愛しています。

ユーザーセグメント毎の上位の不満点

ユーザーセグメント 上位の不満点
1.定着ユーザー 海外アンケートの不具合・エラー、ポイント交換をアプリ内でできないこと
2.すぐ離脱ユーザー ポイントの貯まりやすさ、海外アンケートの不具合・エラー
3.利用後に離脱ユーザー ポイントの貯まりやすさ、個人情報取り扱い・セキュリティ関連

ユーザー層と課題の大きさと、施策の実行可能性を併せて考える必要があります。
さて、この場合、どのユーザーセグメントの課題解決を最も最優先で取り組むべきだと思いますか?

2 現状、最も効率的に改善できそうなのはどんなユーザー?


離脱を防ぎ、定着率・リテンションレートを上げると一番効果が良いと思われるユーザー層とその条件を定義しましょう。例えば下記の視点での分け方があります。

1.定着ユーザー

不満を持っていたとしても、現状使ってくれているため、改善施策実行としての優先順位は低いと考えます。もちろん、定着ユーザーの意見もとても大切です!

ただ、「改善」というよりは、重視する項目の提供価値を維持することを念頭に置くとよいのではないでしょうか。

より長期的に使ってもらいたい場合、改善施策検討としては、定着の期間をどの程度伸ばす必要があるのか具体化し、その期間に達していない、離脱ユーザーセグメントを新たに設定し、課題を明らかにすべきだと思われます。

2.すぐ離脱ユーザー

致命的な不具合がある、という以外は、そもそもの期待値が高すぎたり、求めるサービスのコンセプト自体が異なるという可能性が高いです。

アプリのプロダクトとしての改善よりも、PR施策やLP、ストアの説明や画像など、流入元や流入時の期待値コントロールを見直すことを優先すべき場合が多いかなと思います。

実際、今回のポケアンの場合も、海外アンケートは他社の連携のコンテンツなので、改善が難しく、またコンセプトとしても、スキマ時間でカンタンにお小遣い稼ぎ!を置いていたので、ガッツリ稼げるように、付与ポイント数を大きく上げることは困難でした。

 

3.利用後に離脱したユーザー

「数あるサービスの中から見つけて、ダウンロードし、3日も使ってくれた」という行動から、ある程度このサービスへの興味と共感があるといえます。

このユーザーの事前の期待値とその乖離を明確にし、適切な改善施策を実施することで、離脱を防げる可能性は高いはずです。
アンとケイトの場合も上位の課題は「ポイントの貯まりやすさ」「個人情報取り扱い・セキュリティ関連」だったので、アプリの改善で何らか対応できそうです。

実際にどういったところが不満で、どういった改善施策をすべきかの仮説検証については後ほどご紹介します。

ということで、今回のケースは、「一定期間使ってはくれた(価値を感じてはいる)」が、何かしらの期待値との乖離のために利用を止めてしまった「利用後に離脱ユーザー」の課題の明確化が最重要と考え、課題や、その解決施策の優先度の判断は、この人達のみに絞りました。

(他社さんの例をみても、改善施策検討に当たっては「利用後離脱ユーザー」の声が最も重要なことは多いです。もちろん、状況によるので、聞くべきユーザーの明確化と切り分けが大切です。)

限られたリソースの中では優先課題を絞る必要がありますよね。そのためには、ユーザー層ごとの課題をごっちゃにせず、適切に明確にしなければいけません。

最も早く効率的に、改善効果を出すためには、ユーザーの課題の明確化が最重要!

「利用後に離脱ユーザー」ですが、サービスをもう使っていない人なのにどうやって意見を聞いたり調査したらいいんだよ(笑)と思いますよね。

実際、離脱ユーザーにリーチするのはかなり難しく、特に、意思決定をゆがめる偏りがないように、きちんと仮説検証を進めることを自社のみで進めようとすると、かなり業務負荷が高いです。

ただ、対象以外のユーザー意見や行動のみで施策の判断をするのは非常に危険であるため、私たちも、様々な方法を検討し、アンケートや電話でのヒアリングを進めました。

★裏話


(本当は、対象ユーザーを実際に会社に呼んで、アプリを試してもらいながらお話を伺えると、
より利用実態やユーザービリティの課題の詳細が把握できるため、理想でした。
調査のマスト条件に含めるべきでは?とチームでも意見が割れ、私自身も迷ったところです。

最終的には、ユーザーへの募集掲載やスケジュール調整、インタビューを行うと最速でも1週間はかかってしまうため、
目標のリリーススケジュールに合わせるため、
スケジュール的に断念しました。状況や優先度に併せて、今、確実に明確にすることと、そうではないことを切り分け、思い切った判断と調査施策の設計が非常に重要です。)

※どのような検討状況でも「利用後に離脱ユーザー」の課題が最重要というわけではなく、ユーザー層ごとの課題をごっちゃにせず、適切に明確にすることが重要と考えています。

 

 

◆著者プロフィール

山中思温株式会社まーけっち 代表取締役社長

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、
アンケートアプリの、若年層国内ナンバーワンを達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでも
リサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、
リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

 

「新規事業を成功させたい!」「商品やサービスを求める人にもっと届けたい」
本気でそう思う方であれば、
ユーザー理解とマーケティング最適化は、必ずお役に立ちます!

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